ビーチコーミングとは、海岸に打ちあげられた漂着物を探すことで、貝殻をはじめとする色々なものを見つけることができる自然遊びです!
温暖な地域であれば冬でも行くことができるので、夏が終わった海遊びのオフシーズンに、空いている海岸でのんびり楽しめるのも魅力の一つです。
今回は、ビーチコーミングが初めての方でもお子様と楽しむ方法を詳しくご紹介します!
夏休みの自由研究にも、とてもおすすめです!
近くに海がない方でも、ちょっと足を延ばして是非海へ出かけてみてはいかがでしょうか。
何もとれなくても
私は、海の眺めを満喫しながらのんびりとビーチコーミングを楽しむことが多いのですが、だいたい1~2時間で帰ります。
「この貝殻をどうしても欲しい!」、「シーグラス(摩耗したガラス)を集めている。」など明確な目的がある方はともかく、下を見ながら夢中になっていると意外と疲れてきます。
また、採取する気満々で行ったのに、どこにでもよくある貝殻を数個しかとれないこともよくあります。
お子様と楽しむために、絶対何か収穫を持ち帰ろうとするのではなく、海そのものをのんびり楽しむことがおすすすめです。
私は、事前にその海岸の周辺情報を少し調べておいて、例えばランチ・夕日の景色・観光スポット・名産品など、ビーチコーミングが終わってからのプランを軽く考えてから出かけます。
それも楽しみの一つなんです。
ビーチコーミング
ビーチコーミングは、貝殻拾いがメインになりますが、貝殻以外にも色々なものが打ちあがっており、毎回驚かされます。
オニグルミ、ヒトデ、カニの甲羅、時には海外からの漂着物・・・。ウツボやサメの骨も見つけたこともあります。
「海は生きている。」、「海はつながっている。」ということを実感でき、子どもにとっても学びの場になると思います。
季節によって、採取できる貝殻の種類が変わってくるのも魅力の一つです。
この記事では、海に行く時の注意点から帰宅後の貝殻の洗浄や使い道まで、詳しく説明していきます。
海岸でも打ち上がったクラゲなどに注意!
陸地(海岸)とはいえ、危険なこともあります。
高波や強い風の他に、特に気を付けておく必要があるのは、海岸に打ちあがった毒クラゲ類です。死んでいても毒針から毒を出す能力が残っていることが多いと言います。
特に青いゼリー状のものがあったら触らないようにしましょう。
それは、「カツオノエボシ」か「ギンカクラゲ」の可能性が高いです。
特にカツオノエボシは、場合によっては命に関わるほど毒性が強いので、事前に予備知識があると安心です。
◆カツオノエボシ
青い風船状の浮きぶくろと触手(足のように伸びた部分)が特徴です。触手の毒針が刺さると、電気ショックのような痛みが走ります。
初ガツオの時期(初夏)から見られるようになるので、その名がついたそうです。
既に死んでいても、毒針は機能していることがありますので、触れてはいけません。
時に、アナフィラキシーショックで生死に関わることもある毒クラゲなので、海岸に打ちあがっていても絶対にさわらないでください。
とても綺麗なので、お子様は特に注意です。
【万が一触ってしまった時の対処】
真水で洗うのはNGです!(浸透圧の関係)
まずは、直接触れないよう棒などでゆっくり剥がし、海水でしずかに流してからなるべく早く病院に行きましょう。
◆ギンカクラゲ
銀貨のような円盤に見えることから名づけられました。
例えば、小学館の図鑑NEOでは毒生物とは書かれていませんでしたが、ビーチコーミングの本(ぼくたちいそはまたんていだん)では、毒生物と紹介されていました。
毒性は弱めですが、腫れることもあるので注意してください。
【万が一触ってしまった時の対処】
真水で洗うのはNGです!(浸透圧の関係)
まずは、直接触れないよう棒などでゆっくり剥がし、海水でしずかに洗いましょう。
腫れがひどい場合や毒針が残っている場合は、念のため病院を受診すると安心です。
特に刺されるのが2回目の方は、病院を受診することをおすすめします。
ムヒアルファEX(生後6か月から)など、クラゲにも効果があるステロイドの塗り薬もありますので調べてみてください。
触らずに写真だけ撮れば、自由研究のネタにもできます。
クラゲの生態はとても不思議なので、きっと調べ甲斐があると思いますよ!
