大切な人やペットの死を経験した時、子供の心の中に「死んだら人や動物はどうなるのだろう?」という疑問や恐れが生まれてくることがあります。
死は、決して避けては通れないもの。
であれば、子供には前向きに捉えて生きる意味を考えてほしいと感じます。
結局、「どうなるのか?」の答えは誰にも出せないのですから。
そこで、悲しいだけではなく、読んだ後に、
- 何だか心が温まるなあ
- 今日も頑張って生きてみよう
- 生まれて良かった
と感じるような、小学生向きの物語を厳選し、ご紹介します。
読書感想文にもおすすめです。
どの本も、実際に小学生の息子と読み、大人の私も胸を打たれた本達です。
是非、親子で一緒に読んでみてください。
小学生におすすめの本
◆おばけ道、ただいま工事中!?
【概要】
著者の「草野あきこ」さんは、本作(デビュー作)で、第32回福島正実記念SF童話賞大賞受賞や第49回日本児童文学者協会新人賞の受賞を果たしています。
主人公少年の部屋に突然おばけが現れ、一週間もの間、部屋があの世とこの世をつなぐ大事な場所になってしまいます。しかも、ひょんなことからあの世を大冒険するはめに。
最初は少しだけ怖く感じるかもしれませんが、表紙の絵や題名からもわかるように、ちょっぴりスリリングでありながら心がじんわり温かくなる物語です。
【対象年齢】
対象年齢は、小学校中学年から。
ページ数は、96ページです。
【感想】
あの世に行かなければならなかった人達の思いや、この世に残された人達の故人に対する思い。その両方を感じながら、「死はどんなものなのか?」を子供が想像してみるきっかけになる本だと感じました。
物語の結末には、思わず目が潤んでしまいました。
死は恐らく誰にとっても悲しいもの。少し胸も痛むかもしれません。
でも、「死=終わる=怖い」ではないのかもしれない。
そのように、死を色々な角度から捉えてもらえたらいいなと思いました。
◆シャーロットのおくりもの
【概要】
作者は、アメリカ出身の「E.B.ホワイト」さん。
世界20か国以上で4000万部を超えるロングセラーとなり、映画化もされた、世界中で愛される児童文学です。
納屋に住む「シャーロット」という名のクモと子豚の友情を描いた物語です。
知的で賢いクモと、控えめな子豚という設定に、はじめは少し戸惑うかもしれませんが、生きる意味を考えさせてくれる感動的なストーリーです。
【対象年齢】
内容としては、小学校中学年から読めると思いますが、ページ数が223ページと長めの本です。
読書に慣れてない子供の場合には、小学校高学年から読んだ方がよいかもしれません。
【感想】
農場しかしらない無邪気な子豚が、クモのシャーロットと出会い、友情を育みながら成長していく様子や、人間と動物の関わりを丁寧に描いています。
ですから、農場で繰り広げられる日常の様子に、途中で飽きてしまう子供がいるかもしれません。(うちの息子は中盤少し飽き気味でした。)
でも、途中で読むのをやめてしまうのは、もったいない!
- 生きるということは、動物の命をいただいていること。
- 死と生は繰り返されていくこと。
- 姿がなくなっても消えない思いがあること。
- 安心して暮らせることが何よりの幸せであること。
そんなことをたくさんたくさん教えてくれます。
私にとっては、とても感動的で印象深い作品となりました。
この本を通して、命を最後まで全うすることの素晴らしさを、子供に感じてもらいたいと思いました。
◆旅のお供はしゃれこうべ
【概要】
著者「泉田もと」さんは、本作(デビュー作)で、 第14回ジュニア冒険小説大賞 を受賞しています。
時代設定は江戸時代。しかも「しゃれこうべ」とは頭蓋骨のことなので、手に取るのに少し勇気がいるかもしれませんが、実は涙あり笑いありの時代小説なのです。
主人公の青年が、もう生きていてもしょうがないと思い絶望していた時に、なんと言葉を話す「しゃれこうべ」と出会います。
そして弱気な主人公と対照的に、「しゃれこうべ」の性格はチャッキチャキ!
ある目的を果たすために一緒に旅に出た二人!
二人の珍道中の中は、ハラハラ・ドキドキの展開で、成長していく主人公の姿や「しゃれこうべ」の過去など、見所がいっぱいです。
【対象年齢】
テンポがよく会話調で進行するので、文字数の割には読みやすいです。
ただし、ページ数が168ページで、文字も小さめです。
本が好きな子ならば小学校中学年から、読書に慣れていない子供の場合には、小学校高学年から読んだ方がよいかもしれません。
【感想】
「江戸時代?しゃれこうべ?何それ?」
これが、読み始めの数ページで息子が感じた正直な感想です。そして母も”はてな”だらけ。
でもこのお話は、読めば読むほど面白くなります。
しかも、今とは違う古い時代だからこそ、描ける世界感があると感じました。
- 驚くほど成長していく主人公の姿
- どうすることもできない、人の悲しい過去
- 人を思いやる心
- 出会いと別れの切なさ
などが描かれ、とても胸に迫るストーリーでした。
そして、何かにつけて「どうせ自分は駄目だ。」と思ってしまう主人公と我が息子の性格がそっくり!
息子も苦笑していました。主人公の成長ぶりを読み、自分に自信のない子供達にも何かを感じてもらいたいと思いました。
今はなき大切な人が、もしかしたら自分のすぐそばにいるのかもしれないと、心を温めてくれる本でした。
物語の中で仮想世界を体験したり、現実と置き換えて考えてみることで、少し遠い「死」という世界を想像したり、生きる意味を考えるきっかけになるのではないでしょうか。
読書感想文にもおすすめです。
親になったことで、今一度児童文学に触れることができ、改めて本の大切さを実感しました。
是非親子で一緒に本の世界を楽しんでみてください。