小学3年生の子供の懇談会で、中学年は『ギャングエイジ』と呼ばれていることを知りました。
ただでさえ、発達がゆっくりで手のかかる我が子。
『ギャングエイジ』と言われると何だか不安になってしまいますが、先生から対処法なども教わりました。
『ギャングエイジ』とは、
- 自我の芽生え
→何で?、どうして?という言葉が多くなる。 - 自分と他者の冷静な比較
→自分と意見の違う他者を意識し始める。
という特徴があるそうです。
口答えも増えてきた我が子。
でも、その分じっくり話し合えば、こちらの意図が分かってもらえることも増えてきたと感じています。
そんな今だから、『教えないスキル』(佐々木夕利子著)という本を今一度本棚から引っ張り出し、じっくりと読み返してみました。
この本は、サッカー日本代表OBも絶賛しNHKスポーツ番組でも紹介された本で、スペインのサッカークラブ「ビジャレアル」で長年サッカー選手を育成してきた佐々木夕利子さんによって、人材のコーチング術が書かれた本です。
サッカーが好きな人も、私のように殆どサッカーを知らない人も、大切な人材を育成するという意味において非常に参考になる本で、読む度に気づきがあると感じています。
日頃、私が感じている子育ての悩みに対する解決のヒントが、この一冊にぎゅっと凝縮されている気がしています。
この記事では、
- 『教えないスキル』に書かれている「育成の意図」・「言葉選び」・「大人と子供の関係性」・「意識の改革」等を子育てに当てはめて考えてみる。
→その結果、我が子の反応はどうだったのか?
- 学校の先生から教わった対処法を我が子に実践してみる。
→その結果、我が子の反応はどうだったのか?
などについて、子育てに悩む親の目線から書いています。
こんな子供を育てながら・・・
そもそも、私がなぜ子育てに悩んでいるのかというと、
同じ年齢のお子さんと比べて、まるで2~3歳遅れをとっているかのごとく発達がゆっくりな子供を育てているからです。(周囲からの勧めで療育に通ったこともあります。)
小学3年生になった今でも、
ひらがなやカタカナをよく間違えます。ビニール袋の口を片結びするのに15分程かかってしまいます。4年近く体操教室に通っても、鉄棒で前回りをするとお尻からストンと落ちてしまい、豚の丸焼きも腕の力が弱くてできません。
興味のないことはなかなか覚えられないし空気も読めないので、友達からは「記憶喪失」と言われたりするそうです。
一人っ子だから甘やかしてしまったのか?とか、私の育て方が悪かったのか?と考えてしまうことも、よくあります。
療育で親の研修(ペアレントトレーニング)を受けても、本やネットで子育て情報を調べても、そこにあったのは、答えではなくヒントでした。
どんなに有効な対処方法であったとしても、我が子に効果がないことも結構ありました。
自分と自分の子供に合った子育て方法は、自分でしか見つけられない。
これが、色々悩んで、今現在の私が感じている思いです。
親も子供も成長段階だから・・・
こんなはずじゃなかった・・・。
子育てが嫌になった・・・。
そんな風に感じてしまうことも時にはあります。
少なくとも、私にはありました。
『教えないスキル』の中にも、指導者として自分の感情と距離をとる練習をした話が登場します。怒っている自分を遠くから俯瞰せよというのです。
いつかは出来る日が来るかもしれません。
でも、それにはきっと数えきれない失敗と長い時間が必要な気がします。
ふと、懇談会で学校の先生がおっしゃった言葉が頭をよぎりました。
親も成長段階。
子供と一緒に少しずつ成長していけばいいんですよ。
親なら、
○○しないといけない。○○してはいけない。
こんな言葉達が育児本やネット情報の中に溢れています。
○○歳までに・・・。○○歳の壁・・・。
でも本当は、
失敗して当たり前。失敗したら、反省してまたやり直す。
その繰り返しで、少しずつ成長していけばよいのかもしれないと感じました。
また、こんなことも。
怒りのピークは6秒と言われているので、まず数秒数えてみてもいいですね。
1、2、3、4、5、6、・・・30秒・・・
数を数えて、怒りがおさまったことは殆どありませんでした。
できる人とできない人がいます。
数時間、一晩、数日かけて、徐々におさまることもしばしば・・・。
私が一つ言えるとすれば、いつかは必ず消えていく感情だと言うことです。
『教えないスキル』にも出てくる、川の流れのように。
だから、子供と少し距離を置いて、ぼーっとしてみる。
自分の趣味に没頭したり、家事の手を抜いてみたり・・・。
落ち着いてきたら、ようやく前を向いて気持ちを立て直す。
子供がいない時間を作って、全く子供とは関係ないことを考える。
これが、今の私にできる一番の対処法です。
きっと、人それぞれに合ったやり方があるのだと思います。
30年読み継がれている、加藤諦三さん著『アメリカインディアンの教え』に、こんな言葉が書かれています。
インディアンは、悩んでワーワー騒がず、現実を認めるのです。
引用)加藤加藤諦三著『アメリカインディアンの教え』(ニッポン放送)
本詳細(Amazon)>>
読むと、きっと、インディアンを尊敬します。
現状を認める。
親としての現状。そして子供の現状も。
難しいけれど、これが楽になる秘訣なのかもしれないと感じました。
①『意図』は何か~そもそもどんな人になってほしい?
