彗星・流星・流星群とは?
疑問だらけの「流れる星の謎」について、その違いや知識を子どもにもわかりやすく詳しく解説していきます。
- 「ハレー彗星」や「流れ星」という言葉は聞いたことがあるけれど、よくわからない。
- 「流星群」はいつ見ることができるのか?
- 「流星群」にはなぜ星座の名前が付いているのか?
など。
知っているようで意外と知らない流れる星についての疑問を、親と子どもが一緒に学ぶ為の記事です。知っていると役に立つ豆知識も詰め込みました。
彗星と流星と流星群を理解するためには、まず
「彗星とは」→「流星とは」→「流星群とは」と、順を追って理解する必要があります。
彗星とは
太陽を中心とする太陽系には、惑星や準惑星や小天体の他に、とても細長い軌道を持つ彗星が含まれます。
太陽の周りを天体が回転することを、公転(こうてん)といいます。また、何年かけて公転するのかを公転周期(こうてんしゅうき)と呼びます。
彗星は、公転周期や軌道の形状によって、大きく分けて2種類のグループに分けることができます。
軌道と公転周期
【短周期彗星(たんしゅうき すいせい)】
公転周期が200年以内のものを「短周期彗星」と呼びます。
主な特徴は3つ。
★その1:軌道の形
惑星の軌道が円(に近い楕円)であるのに対し、短周期彗星は細長い楕円の軌道です。
一定の周期で何度も見ることができます。
★その2:軌道のある平面に規則性
地球の軌道がある平面と、彗星の軌道がある平面がほぼ一致している点です。
★その3:公転方向の規則性
地球と同じ向きに太陽の周りを公転しています。
【長周期彗星(ちょうしゅうき すいせい)】
200年より長い周期の彗星を「長周期彗星」と呼びます。
短周期彗星と異なる主な特徴は3つ。
★その1:軌道の違い
中には楕円軌道ではなく(放物線や双曲線など)、二度と戻ってこない彗星もたくさん含まれています。長周期になればなる程細長くなり、楕円軌道でない彗星が増えます。
★その2:軌道の平面の違い
地球の軌道がある平面と長周期彗星の軌道がある平面の傾きに規則性がありません。
★その3:公転方向の違い
公転方向が決まっていません。
意外!彗星の正体とは?
結論から言います!
彗星はじつは「こおったどろだんご」
引用:学研の図鑑LIVE宇宙
子どもに説明するには、わかりやすいですよね!
「核」となっているのは、氷とちりでできた数キロ~数十キロの物体です。
氷の主成分は水。
ちりは地球の地殻を作っているような岩石の粒です。
★豆知識★
有名なハレー彗星の核は、長いところで約15kmです。
(参考:学研の図鑑LIVE宇宙)
彗星はなぜ輝くのか?
彗星は、軌道を回る間ずっと輝いているわけではありません。
彗星が輝く秘密は、太陽にあります。
彗星が太陽に近づくと、その熱で核の氷が蒸発し、ぼんやりとした光で包まれます。これを「コマ」と呼びます。
そしてコマからは、2本の尾がのびます。
1つは、電気を帯びたガス「イオンの尾」です。「プラズマの尾」とも呼ばれます。
そしてもう一方は「ちりの尾」です。
太陽に近づくほど、太陽風と太陽光の圧力を受けて、尾は太陽と反対方向にのびます。
彗星が「ほうき星」と呼ばれる所以ですね。
★豆知識★
彗星は木星の軌道より内側に入ってくると次第に輝き出し、尾を引くようになります。
(引用:学研の図鑑LIVE宇宙)
プラズマと言えば、蛍光灯やプラズマテレビなど身近な家電が多くあります。一見、家電と彗星の放つ光とは、あまり結びつかないですよね。
太陽・雷・オーロラなど自然界のプラズマ現象の方が子どもがイメージしやすいような気がします。また、科学館でプラズマを実際見てみるのもお薦めです!
★プラズマが見られる科学館情報
関東でプラズマボールを見ることができる科学館を2つご紹介します。
- 科学技術館(東京・千代田区)
- はまぎんこども宇宙科学館(神奈川・横浜)
私と息子のイチオシ科学館です!一日中楽しく遊べます!!
彗星はどこからくるのか?
彗星がどこからやってくるのかについて、2つのふるさとがあると考えられています。
【短周期彗星のふるさと】
短周期彗星は、図3の「エッジワース・カイパーベルト」という氷とちりでできたドーナツ状のベルトから、太陽に向かってやて来たと考えられています。
「エッジワース・カイパーベルト」は、海王星軌道の外側にあり、地球の公転軌道がある平面とほぼ同じ平面上に存在しています。
【長周期彗星のふるさと】
長周期彗星は、図4の「オールトの雲」という、球状の氷とちりの小天体の集まりから来たと考えられています。
「オールトの雲」は、長周期彗星の軌道が地球の公転軌道がある平面とは無関係であることから、円盤状ではなく球状であると考えられ、太陽系の惑星軌道のはるか外側に存在しています。
★豆知識★
惑星にはなれずに氷やチリのまま残った氷の小天体たちは、太陽系誕生の頃の姿をそのまま残していると考えられています。
ですから彗星も、イトカワやリュウグウなどの小惑星と同じように、太陽系誕生の謎を探る重要な研究対象になっています。
流星とは
流星(流れ星)とは、宇宙に漂う直径1mmから数cm程度のちりが高速で地球とぶつかり、大気の中で高温となり光を放ったものです。
流星と彗星の違いを比較
光の尾を持つという意味では彗星と似ていますが、全く別の天体です。
比べてみましょう!
