かつて、「子供の気持ちがわからない」と子育てに悶々としていた私は、アドラーの心理学と出会いました。
アドラーとは、今からおよそ一世紀前に活躍した心理学者で、精神科医でもある人物です。アドラーの心理学について学んでいくうちに、「課題の分離」・「目的論」・「共同体感覚」という考え方に出会ったのです。
この記事では、主にアドラーの心理学の「課題の分離」・「目的論」・「共同体感覚」とは何かを説明していきます。
アドラーの心理学と出会って、私の中に次のような心の変化が起こりました。
- 「人は何歳からでも変われる」と信じることができた。
- なりたい自分になるために、今、自分は何をすべきか考えるようになった。
アドラーの心理学『課題の分離』~やるべきことが見えてくる
- 子供が勉強しない。
- 注意しても言う事を聞いてくれない。
- 子供の将来が不安である。
などなど・・・。
子育ての悩みは、本当に尽きません。
そんな時、「子育ては広い意味で言うと対人関係に当てはまる」と考えてみると、少し違った景色が見えてくるかもしれません。
こんな具合です。
- 子供と言えども、親とは違う人格を持った一人の人間(他者)です。
- 他者を支配することはできません。例えそれが我が子であっても。
- 他者の問題に土足で踏み入ることはできません。
結局、対人関係を良好にするためには、他者ではなく自分の考えを転換させるしかないということを、アドラーの心理学で学ぶことができました。
例えば、
「学歴の高い学校を卒業して、安定した職業についてほしい」という親心は、少なからず親なら抱くであろう感情だと思います。
しかし、一歩立ち止まって考えた時に、
「これは、誰の課題なのか?」と考えてみようとアドラーは言っているのだと思います。
勉強しないで困るのは、親なのか子供なのか。安定した職業につくのが本当に子供の幸せなのか。
そして、結局のところ、答えを出せるのは子供だけだと気付くわけです。
このように、自分の課題と他人の課題を切り分けで考えることを、アドラーの心理学では、「課題の分離」と呼びます。
課題の分離という発想は、子育てを楽しむコツにもつながると思いました。
子育てに焦りを感じたり、イライラしてしまった時には、一度立ち止まって考えてみる。これは、結構有効な手段だと思います。
アドラーの心理学『目的論』~自分自身で作れる幸せの形
世の中には、子育て中の親を不安させる言葉があふれています。
例えば、『9歳の壁』など色々ありますよね。
発達がゆっくりな我が子の場合、他のお子様が出来て我が子ができないことなんてたくさんあります。
何かトラブルがあった時に言葉で話し合いができるようになってきたのも、一人で少しずつ本を読めるようになってきたのも、つい最近(小学3年生になってから)でした。
だから、『何歳からでも人は変われるんだ』という明るい希望がないと、正直辛い気持ちになってしまうことがあるのです。
アドラーの心理学の特徴は、自分の人生は自分で変えていけると教えてくれる点にあると思います。
大切なのは、
「どんな自分になりたいのか?」を自分で決め、それを目的地として自分の人生を自分で作っていくことです。
このような考え方を、アドラーの心理学では、「目的論」といいます。
もし、あなたが今、子育てや何か他のことで悩んでいるのであれば、人生の目的地を強く意識してみてください。
【目的論が教えてくれること】
うまくいかないことがあっても焦る必要はありません。失敗しても、目的地がわかっていれば、反省しながら軌道修正をしていけばよいからです。
なりたい自分になるために、今できる目の前のことを一生懸命にやるだけ。そしてそれができるのは、あなた自身しかいないのです。
何歳からでも人は変われると、一世紀ほど前に活躍した心理学者・アドラーがきっと教えてくれると思います。
少しでも変わることができたのなら、過去の自分はもうこの世にいないのではないでしょうか。新しい自分に生まれ変わり、新しい人生を目的地を目指して歩んでいきたいと私は思っています。
アドラーの心理学『共同体感覚』~自分の価値を再確認
例えば、スポーツ選手の優勝インタビューで、次のようなコメントを聞いたことがないでしょうか。
今まで応援してくれた皆さんに恩返しをしたかったので、優勝できてとてもうれしいです。
人は、誰かに貢献できることで幸せを感じる生き物です。
アドラーの心理学では、誰かに貢献することを「他者貢献」と呼びます。
そのためには、まず、ありのままの自分を受け入れる勇気が必要となります。
アドラーの心理学では、これを「自己受容」と呼びます。
仮に今の自分がどんな自分であっても、今の自分を出発点にして前へ進もうとする勇気のことではないでしょうか。
そして、仲間を信頼する気持ちも大切です。
アドラーの心理学では、これを「他者信頼」と呼びます。
- 自己受容
- 他者貢献
- 他者信頼
この3つがそろった時、「私は、社会から必要とされている人間なのだ」と認識でき、人は幸せを感じることができるのですね。
これを、アドラーの心理学では、『共同体感覚』と呼びます。
私は、「全ては自分の考え方一つなのだ」と教えてくれるアドラーの心理学に救われました。
アドラーの心理学の素晴らしさは、「過去は変えられなくても未来は自分の手で変えられる」ことを教えてくれる点にあると思います。
是非、本などを読んで、もっと詳しく学んでみてください。
アドラーの心理学を楽しく学ぶ方法
アドラーとはどんな人物なのか、アドラーの心理学とはどんなものなのか、この記事だけではとても紹介しきれませんでした。
きちんと学ぶと、更に多くの気付きがあると思います。詳しくは、是非関連書籍などを読んでみてください。
色々な書籍が販売されていますが、文章で読むと少し難しいかもしれません。また、子育て中の方は読書の時間をなかなか確保できないかもしれません。
そのような方には、
NHKの『100de名著』という番組をまんがにした、【アドラーの教え 『人生の意味の心理学』を読む】という本が読みやすくてお薦めです。私もこの本でアドラーの心理学に出会いました。
基本はまんがですが、要所要所に解説文章があり、とてもわかりやすいです。
このまんがの中に、「生きることはギブ&ギブ」だという言葉が登場します。
ギブ&テイクではなくギブ&ギブだと思えたら、きっと素敵な人生になるのではないでしょうか。
子育てをもっと楽しみたい方にもお薦めです。