小学生・中学生の自由研究におすすめ『ピンホールカメラ』の作り方を詳しくご紹介します。
ピンホールカメラ工作は、実はとても簡単です!
日光をあててから熱で現像する『コピーアートペーパー』という感光紙を使えば、アイロンをで簡単に日光写真を現像することもできます!
作り方が簡単&すぐ現像できるなら「面白い自由研究じゃない!」と思う方もいるかもしれませんが、その現像がなかなかに奥が深いのです。
日光の強さ、季節、時間など様々な条件で出来上がる日光写真は全く異なります。
この工作の中には、最適な条件を求める試行錯誤や、カメラの歴史、原理、ピンホールの大きさなど、自由研究として考察する面白いテーマがたくさん詰まっています。
どんな自由研究にするかは子どものアイディア次第!
カメラの歴史も、「え!?昔はそんなことをしていたなんて面白い!」と、私はかなり驚きました。
もしかすると、今回ご紹介する私が考えた工作よりも、より良い作り方があるかもしれません。作り方をテーマにして自由研究にするのも面白いと思います。
是非、ピンホールカメラの作り方もアップデートしてみてください!
ピンホールカメラの材料
◆ベースの箱
牛乳パック・チップスターの筒(牛乳パックより長いもの):各1
◆レンズ周り
虫眼鏡1・アルミホイル・画びょう・ボールペン・マスキングテープ(あると便利)
◆投影するもの
トレーシングペーパー(無ければレジ袋など半透明の白いもの)
◆現像
コピーアートペーパー(感光紙)・台紙にする厚紙(牛乳パックなどでOK)・アイロン・アイロン台
◆光を遮断する黒いもの
黒画用紙・黒ビニールテープ
◆その他道具類
はさみ・カッター・セロテープ・定規
◆装飾材料
シールやテープなどお好みのもの
ピンホールカメラの作り方
1.ピンホールカメラの内箱を作る。
チップスター筒の底を切り抜いて、図のようにトレーシングペーパーをセロテープで貼ります。
光が投影される面なので、たるみの無いようにピンと張りましょう。
2.レンズの焦点距離を測る。
虫眼鏡に光を当てて、光が一点に集まる位置を探します。レンズと集まった光までの距離(焦点距離)を測っておきましょう。
光が一点に集まると高温になるので、燃えやすいものがない場所で行ってください。
今回は倍率3倍の虫眼鏡(百均ダイソー)で、実測値60mmとなりました。ご参考までに。
3.ピンホールカメラの外箱を作る。
牛乳パックの注ぎ口側は、折れ線が入った部分で切り落としておきましょう。
次に、虫眼鏡の大きさに合わせて図のように、牛乳パックの底に穴を開けます。
牛乳パックの底は、のりしろ部分がとても固いので、のりしろ以外の部分からカッターで切り始め、途中からはさみに持ち替えて切ると切りやすいですよ。
次に、牛乳パックの側面にコピーアートペーパー(感光紙)を入れるための窓を作ります。
牛乳パックの内側を覗いてみて、のりしろの無い面を使用してください。
図1を見てください。
赤い線が2で測った焦点距離のライン、緑の線が赤い線から上下に30mm程度の余裕を設けたラインです。
①の長さは牛乳パックの高さの半分程度にすると、三脚などに固定しやすいです。
②の長さは1.5cm程度残るようにしましょう。
線を描いたら、図2のようにカッターで切り、窓を開いておきましょう。
定規などをあてて開くときれいな折り目をつけることができますよ。(図2左方向が底側)
4.外箱の補強【省略可】
余裕があれば、外箱の補強をしましょう。その方が箱の形が安定し撮影しやすいです。
※補強無しでも一応撮影はできます。
残った牛乳パックの切れ端などを使い図3のように飲み口側の四隅を補強します。
5.外箱を黒色で覆う。
外からの光を遮断するために、牛乳パックを黒色で覆います。
どんな方法でも構わないのですが、箱を三脚や机に固定することも考えると、固定用のテープを貼ったり剥がしたりできる素材の方がよいと思います。
今回は、黒ビニールテープと黒画用紙を使いました。
※全て黒ビニールテープでも構いません。
はじめに、感光紙を入れる窓の部分に黒画用紙を貼ります。
開いた窓より1.5cm程度大きな黒画用紙を用意し、図4のようにセロテープで貼りましょう。
次は図5のように、窓の先端と根元に黒いビニールテープを貼ります。
根元のビニールテープは、牛乳パックにぐるっと一周巻いてあります。
その後、窓の左右にはみ出ている黒画用紙を、牛乳パックに沿って折り込んでおきましょう。
次は、図6を見てください。
左右側面と底面の3面を覆うサイズの黒画用紙を用意し、セロテープなどで貼りましょう。
黒画用紙ではなく、黒ビニールテープで覆ってもOKです。
底面とその付近の残った部分は、黒ビニールテープを貼っておきましょう。
最後に、飲み口側の残った部分にも黒ビニールテープをぐるぐると巻きます。
6.装飾&内箱と外箱の合体
1で作った内箱(チップスター筒)を、トレーシングペーパーを付けた方から外箱(牛乳パック)の中に入れます。
お好みで装飾などもしてみてください!