★大きさや成分
彗星が直径数km以上の核を持つチリや氷でてきているのに対し、流星は直径数cm以下のちりからできています。
★光り方
彗星は太陽が当たって光るのに対し、流星は大気中で高温になり光ります。
★見える時間の長さ
彗星は太陽に近づくと一晩中見えることもあるのに対し、流星は数秒しか見えません。
★見え方
彗星はぼんやりした(尾が見えることもある)光の玉であるのに対し、流星は動く光の点であり、動いた跡が見えると線のように見えます。
火球と隕石~流星との関係
特に明るい流星を「火球(かきゅう)」といいます。大きな火球は大気中で燃え尽きずに地上に落下します。これを「隕石」といいます。
今年も既に、火球が見えたというニュースが各地で何件かありました。
実は隕石もそれ程珍しいものではないのかもしれません。
★隕石が見られる博物館情報
★豆知識★
本物の隕石は、東京上野にある「国立科学博物館」でたくさん見ることができますよ!隕石を見るならココと言ってもよいかもしれません。
私は、「国立科学博物館」で落下した隕石の展示を見てとても驚きました!
様々なサイズ、色。そして何より数の多さ!「ヘルメットを被って歩かないと怖い!・・・。」と思った記憶があります。お近くにお越しの際は是非足を運んでみてください。
調べてみたところ、国立科学博物館に比べると展示数は少なめですが、全国各地の博物館等でも隕石を展示していることがわかりました。興味のある方は調べてみてください。
流星群とは
流星とは、宇宙に漂うちりが高速で地球にぶつかったものだということは、既に説明しました。
では「流星群」とは何かと考えた時、群が付くからにはたくさんのちりがぶつかったのではないか?と想像できると思います。実際にその通りなのです。
ただし、ただ偶然ぶつかったというわけではないのです。その証拠に毎年ほぼ同じ時期に出現する、「しぶんぎ座流星群」・「ペルセウス座流星群」・「ふたご座流星群」という3大流星群や、「しし座流星群」など有名な流星群が存在します。
流星群が見える理由
流星群のもとになるちりは、実は彗星からもたらされます。
彗星は太陽に近づくと、イオンの尾とちりの尾を放出しますよね。この時彗星が放出したちりは、いつしか彗星の軌道上に密集し、ちりの帯(ダスト・トレイル)を作ります。
図5はペルセウス座流星群を例に、元となる彗星(スイフト・タットル彗星)と地球の関係をあらわしたものです。
彗星から放出されたちりが彗星軌道上にちりの帯を作っています。地球の軌道と彗星の軌道が交差する時、地球はちりの帯の中に突入します。地球は1年かけて太陽の周りをまわっていますので、毎年同じ時期に地球がちりの帯に突入することになります。
その時、まとめて地球の大気に突入してきたちりの粒が、光を放ち流星群になります。
★名前の付け方
流星群の名前の前に「〇〇座」と星座の名前がついているのは、ちりの飛んでくるおおよその方向にある星座の名前を流星群名の前に付けているためです。
★もとになる母天体
それぞれの流星群に、もとなる母天体(彗星など)が存在し、軌道もそれぞれ異なります。例えばペルセウス座流星群の場合には、スイフト・タットル彗星が母天体になります。
★突入してくるちりの速度
また、それぞれの流星群によって突入してくるちりの速度も異なります。
例えば、8月に見える「ペルセウス座流星群」や11月に見える「しし座流星群」は、図5のように地球の進行方向(公転方向)とちりの流れる方向が逆向きとなっているため、突入速度が速くなります。ちょうど正面衝突をするイメージですね。
一方、母天体の軌道と地球の軌道の交わり方はそれぞれ異なるので、地球の進行方向とちりの流れる方向が同じ場合には、速度が遅くなります。
★豆知識★
流星群によって流星の速度が変わる点にも注目して、違いがわかるか観察してみるのも面白いですね。
なぜ流星群は放射状に流れるの?
