東京上野の恩賜公園内にある『東京国立博物館』に子供を連れて行ってきました。
きっかけは、親子で大好きなNHKのEテレ『びじゅチューン!』という番組の特別企画が期間限定で開催されていたからです。「子供が日本の歴史に興味を持ってくれたらいいな」とお考えの方は、企画展示があるタイミングで文化財を扱う博物館に行ってみてはいかがでしょうか。
同じ恩賜公園内にある国立科学博物館には恐竜の化石などを見に行ったことがあっても、文化財を扱う『東京国立博物館』は子供が興味を持ってくれないだろうと足を運ばない方が多いかもしれません。
そこで子供に歴史へ興味を持ってもらうコツと、『東京国立博物館』の見どころを独自の視点でお伝えしたいと思います。
関東にお立ち寄りの際は、せっかくですので日本最古の博物館に是非足を運んでみてくださいね。
東京国立博物館の情報
開館日時の基本情報や展示情報などは公式サイトより最新の情報を調べてください。
チケット料金は2020年4月より14年ぶりに改定されていますのでご注意ください。
特別展は別途料金が必要になりますので、見たい展示が常設展示なのか特別展示なのか事前に公式サイトで確認しておくと安心です。
カメラ撮影はカメラを手で持って撮影可能ですが、フラッシュは不可です。また、展示物の前に撮影禁止マークがあるものは撮ることができませんのでご注意ください。
子供が歴史に興味を持つために
学生時代に興味を持てなかった理由
私自身は学生時代、歴史の授業が嫌いでした。大昔の出来事をたくさん覚えるのも苦痛でした。けれども大人になった今は何故か歴史が一番楽しいと感じるのです。そこで「なぜだろう?」と考えてみました。
それは学校で習っている時は、過去の人々の暮らしが全く実感できなかったからです。「当時の人々がどのように感じていたのか?」などには思いも寄せず、年号や出来事を暗記したりすることが私にとっての歴史の授業でした。
子供を産んで母親になった今だからこそ、私や我が子が存在するのは過去の人々と繋がっているのだと強く実感でき、過去の人々がどのように暮らして、どのように感じていたのかにとても興味が湧いてきたのだと思います。
子供の身近にいつも歴史の話題を!
小学校の高学年から歴史の授業が始まりますが、歴史を授業だと考えてしまうと何だかつまらなくなってしまうのではないか?と過去の自分の経験から感じました。
ですので、可能であれば小学校で歴史の授業が始まる前に、日頃から興味を持たせるようにそれとなく環境を整えてあげるのが良いのではないかと考えています。
読売KODOMO新聞
我が家では読売KODOMO新聞を購読しています。といっても小学1年生の我が子が読むのは主に4コマ漫画です。それでも「この記事気になるから後で読んで!」などと言われることも多く、まず知見を広げるという目的で読み始めました。
週に1度の発行ではありますが、まずほぼ毎週『ねこねこ日本史』という日本史のゆるふわ4コマ漫画が掲載されており、我が子は切り抜きをトイレに貼ってしまう程ハマっています。
TVアニメを見るか、単行本を読んでから新聞を見るとより一層興味が湧くと思います。
そして、1か月、3カ月、6カ月と購読していくうちに、それなりの頻度で歴史やそれに絡めた各地方の紹介記事が出てくるのです。
今回『東京国立博物館』で開催されていた特別展『桃山_天下人の100年』の記事も出ていました。
ねこねこ日本史
そにしけんじさんの『ねこねこ日本史』は、親子でハマっている、主人公が猫というゆるふわ日本の歴史漫画です。NHK EテレでTVアニメ化もされており、4コマ漫画の単行本としても出版されています。息子が通う小学校では、学校の図書室でも借りられます。
主人がTVアニメを録画し始めたのがきっかけで、次に読売KODOMO新聞、そしてついに単行本全巻購入に至りました・・・・・・。