光の科学実験~カメラレンズの付けかえ
カメラの歴史や原理は、例えば「Canon」など光学メーカーのサイトでも調べることができました。調べてみると結構面白いですよ!
牛乳パックに開けた穴に次の3種類のものを取り付けて、見え方の違いを観察してみましょう!
- 画びょうの穴(ピンホール)
- 画びょうより少し大きい穴
- レンズ(虫眼鏡)
1.画びょうの穴(ピンホール)
牛乳パックの底面に被せる黒画用紙を用意します。図のように中央にカッターで適当なサイズの窓を開けておきましょう。
アルミホイルに画びょうを垂直に刺して、なるべく真円に近い穴を開けます。
そのアルミホイルを黒画用紙の窓に貼ります。マスキングテープを使うと剥がす時に便利ですよ。
これを牛乳パックの底にテープでとめて、チップスターの筒を動かしながら明るい場所を見て、ピントを合わせてみましょう!
これが、ピンホールカメラです。
2.画びょうより少し大きい穴
まず画びょうで小さな黒画用紙に穴を開け、とがった鉛筆やボールペンなどで少し穴を広げます。
その後、1のアルミホイルを外して、今作った黒画用紙に貼りかえます。
徐々に穴を大きくして、違いを観察してみると面白いですよ。
3.レンズ(虫眼鏡)
最後は、黒画用紙を外して、牛乳パックの本体にセロテープでしっかりと虫眼鏡を固定します。
見え方が格段に変わります!!
ピンホールカメラの現像~コピーアート&アイロン
コピーアートペーパーというアイロンなどの熱で現像できる感光紙を用います。
実際に日光写真を撮る科学実験に挑戦してみましょう!