『教えないスキル』の中に出てくる『意図』とは、子育てに置き換えると『子供に、どんな人になってほしいのか?』ということではないかと感じました。
そういう事を改めて考えたり、今一度振り返って確認することが大切なのだと思います。
私は、我が子に『どんな人になってほしいのだろうか?』
子供に対してイライラしている時に、イライラの原因を考えてみました。
私、何で怒っているの?
私、何でイライラしているの?
我が家の場合、だいたいこんな具合でした。
【どんな人になってほしい?~我が家の場合】
- 自ら考えて行動できる人になってほしい。
- 将来自分の力で生きていける力を身につけてほしい。
- 色々な状況下でも出来るだけ物事を楽しめる心を持った人になってほしい。
- 嫌なことから逃げるばかりではなく挑戦もできる人になってほしい。
何だか結構なことを子供に望んでしまっているのかな・・・。
親の私も出来ないこともあるよな・・・。
ちょっと反省しながら、こんなことも考えました。
親が「子供にどうなってほしいか」考えることよりも、子供自身が「自分はどうなりたいのか、どうしたいのか」に気づくことが大切な気がしました。
子育ては本当に難しいです・・・。
主役はあくまでも子供で、親はサポート役なんでしょうね。
一度頭を整理しておくと、子供に対応する時の役に立つと感じました。
良かったら一度『意図』について考えてみてくださいね。
②『言葉えらび』~心に響かないと意味がない
せっかく、『①意図』を考えたなら、子供の心にちゃんと響く言葉えらびをしないといけないのに、私の日常を振り返ってみると・・・
「こんなこともできないなんて、ちょっとおかしくない?」
「何回言ったら分かるの?」
そんな言葉をたくさん使っています。
子供の心に響きそうにないですね(涙)・・・。
そんな時、やっぱり『教えないスキル』を読み返しています。
本は、こんなことを教えてくれます。
- 『意図』を意識したら、その言葉じゃ効果がないよね。
- 言い方一つで、効果が全然違うよ。
『サンドイッチ話法』や『オープンクエスチョン』など具体的なアドバイスもたくさんあり、とても参考になりました。
相手を観察すること、言葉をえらぶことも、とても大事みたいです。
そして本の中に、もう一つ重要な気づきがありました。それは、
叱る基準をしっかり考えておくこと。
私の場合、基準が曖昧なまま子供を叱っていました・・・。
感情的になっている時ではなく、落ち着いた気持ちの時にしっかり考えておく方が良さそうです。
『なぜいけないのか?』を子供に教えたり一緒に考えることで、『いじめ』や『言葉遣いが悪い』など、ギャングエイジによく起こる問題について話し合うきっかけになるのではないかと感じました。
③『大人と子供の関係性』~学びにつながる環境が必要
まず、我が家につい最近起こった、ちょっと悲しい出来事から。
注意力があまりない小学3年生の我が子。
スイミングスクールからなかなか帰ってこない日がありました。
だいぶ遅れてようやく帰ってきた子供に理由を尋ねたところ・・・
傘をスクールバスに忘れたから、受付に相談して自分で取りに行ってから帰ってきたんだよ。
いつも、どうしよう、どうしようと親を頼る我が子にしては、ちょっと出来すぎだなと思っていたのですが・・・
だってさ、忘れたら絶対お母さんに怒られると思って、超あせって必ず探さなきゃと思って・・・。
『私って、そんなに怖いお母さんなの?』
まぁまぁ自覚はありましたが、はっきり言われると結構ショックなもので・・・。
親子関係が支配関係であっては、きっとダメなんだろうなぁと痛感したのでした。
では、
どんな関係性なら子供の学びにつながるのか?