初めは正直なところ、「この漫画で日本の歴史の何がわかるの?」と半信半疑だったんですよね。例えば「すぐに猫は水が嫌い」と言ってパニックになったり、豊臣秀吉がねこでなく「さる」であったり、刀ではなく「猫じゃらし」で戦ったり。ツッコミどころ満載・・・・・・。
ところが私も一緒にアニメを見たところ、まんまとハマりました。
今や大ファンの一人です。特に歴史上の人物の名前を覚えるのにとても役立ちます。一巻の中に原始から近世まで、それぞれの時代の人物が数名ずつ描かれており、各ストーリーは完結型です。ですので何巻から読んでもよいところが嬉しいですね。因みにジュニア版は全ふりがな付きでとても読みやすいです。
NHK Eテレ『びじゅチューン!』
NHK Eテレ『びじゅチューン!』は井上涼さんという美大出身のアーティストが、歌、ダンス、アニメを制作して、世界中の名画や美術作品をとてもユニークな独自の視点で紹介してくれる番組です。勿論日本美術もたくさん紹介されます。
例えば、今回東京国立博物館で企画展示のあった、長谷川等伯の松林図屏風は墨の濃淡で霧に煙る松林を絶妙なタッチで描いた水墨画です。これを井上さんのフィルターに通すとこのようになります。
松の根の形が踊っているように見えたから、スモークの煙るステージで松たちが音楽に乗せてダンスを踊るアニメに!このアニメを見て衝撃を受け、親子で『びじゅチューン!』にハマりました。
アートは一見すると歴史とは関係がないように感じますが、人が作ったものなので人の歴史であり、その時代背景を色濃く反映しているものも多くあります。実際に、ねこねこ日本史という漫画でも日本美術は度々登場します。
また、「そういう鑑賞の仕方もあるんだ!」と初心者に美術の楽しみ方を教えてくれる番組でもあります。
絵本
例えば我が子が大好きな絵本、おちあいけいこさんの「絵本 東海道 」だとこんな楽しみ方ができます。
江戸時代を舞台に東海道を旅する絵本ですが、主要登場人物は
・東海道中膝栗毛に出てくる「弥次さん喜多さん」
・東海道五十三次の作者「安藤広重」
・江戸三大俳人で奥の細道の作者「松尾芭蕉とその弟子」
です。さらにここに江戸時代には存在しなかった新幹線や現代人などを登場させて東海道を旅するのです。
また、全てのページで登場人物や江戸時代には存在しないものを探す、「探し絵」のような楽しみも兼ね備えています。大人気のミッケ!(小学館)やウォーリーをさがせ!(フレーベル館)にも負けない楽しさでとてもおすすめです。
そして箱根越えや関所、宿場町など江戸時代の暮らしや旅の様子を感じられると共に、当時の人々のそばに今と同じように富士山が存在したことを感じさせてくれます。
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絵本東海道 其の一 日本橋〜興津
博物館に行く前にお目当ての展示を絞る
博物館は、遊園地や水族館といったレジャー施設に比べると、子供好みの場所ではないのも事実ですよね。ですから私は、お目当ての展示物を2、3個に絞って、事前にこれだけは見ようというものを決めてから出かけました。
今回ですと、縄文時代~古墳時代の土器とEテレ『びじゅチューン!』企画展です。
土器に関しては、ちょうど11月に読売KODOMO新聞で特集があったばかりでした。土器にも色々な動物がいるとのことで、生き物全般が好きな我が子にちょうど良い機会だと考えました。
実際の子供の様子~お目当ての展示
NHK Eテレ『びじゅチューン!』企画展
今回の展示は
・風神雷神図屏風(尾形光琳)&夏秋草図屏風(酒井抱一)
・松林図屏風(長谷川等伯)
・八橋蒔絵螺鈿硯箱(尾形光琳)
の3点です。展示期間が終了しましたので、一部映像を掲載させていただきます。
風神雷神図屏風(尾形光琳)&夏秋草図屏風(酒井抱一)
風神雷神図屏風と夏秋草図屏風はEテレのアニメを見ていたこともあり、楽しんでいました!
