静岡県沼津市にある『沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアム』は、沼津魚市場の目の前にあり、駿河湾の魅力を堪能できる超個性的な水族館です。
- 『深海魚(深海生物)』という見た目も生態も変わった生き物達を主役として展示しています。
- 知っているようで意外と知らない、生きた化石『シーラカンス』についても学ぶことができます。
時期が合えば、大人気のメンダコにも会えますよ!メンダコとは、見た目がかわいい深海のタコなんです。
冷凍シーラカンスが見られるのも、日本では『沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアム』だけ!
とにかく、「ここだけ!」がいっぱい!
そして、「沼津港だからこそ!」もいっぱい!
ローカル&ユニーク&アカデミックな水族館でした。
この記事では、『沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアム』の特徴や感想を独自の目線でまとめています。(海の生き物が大好きな小学生の息子がいるので、今回が2回目の訪問です。)
沼津港周辺の観光情報もお伝えします。
沼津魚市場の目の前なので、周辺には新鮮な魚介類をその場で食べたりお土産として買うこともできるお店がたくさんあります!
是非、沼津港を丸ごと楽しんでください!
行く前にチェックしたい注意点~混雑状況・駐車場・割引など
◆混雑状況◆
沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムは規模としてはそれ程大きくありませんが、メディアで紹介されたり珍しい展示があるため、休日は結構混雑しています。
私は、日曜日(12月初旬)の10時半頃に入館しましたが、入り口付近の水槽は必ず列に並んで順番待ちをしなければならないルールになっていました。
今回は、奥へ進めば自由に見ることができましたが、GWや夏休みなどの繁忙期はさらに混雑していることが予想されます。
◆駐車場◆
沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムには、専用駐車場がありませんので、近隣に複数ある有料駐車場、もしくは無料駐車場に停めることになります。
お薦めは、
防波堤沿いの無料駐車場(魚市場INO前及び防波堤前道路沿い駐車場)に入って空きをチェック。
→
空いていなければ駐車場内でUターンする。
→
無料駐車場の向かい側にある有料駐車場(ぬまづみなとパーキング)に停める。
【ぬまづみなとパーキング】
最初の1時間200円(以降1時間100円)
1号棟と2号棟が3Fで連結していて、全収容台数は460台程度
※近隣には他にも駐車場が存在します。
◆割引について◆
沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムには、例えばJAF優待割引のような入館料の割引サービスがあまりありません。また、クレジットカードも使用できませんので、ご注意ください。
沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアム公式HPのよくある質問で調べた限り、次のような割引サービスがありました。
なぜ沼津港に『深海水族館』と『シーラカンスミュージアム』?
沼津港がある駿河湾は、最深部は2500mもある日本一深い湾です。
2500mとは、富士山で言えば6合目と7合目の間くらいの高さなので、駿河湾がいかに深いのかお分かりいただけると思います。
そして駿河湾の深海には多種多様な深海魚(深海生物)が暮らしています。
深海魚(深海生物)は、深海という過酷な環境で暮らしているため、水族館までの輸送やその後の飼育が非常に難しい生き物です。
ですから、駿河湾に面した沼津港のすぐ目の前にある『沼津港深海水族館』は、輸送の上でも非常に適した立地であり、珍しい生き物が採集されたらすぐに展示入れ替えをすることが可能なのだそうです。
だから、以前訪れた際にいた深海魚(深海生物)に今回再び会えるとは限らないし、逆に「以前見られなかった珍しい生き物に今回は会えた」ということもあり得ます。
常に、新しい発見のある水族館だと言うこともできるのではないでしょうか。
そして、もう一つ。
シーラカンスについてです。
正直に言ってしまうと、日本で唯一ここでしかお目にかかれない冷凍シーラカンスは、子供が見たらちょっと怖いかもしれません・・・。
しかし、シーラカンスは脊椎動物の進化の謎を知る上でも、とてもとても貴重な魚なのです。
もしお手元に魚の図鑑があれば調べてみてください。背骨ではなく1本の管が背中に通っている不思議な構造をしています。このような生き物はシーラカンス以外にはいないそうです。
胸びれやウロコにも特徴がありますよ!
絶滅したと思われていたシーラカンスは、アフリカの一部とインドネシアの一部の海で発見さています。しかも古代の姿のまま深海でひっそりと命をつないでいたなんて・・・。
深海は、まさに未知の世界ですね!
