アボカドの種や皮に含まれる赤い色素は、布をピンク色に染めることができます。
ただし、草木染めはなかなか色が出にくい場合も多く、準備や染めに時間がかかってしまうことがあります。
私も、一度目のアボカド染めは、前日から準備をしたわりには色がきれいに出ませんでした。
そこで、時間をなるべく短縮して家庭で楽しめるよう、まずは小さなハンカチ1枚程度の布を1時間半から2時間で染める方法をお伝えしていきます。
ずっと作業しているわけではなく、待ち時間も多いので家事と並行しながらできると思いますよ!
【染め方】アボカド染め~先媒染&たんぱく前処理あり
◆布について
アボカド染めなどの草木染めを行う時には、天然素材からできた布を使いましょう。
ポリエステルなどの化学繊維は殆ど染まりません。また、天然素材の中でもウールやフェルトは初心者向きではないので避けた方が無難です。
天然素材の布は、植物繊維(綿・麻など)と動物繊維(絹など)に分けられます。
草木染めは、動物繊維は染まりやすく植物繊維は染まりにくいという特徴があります。
そこで、植物繊維の布を使用する場合には、豆乳などたんぱく質を含んだ液体で前処理をした方が染まりますくなります。本章では、染める前に処理をする『たんぱく前処理』で染める染め方をご紹介します。
(今回は豆乳が家に無かったので牛乳で代用していますが、処理の方法は同じです。)
◆媒染について
媒染とは、染料を布に安定させるために行う作業です。
今回は、スーパーで手に入る焼きミョウバンを使用しています。
染めの前に媒染を行うことを先媒染と言い、染めの後に媒染を行うことを後媒染と言います。
後ほど別章でご紹介しますが、アボカド染めを後媒染すると一度染めた色が抜けてしまうため、二回以上染める必要がありました。
時間がかかってしまうので、本章では先媒染での染め方をご紹介しています。
材料・準備
◆アボカドの準備
アボカドの皮を事前に準備しておきましょう!
アボカドの皮を綺麗にしたらすぐに使うこともできますし、干したり冷凍するなどして保存しておくことも可能です。
種も刻めば使用できますよ。
①洗浄
果肉はしっかりとって洗っておきます。
私は、丸めたアルミホイルをたわし代わりにして果肉を取りました。
②乾燥保存の場合
天日干しなどをしてカラカラに乾燥させます。乾燥するとパリパリと固くなります。
③冷凍保存の場合
アボカドの皮をきれいにした後、そのまま冷凍保存することもできます。
④種
種を使う場合は、色素が出やすいように必ず刻んでから使いましょう。
私は刻んだ後、冷凍保存しておきました。
(乾燥保存ができるかは、試していないのでわかりません。)
とても滑りやすいので、半分に切ってから刻むとやりやすいと思います。
◆準備するもの
- 鍋(2つあると便利です。)
- ボール
- 菜ばし
- お玉か泡だて器(染液に空気を含ませるため。)
- ざる
- 計量カップ
- はかり
- ビー玉や輪ゴムなど(絞り模様を入れる場合のみ。)
◆材料
- 天然素材の布(今回は、ハンカチ大の木綿のさらしを使用。)
新品の布は一度洗って乾燥させてから使用してください。 - 豆乳(無ければ牛乳でも代用可能。)
- 焼きミョウバン
- アボカドの皮(種もOK。)
- 絞りを付ける場合は輪ゴムや木綿糸など。
(今回はビー玉と輪ゴムを使いました。) - お酢や重曹(色味を変化させたい人のみ。)
◆豆乳の量について
豆乳と水を1:1で混ぜたものを、たんぱく前処理用の液として使用します。
この混合液の量は、アボカド染めをする布が完全に浸る量にしてください。
(布にまんべんなく混合液が浸透しないと、色むらの原因になることがあるため。)
◆アボカドの皮の量について
アボカド染めの染液を作る時は、布の30倍から50倍の水を必要とします。
必要な水の量に応じて、アボカドの皮を用意しましょう。
私が試した感じでは、100mlに対してアボカド1つ分の皮があった方が良い気がしました。
【今回の反省点】
★ハンカチ1枚(15g)★水(30倍で450ml)★アボカド3つ分(皮のみ)
で染めたところ染液が不足して、染め色も薄めでした。
この事から、ハンカチ1枚(15g)の場合には、水600mlでアボカド5~6個くらいを鍋に入れて煮出してみるとよいかなと思います。
※染液が多めの方が染めやすいので、アボカドをもっと用意できる方は多めに作ってみてくださいね。