虫眼鏡のレンズを牛乳パックの底に付けて撮影を行います。
1.ピンホールカメラの固定点
まず、大事なのは安定したピンホールカメラの置き場所です。
机などの台か、三脚があると便利です。今回は持ち運びしやすい三脚で撮影しました。
三脚への固定は、養生テープと紐を使いました。動かないようにしっかりと固定しておきましょう。
2.被写体とピント合わせ
直射日光下や逆光だとうまく撮影ができません。明るいけれど、直射日光が射さない場所から挑戦してみてください。
また、被写体が近すぎると上手くピント調整ができません。
遠景を撮影するか、最低でも1mくらいは離れて撮影しましょう。
筒の中を覗いてピントが合ったら、うち箱と外箱をセロテープで数か所固定します。
後で剥がせるように注意しながら、しっかりと固定しましょう。位置がずれると撮影できません。
3.コピーアートペーパー(感光紙)をセットする。
牛乳パックで作った正方形の台紙に、コピーアートペーパーを貼り付けます。
コピーアートペーパーは、薄黄色の面が上になるように台紙に貼ってください。
後で剥がしやすいように小さく輪にしたセロテープなどで軽く貼る程度でOK。
また、台紙の上部と裏面にもセロテープを付けておきます。(撮影中の仮固定用。)
窓の部分を開けて、トレーシングペーパーの面に台紙ごとセットしましょう。
なるべく光が当たらないように手早く作業して、窓を閉めます。
このまま数十分~数時間放置するので、その間に窓が開いてしまわないように、窓と本体をセロテープなどで二か所程固定します。
※あまり固定しすぎると開ける時に苦労しますので、上手く工夫してみてください。
4.現像する。
目安の時間もあるようですが、季節・場所・天気・時間など様々な要素が関係してくるので、目安はあまりあてになりませんでした。自分で何度も行ってみるのが一番良さそうです。
私は室内でしたので、放置する時間は45分からスタートしました。
終わったら、光を当てないように注意して低温のアイロンを20秒くらいあてて現像してください。
【現像後の確認方法】
もし真っ白ならば光の当てすぎ、
青すぎならば光不足です。
もう一つ、現像前にこんな確認の仕方もあります。
【現像前の確認方法】
もし黄色が残っているならば光不足の可能性あり、
真っ白ならば光の当てすぎの可能性ありです。
※ただし、現像前に窓を開けて確認する方法は、カメラが動いたり、光が入ってしまうリスクもあります。屋外など光の強い場所ではやめておいた方が無難です。
最適な条件を求めるのが、最大の難所であり、自由研究の考察ポイントでもあります!
何度も試してみてくださいね!
今回は、数日かけて通算15回程試しました。
9月のよく晴れた日の午前中という条件で撮影した3枚はこちら。
左:3時間
中:2時間
右:45分
天候にも左右されるので、我が家の室内ではこれくらいが限界でした・・・。
皆さんは、少し日程の余裕をもって日光写真に挑戦してみてくださいね。
撮影のポイント&改善点~まとめ
工作は割と簡単です!
ただし綺麗に現像できる条件を探すのは、それなりに難しいです。
でも、失敗した分だけ、現像できた時の喜びは大きいです!
小学生(中学年)~中学生向きの科学工作だと思います。
小学校2年生の息子が一人で行うには、難しそうです。それでもやはり現像されたものを見て、とても驚いていました。
改善点やポイントなどを、最後にまとめておきます。
- 牛乳パックは少しだけ変形しやすい。
変形しても撮影には支障がありませんでしたが、余裕があれば内箱を牛乳パックに、外箱を工作用紙で直方体に製作してもよいかもしれません。
- コピーアートペーパーを入れる窓から光が入らぬよう注意。
窓を開けて作業する時は手早くすることと、途中で窓が開かないように注意することが必要です。ビニールテープでとめておいたら開いてしまったり、養生テープでとめたら剥がれなくなったことがありました。長めのセロテープが私のおすすめです。
- ピンホールカメラの台について。
カメラの位置が撮影中にずれないように、台や三脚にしっかり固定する必要があります。三脚の場合、重心の位置で固定しないと不安定になりやすいのでご注意ください。
- コピーアートペーパーの扱いについて。
強い光にあたるとすぐに色が変わってしまいます。保管はアルミ袋に入れてしっかり遮光しましょう。使用する時もなるべく光が当たらないように工夫してください。
- 撮影場所について。
我が家のベランダは日当たりが良すぎて、何回行っても晴れた日には撮影できませんでした。また、屋内は光量不足になりがちで、部屋が明るい特定の時間帯しか撮影できませんでした。逆光もNGでした。
最適な撮影場所を探すのが、なかなか難しいと感じました。
- 現像は、余裕を持って実験する。
現像は何度も試行錯誤が必要です。小学生・中学生が自由研究をする場合などは、コピーアートペーパーの枚数や日程などに余裕を持っておくと安心です。
カメラが工作できるなんて!家で現像できるなんて!
小学生や中学生だけではなく、大人の私も楽しめる科学実験でした。
現像まで行うと、より面白い工作になると思います。
是非、夏休みの自由研究などに挑戦してみてください。