ランプの熱を利用して上昇気流を起こし、羽の付いた円筒をクルクル回転させる回り灯籠で、魚を映して楽しむ『ミニ水族館』を工作しました。
温まった空気が上昇することや、羽の向きによって回転方向が変わることなどを確認しながら作っていく科学実験工作です。
この記事では、子供と一緒に回り灯籠を楽しむために、
- できるだけ詳しい作り方の説明
- 回り灯籠が回らない時の原因と対処法
- カッター・コンパス・分度器を使わない作り方もご提案(小学生の低学年用)
などをお伝えしていきます。
できるだけ小学生の低学年の子供も楽しめるように工夫をしました。難しいところは大人に手伝ってもらい、絵柄や色を考えるなど、できるところをお子様が工作して楽しんでみてください!
【雑誌掲載歴】
この記事の内容が、『一年間のイベント 手作り工作(工学社)』に掲載されました。
材料&準備するもの ~回り灯籠で『ミニ水族館』
■■材料■■
- 黒画用紙
- カラーセロファン
- ワイヤー
直径1mm程度。今回は百均ダイソーのアルミワイヤーを使用しました。
- 透明のプラ板
今回はB5サイズを2枚使用しました。
- 和紙
今回は習字用の半紙を使用しました。
- ランプ
今回は15W・E17クリア電球の照明を使用しました。
※ワット数が大きい程、回転しやすくなります。
※電球径が大きくなれば、灯籠内部の羽付き円筒の径も大きくなります。使用するランプの大きさに応じて、工作寸法を調整してください。
今回使用したランプはこちら(楽天)>>
- 板厚1.5mm程の木製板
手持ちのランプがある方は不用。
今回は板厚1.3mm程のかまぼこの板を1枚使用しました。ランプにネジで取り付け、土台として使用します。
■■準備するもの■■
- カッター
※はさみでも可
- はさみ
- ニッパー
針金を切る工具
- ドライバー
※手持ちのランプがある方は不要。今回使用したランプの組み立てに使用。
- スティックのり
- コンパス
- 定規
- セロテープ
- マスキングテープ
※セロテープでも可
- 木工用ボンド
- ボールペンや油性ペン
※セロテープの上に書けるペン
- 三角定規や分度器など角度の測れるもの
※フリーハンドでも可
作り方 ~回り灯籠で『ミニ水族館』
回り灯籠の作り方を2パターンご紹介します。
小学生の高学年や中学生~大人向きの標準的な作り方と、カッターなどを使わない小学生の低学年向きの作り方です。
【パターン1】標準の作り方
1.ランプにワイヤーを取り付け、中心軸を作る。
アルミワイヤーを、ランプの高さの2倍程になるようにニッパーで切ります。
これを3本用意しましょう。
ランプへの針金の固定方法は自由ですが、今回はランプ底面の板(かまぼこ板)に工作用ボンドで付けた後、セロテープをボンドの上から貼りました。ボンドが乾けばこれで接着できます。
ランプに直に接着したくない場合には、ランプの根本にワイヤーを巻くなど、他の固定方法で構いません。
ボンドが乾いてしっかり固定できたら、ソケットや電球にワイヤーを添わせて、電球の上で3本をねじってまとめましょう。
1本だけ長く伸ばしておき、先端がなるべく針のように尖るようニッパーで斜めに切ります。
(※今回の工作では、電球の上に突き出したワイヤーの長さは約2.5cmでした。)
2.羽用に黒画用紙を円形に切って標準線を書く。
今回は、電球径が2.2cmだったので、その約3倍で直径7cmの羽にしました。
黒画用紙にコンパスで円を描き、円形に切りとります。
切りとった円に、中心を通る水平線と垂直線を十字に書き込んでおいてください。
3.中心に覗き窓を作る。
円の中心に、カッターで5mm角の四角い穴を開けておきましょう。
セロテープを小さく切り、四角い穴をふさぐように貼り付けます。
表と裏の両方から貼り付けましょう。
最後に、セロテープの上に、2で書いた水平線と垂直線を書き込んでおきましょう。
4.6等分の放射線を書く。
2で書き込んだ十字線を利用して、円を6等分(60度×6)に区切るように放射線を書き込みます。
三角定規の60度の角を使うと便利ですよ。
5.羽の切り込み線を書く。
4で書き込んだ放射線を利用して、回転灯籠の羽に使う切り込み線を書いていきます。
まず、放射線を3~5mm幅に広げます。