上図のピンク色の箇所がシーラカンスが発見された場所です。
アフリカとインドネシアの2集団(2種)に分かれた理由は、インドがユーラシア大陸にぶつかったことによるそうです。
TVで大活躍のさかなクンが、自叙伝『さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!~』の中で、「日本の深海にシーラカンスがいないとも限らない」と語っていました。
インドネシアの海で発見されているということは、日本にもいるかもしれないという気がしてきませんか?
参考文献
- 小学館の図鑑NEO新版 魚(小学館)
- さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!~(講談社)
本詳細(Amazon)>>
ユニークな生き物の個性をより魅力的に!
まず、深海魚(深海生物)は、見た目から個性的なものが多く、「怖い」、「不気味」と感じてしまうお子様もいるかもしれません。
深海魚(深海生物)がもともと大好きな小学生の息子に、なぜ好きなのかを聞いてみました。
知れば知るほど面白いんだよ。
浅い海よりも新種が多いし!
でも、結構見た目がグロテスクな生き物もいて、お母さんは最初はあまり好きではなかったんだけど・・・。
あー、それは当たり前だよ。
とても厳しい環境だし、食うか食われるかの世界だからね。生き残るためにはしょうがないの。
暗く冷たい深海で、とてつもない水圧を受け、エサもかなり少ない過酷な環境を選んだ深海魚(深海生物)たち。
見た目がかわいいこもそうでないこも、生き残りをかけて進化した尊い姿なのです。
子供たちにとっては、「なぜそのような姿になったのか?」を、調べたり考えたりするきっかけになるかもしれません。
海の生物が特に大好きな息子の影響で水族館にはよく足を運びますが、深海魚(深海生物)の展示は暗い水槽や、生き物にストレスを与えにくい赤色の光を当てている水族館が多い気がします。
ところが、沼津港深海水族館はそうではありません。
照明の色や展示方法が工夫されているので、真っ暗というよりは暗くても美しい海として表現されています。写真も撮りやすい!
是非、神秘的な深海の世界を堪能してみてください!
深海に行った人は、宇宙に行った人よりも少ないという話を聞いたことがあります。
そんな神秘のベールに包まれた深海の世界を、ほんの一部だけでも覗いてみることができたら、それは子供にとっても貴重な経験になるのではないでしょうか。
覗いてみよう!~私達があまり知らない暗闇の世界
沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムは、水族館の規模としてはそれ程大きくはありません。早い方だと、所要時間は30~40分程度だと思います。
ですが、入館料も決して安くはないので、サラッと見てしまうのはもったいないです!
深海魚(深海生物)はとても繊細な生き物なので、飼育が難しく、常設展示していない生き物も数多くいます。特に5月~9月は禁漁期なので、深海魚(深海生物)を駿河湾で採集することができません。
一期一会の出会いとなる生き物もいると思います。
時間があれば解説プレートなどと読みながらじっくり見てくださいね!
時間がない方は、解説を写真に撮って自宅で読んでも結構楽しめますよ。
想像以上に大きかったタカアシガニ!
タカアシガニは、日本周辺の深海に住む世界最大のカニです。
どのくらい大きいかというと、最大では左右のはさみをのばして3m超え!甲羅も顔よりも大きいほどです。
他の水族館でも何度も見たことがありますが、深海水族館の相模湾大水槽にいたタカアシガニは想像以上に大きかったです!さすがに3m級ではありませんが、水槽の目の前で見ると迫力満点でした!
光のマジック!
太陽光は、普段白い光にみえますが、実は7色の光が含まれています。
太陽光が海水中に差し込むと、水中に吸収されたり散乱したりして減っていきます。
上図のように、深海と呼ばれる水深200mよりも深い場所まで届く光は、青い光のみです。その光も水深が深くなればなるほど減っていき、水深1000m以上は真っ暗闇です。
光の色が変われば、魚の見え方も変わってくるんですね。
例えば赤い魚は、水深が深くなるほど赤から紫になり、そしていずれ殆ど見えなくなってしまいます。
照明の色を変えながら、実際にどのように見え方が変わるのかを観察できる展示がありました。とても面白い展示でしたよ!
目が車輪みたいに丸くて大きなクルマダイもこの通り!
