天体望遠鏡がなくても観察できる「星座観察」は、子供たちが宇宙に興味を持つきかっけとして最適です。
特に湿気が少なく空気が澄んでいる冬は、星座観察に適した季節。
日暮れも早く、明るい1等星を含む星座もたくさん見ることができます。
この記事では、有名な『オリオン座』について、詳しくお伝えしていきます。
オリオン座の魅力はいくつもあります。例えば、
- とても探しやすい。
- オリオン座を1つ覚えるだけで、周囲にある冬の星座を探す手がかりになる。
- 星の誕生から終わりについて学ぶこともできる。
- 星が今まさにたくさん生まれている場所『オリオン大星雲』を肉眼で見ることができる。
などなど。
実は、宇宙を知ることは生命の起源を知ることでもあるのです。
宇宙を知れば知るほど生命の不思議を感じ、今ここに自分が存在していることが奇跡だと感じてくるかもしれません。
星座観察を通して、一人でも多くの子供たちが宇宙に興味を持ってくれることを願っています。
オリオン座の探し方や見える季節
◆オリオン座を『観察しやすい時期』&『位置』
子供も観察しやすい条件
時間:20時
高度:30°以上
で星座早見を調べると、
12月下旬~3月
頃が、観察しやすい時期になると思います。
見える方角(位置)は、時期や時間によっても異なるので『星座早見』で調べましょう。
星座早見の使い方や、高度に関しては、以下の記事を参考にしてください。
\星座早見の使い方や高度に関しては、こちら!/
※月明りの少ない新月の前後1週間が星座観察に適しています。
オリオン座の中で特に探しやすい星
オリオン座は、ギリシャ神話に出てくるオリオンという狩人の姿を表した星座です。
オリオン座を構成する星の数は結構多いので、腕の部分も含めて全ての星を探そうとすると難しいと思います。
そこで、この記事では代表的な星である胴体分部の8つの星を中心に説明していきます。
また、腰に付けた短刀にある3点『小三つ星』についても解説します。
オリオン座には、赤色の『ベテルギウス』と青白色の『リゲル』という2つの1等星があります。
その色から、日本ではベテルギウスを平家星、リゲルを源氏星と呼ぶことがあります。
(源氏と平家が戦った時の旗の色にちなんで名づけられました。)
★星座を楽しむ豆知識★
星の色は温度によって決まります。
赤っぽい色は温度が低い星、青白い色は温度が高い星です!
色々な色の星があるので、是非観察してみてください。
オリオン座の楽しみ方~こんなことも分かる!
オリオン座はとても有名で探しやすい星座ですが、実はこの星座の中に肉眼や双眼鏡でも観察できる星団や星雲が含まれていることをご存じでしょうか?
天体望遠鏡が無くても見ることができるので、是非お子様と楽しんでみてください!
また、オリオン座の周辺には1等星を含む星座が多く集まっています。
オリオン座を探すことができるようになると、それを手がかりにして周辺の星座も探すことができるようになりますよ!
星にも一生がある!
星座を構成する星たちは、太陽のように光を放つ星です。
このような星を恒星といいます。
全ての恒星には寿命があり、星の重さ(大きさ)によってどのように一生を終えるのかが異なってきます。
オリオン座には、今にも寿命を迎えそうな星や、今まさに星が誕生している最中であるエリアが存在し、星にも一生があることを感じることができる星座です。
夜空に輝く恒星や星雲を見ていると、星が一生を終えて消えていくことは決して珍しい現象ではなく、地球上の生命と同じように誕生と消滅を繰り返していることに気が付くと思います。
そして、一生を終えた星たちの残骸は、新しい星の材料にもなるのです。
そのようなことを考えながら夜空を見ると、何だかとてもすごいものを目撃しているような気がしてくるかもしれません。
星座観察は、宇宙や生命に興味を持つきっかけを与えてくれるものだと感じます。
◆オリオン座の1等星『ベテルギウス』に注目!
オリオン座の右肩に当たる、赤い1等星『ベテルギウス』は、太陽のおよそ1000倍の大きさがあるとても大きな恒星です。
直径が最大でおよそ14億kmと言われており、太陽と比べると木星の軌道付近に到達するほど大きいのです。
もともと太陽よりも大きな恒星ですが、ベテルギウスがここまで大きいことには理由があります。
恒星は、寿命が近づいてくると大きく膨れ上がる時期があるのです。
太陽ですら、最後は地球の軌道付近まで膨れ上がると言われています。
つまり、ベテルギウスは一生の終わりが近づいている恒星なのです。
100万年以内に終わりを迎えると言われていますが、それが明日なのか数十万年後なのかは誰にもわかりません。
赤くて明るい1等星『ベテルギウス』は、近い将来見られなくなるかもしれません。
恒星の一生について、是非、宇宙の図鑑で調べてみてください。
◆オリオン座大星雲~星の赤ちゃんが生まれている!