下図の斜線部のようにフリーハンドで書けばOKです。
次は、円周から内側へ約5mmの位置に円を書き入れます。フリーハンドでOK。
次は、カッターで切り込むための線を書き入れます。
下図は反時計回りの羽です。(時計回りの羽を作りたい時は反転させてください。)
6.カッターで羽の切り込みを入れ、羽を折り返す。
カッターで羽の切り込みを入れます。
セロテープで隠れている部分があれば、そこもきちんと切りましょう。
羽は外側に折り上げます。
定規などを使うとやりやすいと思います。
後で調整するので、羽を開きすぎずに軽く折っておいてください。
7.円筒の側面用の黒画用紙を切る。
今回は下図のサイズにしましたが、電球の消費電力やサイズに応じて寸法を変えてみてくださいね。
8.回転するか確認する。(省略してもOK)
ここで一度、回転するか確認しておくと安心です。
マスキングテープで大まかに組み立てて、ワイヤーで作った回転軸の中心に乗せてみましょう。
セロテープで作った覗き窓の十字線を目安にして、バランスが一番とれる位置に乗せてみてください。
9.回転灯籠の絵柄を作る。
7で作った長方形の画用紙に絵柄を書きましょう。
書いた絵の部分をカッターで切り取り、裏側からセロファンを貼ります。
セロファンは下図のように工作用のボンドで接着しました。
子供が作った魚たちの絵柄はこちらです。
ボンドがだいたい乾いたら、少し太めのペンに巻いて黒画用紙にくるっと巻きあとをつけておくと、次の作業がしやすいですよ。
10.羽と連結させて円筒を完成させる。
羽と側面を組み立てて円筒を作ります。
セロテープでも可能ですが、マスキングテープだと貼り直しができて便利です。
テープは小さめに切って、端から少しずつ貼っていきましょう。
隙間が無い方が、よく回転します。
巻き終わったら、側面にもテープを貼って固定しましょう。
11.外側の投影面を作る。
骨組みを透明なプラ板にして、その上から和紙の代わりに習字に使う半紙を貼り付けることにしました。
今回は、B5の約半分(B6程度)を1面のサイズとして、合計4面作っていきます。
ランプの土台に当たらないように下側は2cm程の足を付けました。(下図参照。)
できたら、片面(足の部分は除く)に、スティックのりで半紙を貼り付けます。
余分な半紙をはさみでカットして、補強のため数か所セロテープでとめます。
(下図赤星:必須箇所、下図青星:剥がれが気になる時)
同じものを4面作りましょう。
次は、それぞれの面を連結していきます。
まずは、2面並べて数か所セロテープで貼り付けます。裏表両面貼り付けてください。
この時、2面の間に少しだけ(1mm弱)隙間をあけて貼るようにすると歪みが出にくいと思います。
補強と見た目の向上を兼ねて、連結部分(半紙を貼った表面)にマスキングテープなどを貼って仕上げましょう。
マスキングテープは必ず裏に折り返してください。(半紙の剥がれ防止のため。)
同様にして4面全て連結させます。
これをランプに被せれば、灯籠の完成です!
【パターン2】小学生低学年用の作り方~円筒をできるだけ簡単に!
灯籠の円筒部分を小学生の低学年のお子様が作りやすいように工夫しました。
カッター・コンパス・分度器などを使わない、円筒部分の作り方をご紹介します。
羽部の画用紙は、ちょうど良いサイズのコップや筒を利用して円を書きます。
チップスターの筒ならば、およそ直径7cmの円が書けますよ!
切り取った円形の画用紙を八等分に折りましょう。
折り目を付けたら二等分の状態に戻して、中心部分を下図のようにはさみで四角く切り取りましょう。
円形の画用紙を開いて、下図のように切りましょう。
①羽の切り込み線を書き込む。
②中心の四角い穴からはさみを入れ始める。
③切り込みが完了。
羽の切り込みを入れ終わったら、下図のようにのぞき窓を作ります。
①四角い穴にセロテープを貼る。(裏表両方)
②セロテープでふさがった切り込み線はきちんと切っておく。
③羽を手前に少しだけ折って、中心位置がわかるようにセロテープのぞき窓に十字線を書いておく。
次は、円筒の側面作りです。
標準の作り方と同様に、長方形の画用紙を用意しましょう。
カッターを使わずに絵柄を切るには、縦や横に折ってから線対称の図形になるようにはさみで切ると簡単ですよ!