流星群の流星は、空の一点から飛び出すように見えます。その中心となる点を放射点と言い、放射点のある星座の名前をとって「〇〇座流星群」と呼びます。
なぜ放射状に見えるのか、少し不思議ですよね。その理由について解説します。
まず図6の赤線部ように、星空(天球)の一部分を切り取って考えてみます。真ん中に立っているのが観測者だと思ってください。
観測者から見た空がどのように見えるか表したのが、次の図7です。
流星のもとになるちりは、一定方向からやってきます。黄色い矢印(実線)は、大気中で流星が光った軌跡を表しています。観測者が空を見上げた時には、黄色い矢印を天球に投影した軌跡、つまり緑色の矢印として見えます。
放射点を中心に流れているのがわかると思います。
ここで再び図6に戻ってください。
実際には一部分(赤い部分)だけではなく、天球全体にちりが突入するので、図6のC点やD点などにも突入してきます。観測者が頭上を見上げた時、もしC点に突入したちりであれば左側に光の軌跡が見え、D点であれば右側に見えますよね。
ですから、天球全体で考えると流星の光る軌跡は、放射点を中心に放射状に見えます。
子どもにはちょっと難しい話だと思いますので、簡単にまとめてみましょう。
流星群のもとになるちりが
- 放射点に入ると、点に見える。
- 放射点以外に入ると、放射点を中心に放射状に見える。
- 放射点から離れた位置に入ると、放射点に遠い位置から光り始め、光の軌跡が長くなる。
- 逆に放射点に近い位置に入ると、放射点に近い位置から光り始め、光の軌跡が短くなる。
有名な流星群一覧~いつ見られる?
毎年ほぼ同じ時期に見られる有名な流星群についてご紹介します。
ほぼ同じ時期ではありますが、1~2日のずれや月明りの影響、ちりの帯(ダスト・トレイル)の濃度など、その年によって状況が変わってきます。
時期が近づいてきたら、インターネットを活用して、一番活動が活発な時期(極大)や、見やすい時間帯などの情報を収集をしてみましょう。
★印は、ほぼ毎年安定して多くの流星が見られる『三大流星群』です。
【★しぶんぎ座流星群】
流星出現:12/28~1/12
極大:1/4頃
極大1時間あたり流星数:45(年によって異なる)
母天体:小惑星番号196256の小惑星(仮符号 2003 EH1)が有力説
【4月こと座流星群】
流星出現:4/16~4/25
極大:4/22頃
極大1時間あたり流星数:10
母天体:サッチャー彗星(公転周期約400年)
春なので、屋外で観測しやすいと思います。
【みずがめ座η(エータ)流星群】
流星出現:4/19~5/28
極大:5/6頃
極大1時間あたり流星数:5
母天体:ハレー彗星(公転周期約76年)
【みずがめ座δ(デルタ)南流星群】
流星出現:7/12~8/23
極大:7/30頃
極大1時間あたり流星数:3
【★ペルセウス座流星群】
流星出現:7/17~8/24
極大:8/13頃
極大1時間あたり流星数:40
母天体:スイフト・タットル彗星(公転周期約130年)
詳細情報はこちらの記事を参考にしてください↓
【10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)】
流星出現:10/6~10/10
極大:10/8頃
極大1時間あたり流星数:5
母天体:ジャコビニ・ジンナー彗星(公転周期約6.5年)
【おうし座南流星群】
流星出現:9/10~11/20
極大:10/10頃
極大1時間あたり流星数:2
母天体:エンケ彗星といわれている(公転周期約3.3年)
【おうし座流星群(南群)】
流星出現:9/10~11/20
極大:10/10頃
極大1時間あたり流星数:2
母天体:エンケ彗星といわれている(公転周期約3.3年)
【オリオン座流星群】
流星出現:10/2~11/7
極大:10/21頃
極大1時間あたり流星数:5
母天体:ハレー彗星(公転周期約76年)
【おうし座流星群(北群)】
流星出現:10/20~12/10
極大:11/12頃
極大1時間あたり流星数:2
母天体:エンケ彗星といわれている(公転周期約3.3年)
【しし座流星群】
流星出現:11/6~11/30
極大:11/18頃
極大1時間あたり流星数:5
母天体:テンペル・タットル彗星(公転周期約33年)
【★ふたご座流星群】
流星出現:12/4~12/17
極大:12/14頃
極大1時間あたり流星数:45
母天体:フェートンという小惑星と言われている(公転周期約1.43年)
【こぐま座流星群】
流星出現:12/17~12/25、26
極大:12/22~12/23頃
極大1時間あたり流星数:年によって異なる
見る時のポイント☆彡
- 見る方向を気にする必要はありません。星空全体を見ましょう。
- なるべく明かりの少ない開けた場所をえらびましょう。
- 1、2分であきらめず15分は観察するようにしましょう。
- 首が痛くなるので、可能であれば横になるかリクライニング式の椅子に座って観察するとよいでしょう。(我が家ではベランダにシートを敷いて横になって観察しています。)
まとめ
彗星と流星と流星群の関係について解説しましたが、お子様の中で次々に新たな疑問が湧いてくるかもしれません。
興味が湧いたら、図鑑などをもっともっと調べてみてください。天体ショーは眺めるだけでも楽しいのですが、知識があると更に楽しめると思います。
星は、ただで誰でも楽しめる教材ですよね。
我が家でも、難しいことがわからなくても、とにかく楽しむことから始めてみようと思います。