私は、ギンカクラゲは見かけたことがあります。
家に帰ったら~貝殻の洗浄方法など
基本的には、海中ではなく陸地(海岸)で採取しましょう。
海中にある貝殻は、死んでいるように見えても中にヤドカリやカニなどの小動物が入っていることがあります。生き物への配慮と共に、帰宅後に臭いの原因にもなりますので、海岸で拾ってみてくださいね。
参考までに、私の洗浄方法をお伝えします。
面倒に見えますが、どんな貝殻が取れたか確認し選別しながら洗浄を行うと、
結構たのしい気分になりますよ!
※私の場合、大半は基本編のみで済んでいます。
◆基本編
①まず水洗いで砂を落とす。
②一晩真水に漬ける。
③もう一度洗って乾かす。
◆生き物が入っている場合
注意して拾っていても、小さなヤドカリやカニが混入してしまうことがあります。一晩真水に漬けて乾かすと大体出てくるのですが、気になる方は煮沸をして、安全ピンやマイナスドライバーで取り出してください。
◆臭いがきつい場合・表面を綺麗にしたい場合
塩素系漂白剤にしばらく浸しましょう。酸素系はNGです!
臭いを確認して、必要であれば数回行います。漂白後は少し水に浸しておきましょう。
あまりに臭いがきつい場合には、その貝殻は取り除いて破棄するのも一つの手段です。
自由研究のヒント【その1】~観察から見えるもの
「貝殻を拾ったけれど、夏休みの自由研究にするにはどうしたらいいの?」
という心配もきっとありますよね。
私の場合、まずは洗浄が終わったら並べます!分類は何でもOK!
例えば、色ごと、だいたいの大きさごと、種類ごとなどなど・・・。
並べてじっくり眺めることで、疑問が生まれたりアイディアが生まれやすくなります。
今回は、秋(10月)の相模湾の海岸(神奈川県三浦半島の和田長浜海岸)で採取したものを並べて、私が感じた自由研究に使えそうだなと思った点をご紹介していきます。
和田長浜海岸の詳細情報が知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
色・種類・形・大きさなどで何となく並べてみます。
ここから気になる点がないか、なんとなーく観察していくと・・・。
◆同じ種の貝殻の名前を細かく分類する 例)タカラガイ
今回は、たくさん採取できたタカラガイを使って名前を調べてみます。
観察をするにあたって、あった方がよいものは、ルーペ・定規・図鑑の3点です。
白くなったり摩耗しすぎた劣化貝は除外し、図鑑を見ながらタカラガイの名前を調べたところ、「チャイロキヌタ」と「メダカラ」の可能性が高いことがわかりました。
それぞれ並べると・・・。
一つだけ、どちらに属するかわからない貝殻がありました。
目視だけで確証が持てない時は、ルーペを使うと便利ですよ。今回はダイソーのルーペを使っています。
※稚貝と成貝では特徴が異なる場合があるので、なるべく同じサイズの貝殻で比較するとようにすると良いと思います。
不明な貝殻とチャイロキヌタを比べると、色こそ違うものの形はそっくりです。
次は、メダカラ。
色味は似ていますが、特徴が異なる点がありました。
①上部に黒い斑がある。
②裏面に黒い斑点がある。
③裏面の下部の開口部の形状が微妙に異なる。
①と②の特徴は図鑑(くらべてわかる貝殻)に載っていました。
しかし、③については載っていませんでした。いくつもルーペで観察して見つけた点です。
このことから、おそらくチャイロキヌタだろうと推測しました。
このように、貝殻の名前を調べていきます!