こんな感じです。
お好みの形に切ったら、裏からセロファンを貼ります。
ボンドが難しい時は、セロテープを使ってください。
最後に、標準の作り方と同様に、羽と側面を連結させて円筒部分を完成させましょう。
線対称をうまく使って絵柄を作ると、幾何学模様なども作ることができますよ!
大人の方も是非楽しんでみてくださいね!
回り灯籠が回らない時の『原因&対処法』
電球のW数(消費電力)を上げれば、それだけ空気が温まるので上昇気流も起きやすいと思いますが、その分電球のサイズも大きくなり灯籠も大きくなる傾向にあります。
そこで、今回は小さめサイズのランプで回り灯籠を工作してみました。
今回私が使った15Wの電球は、子供が回り灯籠を工作するギリギリの消費電力ではないかなと感じました。
というのも、実は、始めは全然回らずに困っていたんです。
でも、何度も実験するうちに『回らない原因とその対処法』が見えてきました。
私が実験した範囲で、気づいたことをまとめておきます。良かったら参考になさってください。
- 円筒と中心軸の摩擦
円筒(羽の裏側中心)とランプ上に突き出した中心軸との摩擦が大きいと回りにくくなります。
→【対処法①】中心軸であるワイヤーの先端をとがらせる。
→【対処法②】羽の裏側の中心は画用紙よりもセロテープのような滑らかな面にする。
- 風による影響
例えば扇風機や窓からの風が吹いていると、回りにくくなります。
→【対処法】風のない状況で回るかどうか確認してみましょう。
- 羽について
羽の枚数や羽の開き具合でも回りやすさが異なります。
→【対処法①】羽の枚数は6枚が作りやすいと感じました。
→【対処法②】まずは羽の開きを最小限にして、徐々に開いて回り方を観察してみてください。
- 熱について
効率良く温まった空気を羽に当てる必要があります。
→【対処法①】電球の消費電力に対して円筒が大きすぎる場合、羽を回すほど空気が温まりませんので、サイズを見直してみましょう。
→【対処法②】円筒側面の高さが足りず電球をしっかり覆っていない場合には、電球を覆うサイズの円筒で一度試してみましょう。
→【対処法③】円筒の羽と側面との連結部分に隙間が多すぎると、温まった空気が隙間から漏れてしまいます。隙間をテープでふさいでみましょう。
- 中心の位置
円筒の中心がずれていると回りにくくなります。
→【対処法】セロテープで作った十字線の入った覗き窓を目安にして、最適な位置を探ってください。十字線は目安であって、必ずしも十字線の中心が円筒の中心とは限りません。何か所か置く位置を変えて試してみましょう。
- 重さについて
電球の消費電力に見合ったサイズの円筒にしなければ、回りにくくなります。
→【対処法】どうしても回らない場合には、側面の高さを徐々に低くして円筒を軽くしながら試してみましょう。
試行錯誤も科学実験工作の醍醐味だと思います。
色々試してみてくださいね!
(万が一回らなくても、普通に綺麗なランプになりますけどね。)
完成品 ~回り灯籠で『ミニ水族館』
我が子が作った『回り灯籠ミニ水族館パート1』はこちら。
息子はお気に入りだそうですが、回転方向(反時計回り)と絵柄の方向を間違えてしまったらしく、少しがっかりしていました。灯籠が回転すると魚が後ろ向きに泳いでしまいます(笑)。
我が子が作った『回り灯籠ミニ水族館パート2』はこちら。
パート1の改良だそうです。
回ると魚が追いかけっこをするよう絵柄の向きを改良したそうで、「最高傑作!」と自画自賛していました。ちょっとわかりにくいですが、カメやエビもいますよ。
はさみだけでも、綺麗な幾何学模様を作ることができるんですよ。
魚や水族館に興味の無い方も是非作ってみてくださいね。
模様をもう少し増やした方が綺麗だったかもしれません・・・。
最後は、小学生低学年用の回り灯籠です。つなぎ目で一部絵柄が切れてしまいました・・・。
(黒画用紙で作れば、より鮮明に色が出ます。)
くるくる回るとやっぱり楽しいです!
科学実験を楽しみながら、是非『回り灯籠』の工作にチャレンジしてみてください。
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