ちなみに、クルマダイは他の水族館ではなかなかお目にかかれないレアな魚らしいです。とにかく目が印象的なので是非見てほしいです!
しかも、同じ水槽で泳いでいるエビスダイが、とてもとてもキュートなお顔なんです!
あのTVで大活躍のさかなクンも、若い頃にエビスダイのお顔に辛い心を癒してもらったそうですよ。実際に見てみないと、このかわいさは伝わらない気がします。
沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムは、照明が本当に素晴らしいです。
深海をイメージした青い照明の中だと、有名なダイオウグソクムシのかっこよさだって引き立ちます!
他にも、特殊な光が当たると蛍光に輝く蛍光サンゴ!
目の下に大きな発光器のあるヒカリキンメダイが泳ぐ姿は、とっても神秘的でした!
珍しいなと思った深海魚(深海生物)たち!
まずは、沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムで恐らく人気No.1のメンダコから!
メンダコは、見た目がとてもユニークでかわいらしい深海に住むタコですが、いつでも見られるわけではありません。
そして、撮影も禁止です。運良く出会えたら、しっかり観察して思い出として心に刻みましょう。
数年前に来た時も今回も、運よくメンダコに会うことができました!
でも、じーっとしていました・・・。
動いでいるところが見られたら、とてもラッキーですね!
メンダコのプチ情報
タコはもともと寿命の短い生き物ですが、その中でも特にメンダコは飼育下での寿命がとても短いそうです。(飼育の難しいため。)
※2022年現在、国内最長展示記録は76日(東京都サンシャイン水族館)でした。
沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムでは、禁漁期の5月~9月は展示がないそうです。メンダコに会いたい方は10月~4月の期間で公式HPを確認の上お出かけください。
\サンシャイン水族館(東京)でもメンダコに会える可能性が!/
こちらも気になりました。アブラボウズとナヌカザメの卵です。
『アブラボウズ』
脂が乗っていてお肉のように食べ応えのある美味しいお魚です。最大で2mくらいになるんですよ。
運がよければ、隣接の港八十三番地のお寿司屋さんでも食べることができます。
でも、とても脂が多いので食べすぎるとお腹を壊すそうです。ご注意を!
『ナヌカザメ』
七日=ナヌカが名前の由来だそうです。なぜ七日なのか調べてみると面白いですよ!
次は、なんか健気な感じがかわいかったボロカサゴとサナダミズヒキガニです。
『サナダミズヒキガニ』
サナダミズヒキガニの名は、のし袋などにつける水引に似ていることに由来します。本当にそっくり!!
繊細ゆえに全ての脚がそろっている状態で展示されていることは稀なのだそうですよ・・・。
浅い海!深い海!
明るい浅い海に住む生き物たちもいますよ!
深い海もあれば浅い海もある。同じ海でも雰囲気が全く違いますよね。
結構いろいろな水族館で見かける人気者のチンアナゴも、こんな展示でちょっとした発見を!
他には、こんな発見も!
わーい!ウミヘビが泳ぐの初めて見た!!
上機嫌の息子でしたが、毒を持つ怖い生き物に擬態して身を守っているれっきとした魚類です。まんまとだまされて、シマウミヘビを爬虫類だと思ってしまった息子でした・・・。
ハチに擬態したカミキリムシ、アリに擬態したクモ・・・
自然界には擬態名人がいっぱい!本当に生き物は不思議です。
生きた化石がいっぱい!~シーラカンスなどから進化について学ぼう!
沼津港深海水族館の2Fに上がるとすぐに、シーラカンスミュージアムの入口があります。
古代の海をシーラカンスのはく製で再現した海底ジオラマや冷凍シーラカンスの他、発見の秘話のパネル展示もありました。シーラカンスの遊泳姿やCTスキャンの映像も流れていましたよ!
そして、恐竜時代にまでさかのぼると、こんなシーラカンスの一種がいたそうです!
と、どれもこれも貴重な資料なのですが、シーラカンスミュージアムには意表を突く生き物がいるのです!
それは、ほ乳類のハリモグラです。
(ハリネズミではありません。)
前回訪問の際も今回も、顔を隠してじっとしていたハリモグラさん。
息子は見逃してしまったそうですが、ほ乳類の進化を探る上で実はとても重要な生き物なので、是非見てください!