屏風にプロジェクションマッピングで雷神(左)と風神(右)が映し出され、目の前に立つと稲妻が光ったり、風で絵が揺らいだりします。やはり体感型だと子供も興味を持ちやすいですね。
現在は風神雷神図屏風と夏秋草図屏風が別々に保管されていますが、制作された当初は表が風神雷神で裏が夏秋草図だったそうです。それをイメージするために、裏側にまわるとこんな映像が映し出されます。
雷鳴が轟くと夏草図(右)に雨が降り、風が吹くと秋草図(左)に風が吹き植物が揺れます
松林図屏風(長谷川等伯)
あんなにTVアニメを見ていたのに、残念ながら素通りでした。ねこねこ日本史にもでていたのになあ・・・・・・。
八橋蒔絵螺鈿硯箱(尾形光琳)
金と漆と蒔絵と螺鈿という贅の限りを尽くした硯(すずり)箱なのですが、そもそも硯箱が子供にはわかりませんでした。
でも、あたかも自分が硯箱の中に入ったかのような演出の巨大な展示物や、蒔絵の波模様にちなんで床に映し出された鯉や波紋のプロジェクションマッピングを楽しんでいました!子供はやはり動くものや大きなものが好きですね。
あと、もう一つの目玉が、硯箱の柄を自分でデザインしてその場で画像を取得し、帰宅後紙に印刷して組み立てられるという体験型のイベントです。子供も家で作れると聞いてお得感を感じたみたいです。
子供がデザインしました!側面に柄を入れ忘れたそうです。A4サイズの展開図なので、完成品は手のひらサイズ。内側まで蒔絵模様が施してあってとても素敵です!記念になりました。
土器
勾玉風のキーホルダーを本物だと信じて大切にしている我が子に、「ほらほらこれが勾玉だよ!」と本物を見せました。
「えー自分のキーホルダーの方が色もきれいで本物っぽい!」と言っていました。プラスチック製なんだけどなー。反応はイマイチです。
次は土器。大好きなねこねこ日本史にも出ていました。
無反応・・・・・・。
「好きな釣り道具はどうかな?」「こちらもねこねこ日本史にあったよね!」
「この時代にもうこんな立派な針があったなんて驚きだね」と私。「そーかな?」と息子。冷たいです。
縄文クッキーを作っていたかもしれない「すり減った石臼」、「銅鏡」もこんな調子の会話が続きまして・・・・・・。
最後に「はにわ」です。
「動物もいろいろいるね!」と私。「そうだね、早く次行こう」と子供。惨敗ですね(笑)。まだ早かったかな?小学校高学年以降のお子様向きかもしれません。
私はもっとゆっくり見たかったのですが、見られなくて残念です。
お目当て以外の展示は足早に
お目当ての展示二つで、もう飽きてしまった我が子。チラ見程度で足早にどんどん行ってしまいます。何とか私が見たい最低限のものだけは見てきました。
八橋蒔絵螺鈿硯箱
やはりこれは外せませんよね。我が子は気付きもせず、ベンチに座って固まっていました。そういう時は自分だけ楽しみましょう。
夏秋草図屏風
これも見て帰らないともったいないですよね。子供と主人はベンチでスマホを見ていましたので、一人で見ました。
他にもこんなにあるのに本日閉店の父と子・・・・・・
ねこねこ日本史でも出てくる伊能忠敬の日本地図。
安藤広重の東海道五十三次。藤沢と平塚。
こんなすごいものもあるのに・・・・・・。
徳川将軍家伝来の三日月宗近。天下五剣の一つだそうです。因みに刀文(はもん)に三日月が見えるのが名前の由来とのこと。
帰宅後、子供に感想をインタビュー
一番楽しかったことは?
大噴水 ← 確かに大きいけれど博物館の敷地の外・・・・・・
他に感想はある?
①お土産で買ったキーホルダーかわいいね ← 風神雷神ではあるが井上涼さんのイラスト
②硯箱きれいだね!僕のデザインカッコイイ!( 本物ではなく家で工作した箱を自画自賛。)
③アメリカ大統領のホワイトハウスがあったね! ( 本館の隣の表慶館のことらしい。)
母親の感想
日頃から何かと歴史に親しんでいるつもりでしたが、小学1年生の男児には隣の上野動物園の方が魅力的に感じたようです。幼い子を連れた方はほんの一握りでしたし、ある程度の年齢になってから行くのが無難と言えます。
しかしながら、無駄足かと言えばそうとも言えない気がしました。私自身、幼い頃から度々博物館に連れて行ってもらい、今でも記憶の片隅に残っています。あの時あんな物を見たな、こんな事を兄弟で話したな、食堂であのメニューを頼んだなという感じですが、大人になって改めてその場所を訪れると、記憶が蘇りとても懐かしさを覚えます。
私は今回、東京国立博物館の特別展『桃山_天下人の100年』で「洛中洛外図屏風」(普段は米沢に所蔵)を見たかったのですが、終了してしまいました。流石に子供を連れてハシゴは難しいですね。何年後になるかわかりませんが機会があれば見てみたいと思います。
東京国立博物館は建築物としても大変に立派でした。中の建具も物凄く大きくて重厚感があり、なかなか子供が普段見ることがない歴史を感じさせる洋風建築だと思います。
何か興味のある展示を見つけた時が、好機かもしれません。そのタイミングを逃さずに、まずは連れて行って反応を見てみると楽しい発見があるかもしれません。良かったら是非お子様と行ってみてくださいね。