◆焼きミョウバンの量
1Lの水に対して2gの焼きミョウバンを使いました。
染める手順
ハンカチ1枚を1時間半程度で染めるために、手順を図にしてみました。
1.たんぱく液(A)に布を浸す
ボールに牛乳(もしくは豆乳)と水を1:1の割合で入れ、その中にハンカチを10分程度浸します。
※草木染めでは、通常豆乳を使用しますが、牛乳でも代用できます。
しっかりと布が浸るようにしましょう。
本当は30分くらいおきたいところですが、時短の為に10分経ったら、すすがずに水分を絞ります。
その後は、布をボールの上などに開いて乗せ、しばらく乾かしておきましょう。
2.染液(C)を作る
たんぱく液に布を浸し始めたらすぐに、アボカドの皮を使って染液を作ります。
アボカドの皮や種と水を鍋に入れて火にかけます。
沸騰する前に火を弱めて、コトコト弱火で30分煮出しましょう。
30分煮出したら、ざるでこして皮を取り除きます。
1日置くと色が濃くなるという説もありますが、試した結果あまり変化を感じませんでした。
そこで、今回は時短の為に最後に泡だて器で2~3分空気を含ませてみました。
3.媒染液(B)を作る
2の染液作りと並行して、媒染液を作っておくと時短になりますよ。
今回は、スーパーで簡単に手に入る焼きミョウバンを使います。
1Lの水に対して2gの焼きミョウバンを使いました。
鍋に水と焼きミョウバンを入れて火にかけます。沸騰させなくても湯気が軽く上がる程度で解けていきます。白濁していた水が透明になったら完全に解けた合図です。
1~3の工程を並行して行うと時短になります。
4.媒染液(B)に布を浸す
1で乾かした布を3で作った媒染液に入れて、30分浸しておきます。たまに菜ばしで布を泳がせました。
30分経ったら、布を水で洗って絞っておきましょう。
5.絞り模様を入れる(省略可)
絞り模様を入れたい方は、このタイミングで行います。
輪ゴムや木綿糸で布をきつく縛ると、縛った場所だけが染まらずに模様になります。
今回は、ビー玉と輪ゴムで円形の絞りを入れました。
4で処理した布の中にビー玉を入れ根本を輪ゴムできつく縛ればOKです。
6.染液(C)に浸す
染液が足りないとムラになる可能性があるので、多めに作っておくと安心です。
たまに菜ばしで染液の中を泳がせながら30分おきましょう。
水ですすいで水気を絞れば終了です。
(今回は、媒染液に牛乳を使用したので、におい対策として中性洗剤を数滴垂らした水ですすぎました。)
7.乾燥させる
アルミや鉄に触れると変色する可能性があるのでご注意ください。
我が家のハンガーはアルミ製なので、木製椅子の背もたれに干して乾かしました。
アボカド染め 完成品!
お酢を少し入れたためか、淡いサーモンピンク系の色に染まりました!
参考1)アボカド染め~後媒染&たんぱく前処理なし
同じ木綿の布を、たんぱく前処理なしで後媒染で染めた結果を参考として載せておきます。
◆手順
1.布に絞り模様を入れる
ビー玉と輪ゴムを使用しました。
2.染液に浸す
たまに菜ばしで布を泳がせながら、30分浸しておきます。
その後水洗いをして、水気をしぼりましょう。
染液はもう一度使うので、とっておきます。
※染液には、お酢も重曹も加えていません。
※アボカドの皮6個分と種4個分に対して1Lの水を鍋に入れて染液を作りました。
3.媒染液に浸す
せっかく染めた色が結構抜けてしまいます・・・。
たまに菜ばしで布を泳がせながら、30分浸しておきます。
その後水洗いをして、水気をしぼりましょう。
4.再度染液に浸す
もう一度、2と同様の作業をしましょう。
5.乾燥
アルミや鉄に触れない場所で乾燥させれば完成です。
①左:後媒染&たんぱく前処理なし
②右:後媒染&たんぱく前処理なし(染め回数を増やしたもの)
③中:先媒染&たんぱく前処理あり(前章で紹介したもの)
参考2)アボカド染めより簡単でお薦めの草木染めはコレ!
玉ねぎの皮を使った草木染め『玉ねぎ染め』なら、アボカド染めよりも簡単に染め色が出ると思います。やまぶき色のに近い鮮やかな黄色に染まりますよ!
興味のある方は、玉ねぎ染めの記事も参考にしてみてください。
草木染めは少しだけ手間がかかりますが、とても柔らかく優しい色合いに染まります。
まずは、小さなハンカチ1枚から試してみて、”本当に染まるんだ!”と実感してもらえたら嬉しいです。良かったらお試しください。