と言うのも、ほ乳類は赤ちゃんが育つ仕組みの違いによって、大きく3つに分類され、ハリモグラの属している単孔類の生き物は3種だけ(カモノハシ・ハリモグラ・ミユビハリモグラ)なのです!
ハリモグラは、卵を産むカモノハシの仲間で、歯がない原始的なほ乳類です。
私の知る限り、ハリモグラに会える場所は、ここ以外に東京都の上野動物園と、愛知県の東山動物園のみです。
とても珍しい生き物であると同時に、ほ乳類の進化を探る上でとても貴重な生き物なのです。
深海魚(深海生物)に夢中の子ども達に、ハリモグラは魅力的な存在として映らないかもしれません。そんな時は、解説パネルをカメラで撮影して、自宅で動物図鑑を見ながら解説をじっくり読んでみると楽しいのではないと思います。
このように、シーラカンスミュージアムでは、シーラカンスだけではなく海の不思議や生き物の進化について考えさせてくれる場所でもあると感じました。
古代から殆ど姿を変えていない深海魚は、シーラカンスの他にもいます。
シーラカンスミュージアムには、大型のはく製もたくさんありました。
例えば、ラブカというサメもとても特殊なサメなんですよ。
他にも、恐らく日本では沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムにしかないメガマウスザメの巨大はく製も見ることができます!
こちらも、まだ謎の多い古代魚です。
他では見られない、大変貴重な展示だと思います。
ちなみに、千葉県の鴨川シーワルドには、メガマウスザメの骨格標本がありました。
はく製とはまた違った迫力(特にあご)があるので、機会があれば行ってみてください。
参考文献
※魚の図鑑だけですと、例えばタコやカニなどが掲載されていません。調べたいことがある時は、図書館などで何冊か本を借りてみてください。特に息子のお薦めは、①と⑥と⑦だそうです。
①講談社の動く図鑑EX MOVE 深海の生きもの(講談社)
②講談社の動く図鑑 WONDER MOVE 生きもののふしぎ(講談社)
③学研の図鑑 LIVE 深海生物(Gakken)
④小学館の図鑑NEO 新版 動物(小学館)
⑤小学館の図鑑NEO 新版 魚(小学館)
⑥小学館の図鑑NEO 深海生物(小学館)
⑦美しき捕食者サメ図鑑(実業之日本社)
\サメ好きにお薦め!魚図鑑より詳しく、写真が美しいです。/
\ドラえもんDVD付き!水族館の裏側のお仕事も見られて、驚きの連続!/
\深海魚や深海生物に興味を持つきっかけとして!/
お土産について
水族館の人気者であるメンダコやシーラカンスグッズが豊富です!
他にもお気に入りの生き物を探してみてくださいね。
我が家が買ったものはこちら。
観光も、楽しい!美味しい!沼津港~周辺情報
沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムのすぐ隣には、THE DEEP SEA WORLD 深海大国というシューティングアトラクションがあります。
深海水族館の当日チケット提示で、100円割引サービスがあります。
沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムから徒歩ですぐの場所に、沼津みなと新鮮館というお土産物店や飲食店の入った観光施設があります。
前回の訪問の際も今回も、沼津のローカルソングが流れていて地元色の濃い素敵な場所ですよ♪沼津港を眺められるデッキもあります。
原則として毎月第2火曜日、第4火曜日は定休日だそうです。(ただし祝日の場合は営業)
海産物の他、地元の食材を使ったスイーツなども楽しめます。
シーラカンスは、逆立ちをしながら食事をするそうですよ!
まさかスイーツで表現するとは・・・。
沼津港周辺には、他にもたくさん美味しいものがありますよ!
我が家は、沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアムに隣接している港八十三番地の「海天寿司 一富士丸」でランチをしました。
地元であがった深海魚(深海生物)のお寿司も食べることができますよ!
アブラボウズは物凄く脂がのっていて、まるでお肉のような満足感がありました。
沼津港には、千鳥観光汽船という遊覧船があります。乗り場は、沼津みなと新鮮館のすぐ目の前です!
港の向こうには、東海地震の津波対策の一環として建設された沼津港大型展望水門「びゅうお」が見えます。
大人100円(小中学生50円)で誰でも中に入ってパノラマビューを楽しむことができますよ!
無料駐車場も40台あります。