息子も、自分で採取したものなので、図鑑を調べる習慣が自然と身に付きました。
【我が家にあるおすすめの貝殻図鑑】
一般的な学習図鑑では、ビーチコーミングで拾った貝殻の名前を特定できないことが多かったので、貝殻専門の本があるととても重宝すると思います。
①偕成社「ぼくたちいそはまたんていだん」
たまたま息子に買ったことから、ビーチコーミングを始めるきっかけとなった本です。絵本のように見えますが、内容はかなり充実。ストーリーと絵の付いた図鑑というイメージです。
季節で採取できるものに違いがあることや、貝殻以外も採取できるものが多くあること、勿論貝殻の知識も豊富に掲載されていて大人にも子どもにもおすすめです。
②山と渓谷社「くらべてわかる貝殻」
①の本だけでは、掲載されていない貝殻が出てきたり、似ている貝殻がいくつかあって名前が判別できない時に大活躍した図鑑です。本屋で何冊も見比べて、「これだ!」と感動して買いました。
生息環境だけではなく、貝殻の特徴がとても詳しく説明されています。表紙のサンプル写真を確認してみてください。自由研究の強い味方です!
◆気になる貝殻の名前を調べる
気になる貝殻は、名前を調べてみましょう!
左図
イガイという貝の仲間です。イガイを拾う機会は多いのですが、裏がきれいなブルーの貝殻を拾ったので早速名前を調べました!⇒クジャクガイ
右図
貝殻かわからないけれど、面白い形だから拾ってみました。調べたらやはり貝殻でした!⇒オオヘビガイ
◆貝殻の構造に着目する
息子が一番気に入っているのが、劣化した巻貝です。毎回、「わーすごいよ!」と言います。
なぜかというと、くるくる巻いている内部構造が見えるからです!!
貝殻は切るのも、穴を開けるのも、削るのも結構大変なんです。でも、自然の中にはこんな貝殻がゴロゴロ転がっています。
◆疑問を持った点を掘り下げる ~ なぜ?何?
気になった点は、どんどん調べてみましょう!
左図
そっくりなのに、いろんな色の小さな巻貝。果たして同じ貝殻なのか?気になります。
右図
摩耗した貝殻片なのか、貝殻以外のものなのか?断面の空洞がとても気になりました。
このように、並べて、観察して、気になったことをメモしてみると、自由研究のネタが見つかることがあるかもしれません!
自由研究のヒント【その2】~工作にも!
自然の色や形は、とても美しくユニークです。
子どもならではの発想で、どこにもないオリジナル工作ができるかもしれません!
例えば、今回拾った貝殻を見て、私が感じた点を書いてみます。
◆カラフルな破片
モザイクタイルみたいに使えるかも!
せっかくカラフルなので、欠けたり摩耗した貝殻の破片も何かに活かしてあげたいですよね。
◆好きな模様
モノトーンで大人の工作にも使えそう!
◆何かに見えない?
我が家では、毎回息子と意見が分かれて面白いです!
◆何かに使えない?
使ってあげたいけど、何とか面白い工作にならないかな?
【貝殻工作の関連記事】
他にも貝殻を使った工作レシピがあります。
良かったら、『工作・科学工作』のカテゴリーから検索して覗いてみてくださいね。
今後も少しずつ工作レシピを更新予定です!
自由研究のヒント【その3】~SDGsについて考えるきっかけに
講談社「ぼくらの青」というSDGs14(海の豊かさを守ろう)についての本の中で、ビニール袋を飲み込んだカメの話が登場し、息子が胸を痛めていました。
本の詳細(Amazon)>>
本を読んで知ること、実際に現地で学ぶこと。その両方が大事だと感じます。
実際に海に行くと、一見きれいに見える海岸にもたくさんのゴミが落ちているんです。
危険物や食べかすが残って虫がついているものなどは避け、まずは小さなものから少しずつ拾っています。もし素手で拾う方は、クラゲなどにもご注意くださいね。(ゴミ用袋も持参すると便利です。)
「何でこんなものが落ちているのか?」、「一体どこから来たのか?」と思うものもたくさんあります。川と海が繋がっていること、自分の生活と海が繋がっていることに、子どもが気づいてくれたら嬉しいなと思っています。
砂を採取して虫眼鏡で砂粒程のマイクロプラスチックを探してみたり・・・。
自由研究としても、子どもの学びに繋がるとのではないかと思います。
やっぱり貝殻は、色も形も美しいのが魅力です!
でも、魅力は貝殻の美しさだけではないんです。
海岸は、健気に生きて儚く消えていく生き物たちの宝庫です。
生きものや自然への敬意を子ども達に抱いてもらえたらなと感じました。
皆さんも、是非ビーチコーミングに出かけてみてください!