星雲とは、宇宙に広がったガスやちりが濃く、雲となったものです。
ガスは温度によって状態を変え、冷えて固まるとちりになることもあります。
ですから、ガスの状態、ちりの量、周囲環境により星雲にもいくつかの種類があります。
オリオン座の中には、何種類か星雲が存在しますが、肉眼でも見えるとても有名な『オリオン大星雲』という星雲が存在します。
オリオン大星雲M42は、星雲のガスが温められて電離しているので、自ら光を出して輝いている星雲です。
例えば水素ガスが電離すると、原子核と電子がバラバラになります。そして原子核と電子がくっつく時にエネルギーが光となって放出します。
つまり、オリオン大星雲は星のように見えるけれども輝く星雲なのです。
輪郭がぼんやりして見えるのは、そのためです。
【お隣のM43についての補足】
M42の北側(図1だと上側)にあるM43は、オリオン大星雲の一部ですが、別々の星雲に見えることからM43という名が付いています。
宇宙に広がるガスやちりは星の材料にもなります。
特に明るい部分は新しい星が生まれている最中でなので、『星のゆりかご』とも呼ばれています。
我が家の安い双眼鏡(8倍口径20mm)だと、オリオン大星雲M42の中にいくつかの星が輝いているのが見えました。ぼんやりした輪郭と光が揺らぐように輝く姿を見て、これが星雲なのかと胸が高鳴りました。
もっと性能の良い双眼鏡であれば、『トラペジウム』と呼ばれる台形型の4つの星が見えると思います。トラペジウムは、新しく生まれた若い星の集まり(散開星団)なんですよ。
肉眼でも見える星雲の中で今まさに星が生まれているのかと想像すると、とてもワクワクしてきませんか。是非、お子様と一緒に宇宙図鑑などを調べながらオリオン座の観察を楽しんでみてください!
オリオン座は、星座全体がガスやちりで覆われています。
星が一生を終えガスやちりとなった後、それを材料にまた新しい星が生まれているという壮大な命の循環を目撃できる場所の1つです。
オリオン座には他にも有名な星雲があるので、興味があれば宇宙の図鑑などを調べてみてくださいね!
オリオン座をたよりに、冬の星座たちをもっと探そう!
オリオン座はとても見つけやすい星座なので、この星座をたよりに周囲にある冬の星座をいくつも探すことができます。
この記事では、明るく探しやすい1等星を含む星座をお伝えしています。
星座は、日時により見える位置が変わります。さらに回転も加わるので、慣れるまでは探しにくいかもしれません。
そんな時は、星座早見盤を使いながら探してみてください!
◆冬の大三角~オリオン座のベテルギウスをたよりにして!
オリオン座の1等星ベテルギウスと、おおいぬ座の1等星シリウスと、こいぬ座の1等星プロキオンをつないだ三角形を『冬の大三角』と言います。
特にシリウスは、21ある1等星の中で最も明るい星です。
シリウスを探す時は、オリオン座の中心にある三つ星を延長した線上を探してみてください。
オリオン座自体が割と大きな星座ですが、冬の大三角はさらに大きいです。ですから、最初は少し探しにくいかもしれません。
おおいぬ座は全ての星を探そうとせず、とても明るいシリウスをまず探してみてください。
こいぬ座は星が2つしかなく周囲に明るい星も少ないので、割と探しやすいと思いますよ。
遅い時間であれば12月頃から見ることができますが、子供が観察しやすい20時頃は特にシリウスの高度が低いのであまり見えません。
高度が上がって、冬の大三角の星座を全て観察しやすい時期は、1月中旬~3月頃だと思いますので、星座早見盤を見ながら3つの星座を探してみてください。
◆冬のダイヤモンド~オリオン座のリゲルをたよりにして!