ヒントが本の中にたくさん書かれていました。
皆さんは、どんな環境が子供の学びにとって良い環境だと思いますか?
各家庭によっても違うのかも?
でも、もしかしたら本質は皆同じなのかも?
その本質的な部分を具体例と共に示してくれる本が、『教えないスキル』だと思います。
(言いすぎかもしれませんが、私は子育てにとても役立ちました。)
私の場合、子供をとても叱ってしまった時、後から「あの時どう対応すれば叱らずに済んだのか?」、「どういう対応をとったら子供と対話ができたのか?」考えるようにしています。
時には、子供に直接聞いちゃいます・・・。
「あの時お母さんにどうしてほしかったの?」、「あの時○○くんはどうしたかったの?」と。聞いてみると意外と参考になりますよ(笑)。「だったらその時言ってよ」とか・・・。
あくまでもお互い冷静になった後での話です。できることから少しずつやっていこうと思います。
④『意識の改革』~穏やかな心を手に入れたいから
物事のとらえ方は、本当に人それぞれだなと感じます。
そのよい例が、私達夫婦です。
私は些細なことが何かと気になるタイプです。
一方、夫は良くも悪くも執着のないタイプで、とにかく楽観主義なのです。
もし、誰かが自分のことを悪く言っていたら傷つくよね?
そういう時どうやって気持ちを立て直すの?
言われてみないとわからないな。
じゃあ、すぐそばでヒソヒソ話してたら、さすがに気になるよね?
何話してるかな?とは思うかもしれないけど、自分のことだとはまず考えないよ。
もし自分のことだとしても、かっこいいなと思っているかもしれないしさ!
私の中で、「どうしてそうなるの?」という気持ちと、「羨ましいな!」という気持ちが同居してしまう衝撃発言でした。
きっと、夫のような考え方は、楽しく生きていくために必要なのだと思います。
『教えないスキル』の中で、既読スルーの法則というものを使って、子供達に物事のとらえ方を教えています。普段から夫を見ている私は、非常に納得してしまいました。
ギャングエイジと言えば、仲間意識が芽生えて『いじめ』なども問題に発生することが結構あるそうです。
『物事のとらえ方を変えてみることでストレスをかわす』訓練は、子供の頃からやっておいた方が良さそうだなと感じました。
注目したいのは、教えているということです。
つまり意識は、生まれ持ったものだけではなく、習得できるものでもあるという点です。
この本を読むと、指導するコーチ達も痛みを伴いながら意識改革をしてることがよくわかります。教えるプロでも、意識改革を簡単にできるわけではないようです。
でも、訓練により人は確かに変われるのだと教えてもらいました。
そして意識改革にとても必要なことは、
他者の意見に耳を傾けること。
まさに、ギャングエイジの子供達にも教えたいことですよね!
本の中から、こんな言葉をご紹介します。
仮に、自分が信じているものがひとつある。ここに長らく居座ってきたけれども、一度ぐるっと一周回ってまったく違うものをみてきてはどうか。それでも「前居たところがいい」となれば、戻ってくればいいじゃない、という話です。動いたこともないのに、他を否定するだけなのはあまりにもったいない。
引用)佐々木夕利子著『教えないスキル』(小学館新書)
【我が家の様子】~子育てって何だろう
「あー、もうそんなことばかりするなら、疲れちゃうからお母さんやめたいよ。」
(※恐らく禁句なので真似しないでくださいね。)
我が子に呆れた私のぼやきに、
でも、それがお母さんの仕事なんでしょ?
だからちゃんと頑張らないとダメだよ!頑張ってよ!!
糠に釘
ママ友から、「漫画のギャグみたいな息子くんだね。」とよく言われています。
ルールはきちんと子供に伝えてください。
学校でも、「なぜいけないのか」という理由を伝えるようにしていきますので。
このように、教わりました。問題はどのように伝えるか・・・。
きっと、いけないことをしてしまった事実だけを諭し、その後は切り替えるのが理想的なんだろうと思います。
例えば、我が家では夫がそんな感じです。
息子がいけないことをした時・・・
○○だから、それはいけないことだよ。
わかった?
はーい。
今度から気を付けるよ。
わかったなら、もういいよ。
はい、おしまい!!
