犬と人が共に暮らすのは、単に「かわいい」だけではない深い理由がありました。Eテレ又吉直樹のヘウレーカ!「なぜ人は犬になつくのか?」という番組の中に、お互いの絆が深まっていく驚きの事実がたくさん紹介されていました。
解説しているのは、「人と犬が絆を結ぶメカニズム」を研究して今世界からも注目されている、麻布大学の菊水健史先生です。とても興味深い内容でしたので、ご紹介したいと思います。
犬と人の出会いは寛容性から
犬は元々オオカミから4万年前に分岐しました。
遺伝子的にオオカミに一番近い犬種は実は日本犬であり、その日本犬の行動を研究することで、犬と人が共に暮らすようになった理由が推測できるのだそうです。
犬と人はその昔、お互いが捕食しあうかもしれない関係でした。それにも関わらず、犬が人に近づき人がそれを許容し、犬も人と共にいることを許容するという関係が生まれたそうです。
犬と人の出会いは、お互いを受け入れる能力『寛容性』が始まりであると紹介されていました。
動物の中で犬と人だけが持つ特殊能力
動物の中で『犬』と『人』しかできない能力があります。
それはズバリ「指さしや目線の合図で動く」ことです。チンパンジーなど知能の高い動物でさえも教え込まなければすぐに理解することはできないのだそうです。
この特殊能力は、犬と人が30000年もの間共に暮らしてきた中で獲得したもので、『収斂進化(しゅうれんしんか)』と言います。収斂進化とは、系統が異なる生物が同じ環境に住むことで身体や能力が似た進化を遂げる現象のことです。例えば「ムササビとモモンガ」や「モグラとケラ」などが挙げられます。
長い年月犬と人が共に暮らし協力し合ってきたからこそ獲得した、驚きの力ですよね。
犬と人がお互いに癒される関係
人は触れ合ったり見つめ合ったりすると、オキシトシンという脳内物質が分泌されます。オキシトシンはその特性から愛情ホルモンとも呼ばれています。
愛情ホルモンは不安を和らげたり、緊張をほぐしてリラックスさせる効果があります。
犬と人(飼い主)が見つめ合うと、人の愛情ホルモンが3倍になるという実験結果が番組内で紹介されていました。そして驚くべきは犬も同様に増えたことです。
このように、犬と人間の両方が愛情ホルモンを分泌してお互いに癒されることでポジティブな循環が生まれ、やがて家族みたいな存在になるのだそうです。
犬がもたらす教育効果
番組内で、世田谷にある私立小学校の『動物介在教育』が紹介されていました。これは犬と共に学校生活を送る中で子供達が多くのことを学ぶ教育法で、時には犬が共に授業に参加したり、運動会や修学旅行にも一緒に行くのだそうです。犬の世話も生徒達が行います。
そして、犬と共に学校生活と送ることで多くのメリットがあったと言います。
- 世話を任されることで生徒にも自分の居場所ができる
- 一緒に授業に参加することで集中力が高まる
- 犬がそばにいてくれることで初めての場所や事柄でも緊張せず勇気を出して取り組める
- 先生と生徒のコミュニケーションが円滑になる
- 命について深く考えるようになる
5の『命』については、限りある犬の短い命を目の当たりにして、自ら考え行動して命というものに向き合うようになった生徒達のエピソードが紹介されていました。
公立の学校で同じ事を実践するのは難しいかもしれませんが、教育現場で犬と人間が絆を深めて、そこから子供達が多くを学び取っていく姿に感銘を受けました。
犬がもたらす体への効果
犬がもつ様々な細菌が、人の体に良い影響を与えることがわかってきました。
妊娠後期から新生児の時期に犬を飼っていると子供のアレルギーになる確率が下がることが番組内で紹介されていました。
現代は清潔な生活が当たり前になり、泥んこ遊びなどもあまりしなくなっているそうです。犬と共に暮らすことで、動植物がもつ細菌を上手く体に取り込み、良い影響がでるのだと言います。
愛犬と我が子の関係
我が家には、子供が生まれる以前から一匹の犬がいます。
子供にとっては、物心がついた時から一緒にいる犬なので、我が子は犬に対して特別「かわいい」とか「友情」などという感情はない様子で居て当たり前と思っているようです。けれども犬にとっては立派な遊び相手で、事あるごとに我が子にすり寄っていき、子供も「やめてよ~」と言いながらじゃれ合いを楽しんでいます。
そして、うちの犬は失敗も含めて色々な笑いを提供してくれます。話せないのに行動が手に取るようにわかるので、見ていて全く飽きないですね。
そんな愛犬も、もうすぐ10歳。白髪も増えて少しずつ命について考えさせられる日が増えてきました。我が子もいつの日か、愛犬の命の重みを感じる時が来るのだと思います。
大切な家族の一員として、残りの貴重な時間を楽しく過ごしていきたいと思います。