オリオン座のリゲルを含む6つの1等星を結ぶと、『冬のダイヤモンド』と呼ばれる六角形ができます。
範囲が広いので少し難易度は上がりますが、オリオン座と先述した冬の大三角を見つけられると、残り3つの星も見つけやすいと思います。
【冬のダイヤモンドを構成する1等星】
①オリオン座・リゲル
②おおいぬ座・シリウス
③こいぬ座・プロキオン
④ふたご座・ポルックス
⑤ぎょしゃ座・カペラ
⑥おうし座・アルデバラン
星座観察にお薦めの図鑑&本
星座を調べるだけならば星座図鑑が一冊あれば十分です。
しかし、興味をもった恒星のことや疑問点について更に詳しく調べるためには、やはり星座図鑑だけではなく宇宙全般について書かれた宇宙の図鑑があった方がよいと思います。
最近の学習図鑑はDVDも付いているものが多く、子供から大人まで楽しめますよ。
我が家で実際に使っている図鑑や本の特徴やお薦めポイントなどをまとめてみます。
◆星座図鑑
お好みの図鑑でよいと思いますが、迷ったらハンディタイプの図鑑より学習図鑑の方がお薦めです。
①講談社動く図鑑MOVE 星と星座
【こんな方にお薦め】
- 星座をこれからもっと好きになりたい方~子供が自分で読むのにも◎
星座観察の基礎知識からその星座の天文学的な見どころまで掲載されています。星座にまつわる神話も豊富に掲載され、子供が星座に興味を持つための最初の一冊として最適だと感じました。特に神話の絵と解説がたくさんあるので、子供が自分で読む図鑑としても適していると思います。
- DVD~美しい映像と豊富な情報量
NHKエンタープライズが制作したDVDが付属しています。
まるでプラネタリウムで星空解説を視聴しているようなDVDで、映像もとても美しいです。
キャラクターこそ登場しませんが、ナレーションと音楽で十分に楽しめます。四季の星座に関する解説だけではなく、例えば「天体現象」や「星座の見え方と自転・公転との関係」など、宇宙に関する知識も豊富に含まれている点が魅力です。
(個人的には、特にオーロラの解説がとても興味深かったです。)
季節ごとに星座がまとめられているので、星座観察に重宝します。
これが一冊あれば、基礎知識は十分という印象でした。
各星座にまつわる天文学的な見どころをもっと詳しく知りたい場合には、宇宙全般について書かれた宇宙の図鑑が必要だと思います。
②小学館の図鑑NEO新版 星と星座
【こんな方にお薦め】
- 星座に関する幅広い知識を得たい方
星座観察の基礎知識からその星座の天文学的な知識や文化との関わりなど、かなり広範囲の知識をコンパクトにまとめているという印象を受けました。
例えば、オリオン座の周囲にある星雲も、1つではなくいくつも紹介されていました。
- DVD~星座の楽しさを幅広い世代に
詳しい知識は図鑑に載っているので、DVDでは「星座ってこんなにおもしろいよ」ということを伝える構成になっていると感じました。ドラえもんも勿論登場します。
例えば、日本文化と天体との関係や、星をカメラで撮影するための詳しい基礎知識や、全88星座を覚える歌なども収録されています。
(個人的には、国立天文台の副台長さんのお話がとても興味深かったです。)
宇宙図鑑ほどではありませんが、各星座と関わりのある天体の知識も知ることができるので、星座を入口にして宇宙全体に興味の幅を広げたい方にもお薦めです。
◆宇宙図鑑
星座図鑑だけでは調べきれないような詳しい情報が得られます。
星座を観察していて興味を持ったことや疑問に思ったことを調べる時に、とても重宝します。
①小学館の図鑑NEO新版 宇宙
【こんな方にお薦め】
- もっと宇宙に興味を持ちたい方
太陽系や宇宙誕生についてなど、宇宙に関する幅広い知識をわかりやすく説明していることは勿論、宇宙研究や宇宙開発に関しても詳しく書かれています。
- DVD~宇宙に関する総合的な知識を得たい方
皆が知っているドラえもんがナビゲートしてくれるので、幼児からもっと上の年齢の子どもまで楽しめます。クイズ形式で宇宙に関する知識をたくさん学ぶことができますよ。
やはり子供の場合、DVDの効果は絶大だと思います。
NEOのDVDは、「宇宙という難しい分野に興味を持つきっかけとして、申し分ない総合的な知識を与えてくれます。特に宇宙飛行士のインタビューがとてもおもしろかったですよ。
②学研の図鑑LIVE 宇宙
【こんな方にお薦め】
- もっと宇宙に興味を持ちたい方
太陽系や宇宙誕生についてなど、宇宙に関する幅広い知識をわかりやすく説明しています。
- DVD~惑星系の誕生や生命誕生の秘密を知りたい方
BBC(英国放送協会)のDVDが付属されています。
「太陽系について詳しく知ること」は、「どのように恒星や惑星系が誕生したのか」を知る上で非常に重要であることを教えてくれます。宇宙の現象と物理学との関わりなども学べると思います。
学研の図鑑LIVEのDVDの特徴は、多くの知識をDVDで手っ取り早く得るのではなく、ポイントを数点に絞り深掘りしていく点にあると思います。
ですから、幼児や今現在宇宙に興味のない方がDVDを見ると飽きてしまうかもしれません。しかし、小学生高学年以上のお子様や既に宇宙に少しでも興味のある方であれば、奥深さに気が付くのではないかと思いました。
(私自身多くの気付きがありました。生命の不思議を感じずにはいられません。)
物理学に興味を持つきっかけにもなるかもしれません。
◆子供が自分で読む かがく本
子供と「星や星座」の話をしていて驚いたことがあります。
それは、意外と宇宙について知っていたという点です。
この本に、色々書いてあるよ!
持ってきたのは、この本です。
宇宙を楽しく学ぶ工夫がいっぱい詰まった本なので、本を読むのが苦手な子供でも楽しめると思います。絵やマンガが豊富で初心者向けと思いきや、身近な太陽系からブラックホールまで宇宙に関する情報量は結構多い良書だと感じました。
【参考資料】
・講談社動く図鑑MOVE 星と星座
・小学館の図鑑NEO新版 星と星座
・小学館の図鑑NEO新版 宇宙
・学研の図鑑LIVE 宇宙
・宇宙のふしぎ なぜ?どうして?(高橋書店)