そー言えば、週末どこに遊びにいこっか?
え?それだけ?
2人とも切り替え早すぎじゃない?
こんな風にできる人は、こうやればいいのだろうけど・・・。
それが理想的なんだろうけど・・・。
こう思うのは、私だけでしょうか?
なんか、子供と一緒だね。
ギクッ!?一緒にされたくない。でも、何も言い返せない・・・。
できない自分を認めた上で、親の私も成長していかないとならないなぁと・・・。
だから、とりあえず子供をほめることから始めてみることにしました。
『教えないスキル』のほめ方を参考にしながら・・・。
(皆さんは、こんなことしなくても大丈夫です。)
こんな感じです。↓
頭の整理には、なりました。
気づきもありました。
息子も、褒められてまんざらでもない様子。
でも、やっぱり親子の衝突がいきなりゼロになるわけでもありませんよね。
息子が、どうしても謝らない。
「意見があるなら言ってごらん、ちゃんと聞くからさ」と言っても、「わからない」と言う。
そんな時は途方に暮れてしまいます。
我が子が何を考えているのか、さっぱりからない。
どうしたら良いのやら・・・。
ふと、『心』について書かれた児童書を思い出しました。
切ないとか、怒ってるとか、悲しいとか、子供の色んな感情について書かれている本です。
本の詳細(Amazon)>>
この本の中に自分の気持ちがあったら、指さしてみなよ。
それなら簡単だよ。もうあのページに決まってるから。
ごめんねが言えない子供が、頭の中に色々な感情をため込んでるページです。
これだよ。
僕の頭の中は、①~④全部だからね。特に②だから。
分かったことが一つあります。
子供には子供なりの言い分があったんです。プライドとか色々・・・。
大人から見たらちょっと厄介かもしれないけれど。
子供には子供の言い分がありました。
自尊心もありました。
反抗とは、成長なのかもしれません。
自分の気持ちを上手く伝えられないもどかしさなのかもしれません。
まさに、次の言葉の通りなのかもしれないなぁと思い知らされた瞬間でした。
子どもは意味もなくゴネたりしません。そこには意味があります。その時々の子どもたちの「ありのまま」を受け入れることが非常に大事。
引用:佐伯夕利子著『教えないスキル』(小学館新書)
【まとめ】~自分に合った子育てを
もうお気付きだと思いますが、私は子育てが得意ではありません。
大らかで子育て上手なママ友のように、何事も達観している夫のように、そんな風になれたらなぁと思ってみても、やっぱり他人にはなれないのです。
だから、世の中に溢れているたくさんの子育てノウハウを目にしても、「そんな考え方もあるんだな」と軽めに聞き流して、自分にあったものから少しずつ取り入れればよい気がします。
ここまで読んでくださった方は、きっと子育てと一生懸命に向き合っている方なのではないかと思います。仮に今、上手くいっていなくても、『何かを変えたい』と思っている方ではないでしょうか。
生い立ちなどの理由から、『そもそも愛とは何か?』、『家族とは何か』から向き合わないとならない方もいるかもしれません。私が、かつてそうでした。
そんな方は、決して自分を責めないでください。それはきっと、今のあなたの現在位置なだけで、時の流れと共に位置は移動していきますからね。三歩歩いて二歩下がるでもいいと思うんです。
ちょっと回り道をしながら、出来ない自分を受け入れて、同時に頑張っている自分を認めてあげてくださいね。
学校の先生が次のように、おっしゃっていました。
ついこの間まで手をつないでいた我が子が突然、「もうあっち行ってよ、恥ずかしいからさ」
と言う日が来ました。ショックでした・・・。
あっという間に育って、今はもう18歳。
だから、皆さんも子供と一緒に今を楽しんでください!
子供に個性があるように、親にも個性があります。
親も失敗します。
失敗したら謝る、話し合う、考える、大切に思っていると伝える。この繰り返しなのかもしれません。あなたも、私も、少しずつ変わっていけばよいのではないでしょうか。
因みに『教えないスキル』の中には、『怒りも必要な感情だ』と書いてありました。
ですから、怒りとは、
(✖)無くす⇒(〇)かわす、コントロールする
ものなのかなと思います。
いつの日か成長した我が子と一緒に、「君は、本当に手のかかる子供だったんだよ。」、「私もダメなお母さんだったけどねっ。」と、笑い話にできる日が来るといいなと思っています。