我が子は手や指の発達が遅く、小学校に入ってもなかなか周囲の子と同じようにはさみを使ったり、絵を書いたりすることができませんでした。
そんな状態なので、勿論「折り紙」は苦手で、いつも「苦手ならやらなくていいよ」という声かけをしていました。しかし、次第に子どもが「今日、学校で○○ちゃんが折り紙であんなもの作っていたの」「すごすぎ!でも、どうせ自分はできないし」という日が増えてきました。
そこで親子で話し合い、もし羨ましいと思うのなら、できないと決めつけないで何か一つでも折れるようになろう!と決めました。
最初は乗り気でもなかった子どもも、夏休みになるべく毎日1羽折ると決めて、3週間で18羽折ることができました。
実際に取り組んでみて多くの効果を実感し、折り紙が日本古来から親しまれてきたことに、とても納得しました。子どもの変化も交えてレポートしてみようと思います。
折り紙で実際に身についたこと
この章では、実際に感じた折り紙の効果をお伝えします。
指先 特にひとさし指と親指の使い方
折り紙を子どもに教えてみて、まず気になったのが指先の使い方がとてもぎこちないことでした。
教え始めの頃は、図1のように親指が伸びており、指の先まで力が伝わっている感じがしませんでした。日常の様子もよく観察してみると、鉛筆や消しゴムを持つ時にも、細かいものを摘まむ時にも指の先端というよりは第一関節あたりを使っていることがわかりました。
折り紙を折る際、細かい作業の時は指先や爪などを使わないと、綺麗に折ることができません。何度も繰り返し図2のような指の動きと力の入れ方を教えました。
まだ、ぎこちない時もありますが、3週間でだいぶ改善したと思います。
想像力・思考力
折り紙が当たり前のようにできる人にとっては、想像力・思考力という言葉が大げさに聞こえるかもしれません。しかし、苦手な人にとっては、
自分がしている作業がどういう形につながるのか?
折り鶴の一体どこを作っているのか?
などなど、頭の中には「?」がいっぱいみたいなのです。
恐らく、折り紙が普通にできる人は、無意識で想像力を働かせているのだと思います。しかし、我が子は自力で考えることが難しかったので、一つ一つ繰り返し教えました。
何度も折るうちに、特に苦手な箇所が出てきました。
最後に首になる部分を織り上げる時、細いので上手く二つ折りにできない点です。(図1)
これを解消するには、まず指先の使い方を工夫することを一緒に考えました。それでも難しい場合には、一つ前の作業に戻って考えてみようと提案して、子どもと一緒に上手くいかない理由を考えました。
図2の二股に割れている箇所に注目して、中心に隙間が少しある方が次の作業がやりやすいと、親子で確認しました。
これは、なぜできないのか?を振り返って考える、問題解決の訓練だと思います。このような試行錯誤から思考力が育まれると感じました。
自己肯定感
できないと思っていたことができた!と感じた時、子どもは明らかに嬉しそうな笑顔をします。
他の子にとっては大したことではなくとも、本人にとっては誇らしい出来事なのですね。そんな頑張った時間を、親の私だけはしっかり心に刻みつけてあげようと思いました。
夏休みが終わって新学期が始まるとすぐ、「学校で鶴を作ったよ!」と持って帰ってきました。でも本人曰く、家でやった時ほど上手くできなかったそうです。それで、「もう一度作ってみるよ!」と帰宅後に自分から折り鶴を作り始めました。
そして「今までで一番上手くできた。」「すごいでしょ!飾ってよ。」と何度も言っていました。小さい一歩ですが、苦手を一つ克服できたように思います。
楽しくさせる工夫
集中力・忍耐力などはまだまだこれからといった印象ですが、折り紙はできれば楽しいと感じてくれたようです。そこで、できるだけ楽しく、自分からやりたくなるようにする我が家の工夫についてお伝えします。
使いやすい折り紙を見つける
始めは光沢のある表面がつるつるとした折り紙を使っていましたが、これは手元が滑ってしまい我が子には合いませんでした。せっかく位置を合わせて抑えたつもりでも、他の事に気を取られているうちにずれてしまうのです。また、失敗して折り位置を変えると元の線がとても目立って汚くなってしまいます。
表がキラキラのホイル折り紙も、折り目が目立ち折り直しがしにくいと感じました。また、折っているうちに紙がしなしなしてきて、何度も何度もやり直す子どもには向いていないと思います。
練習し始めは、教育折り紙のような一般的なものを使うのが無難だと思います。
和紙ですと、ざらつきすぎてしまったのですが、わら半紙を少し上等にしたのような、水性ペンで書いてもはじかずインクがしみ込むような折り紙がたまたま家にあり、これがとても使いやすいとのことでした。
お子様にあった材質の折り紙を選定してあげるとよいと思います。
いつでも使える場所・目につく場所に折り紙を置く
整理整頓したい気持ちをぐっと抑えて、お子様がいつでも使えて、目につく場所に折り紙を置いておくことがお勧めです。これが意外と重要だと私は感じています。折り紙好きな子であれば、暇があったら折り紙をするという選択肢が自然と思いつくと思いますが、苦手な子はそうはなりにくいです。
できるかやってみようかな?もう一個作ってみようかな?と何となく思える環境を用意しておくと折り紙に接する機会が増えると感じました。
好みの色・柄の折り紙を用意する
当初私は、きっとすぐ捨ててしまうし折り紙なんて何でもいいと考えていました。ところが子どもにとってはどうやらそうでもないみたいです。本人曰く、重要なのだそうです。
我が子はカラフルな色が好きだし、色の中でも寒色系と黄色が好きだと色の好みがはっきりしていましたので、好みの色を沢山用意しておくととても喜びました。
少し奮発して大好きな柄の折り紙をお子様と一緒に選ぶのも良いかもしれません。
成果を目で確認させる
折り紙に限らず、我が家でいつもやっていることは、頑張った成果は目で見えるようにしておくことです。よくやる方法は、部屋に飾ることです。そうすることで、日常の中にたくさんの会話が生まれます。
「あの時こんなにがんばって、すごいじゃない!」「私頑張ったでしょ!」
「綺麗だね!」「風でくるくる回ってるね!」
ガーランドにして飾ってみた折り鶴を見て「また作ろうかな」と言うこともありました。子どもの変化をとても実感します。是非お試しください。
苦手なことにどう向き合うか?
苦手なことにどう向き合うのか?ご家庭によって方針は様々だと思います。
【あるご家庭の例】
私の知人の話ですが、泳げない子供についてこう言っていました。
泳げなくても生きていける。そもそも泳げないから水に近寄らない。だから溺れる可能性も人より少ない。だから練習はいらない。
我が家とは少し違う考え方ですが、これも一つの答えですね。
自分の家では「苦手なことに子どもがどう向き合うのか?」を家族や子どもと一緒に考える時間があっても良いと感じます。
【我が家の例】
我が家では、子どもの同意が前提で、こうしています。
もしも一歩でも前進する可能性があるなら、他人と同じにならなくてもいいから、少しだけでも頑張ってみようと提案しています。子どもの意見、親の意見をお互いに出し合って話し合います。
皆さんはどのようにお考えでしょうか。私も、引き続き考えていこうと思います。
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