この記事では、「納豆菌がデンプンを分解するかどうか?」を確かめるため、家庭でできる簡単な科学実験の方法をお伝えしています。
また、デンプンがブドウ糖に分解されるまでの過程や、体の中でどのように消化されるかなど、『デンプンについての知識』を小学生でもわかりやすいように解説しています。
納豆菌について
納豆の中には、納豆菌という体にとって有用な様々な菌が含まれています。
また、納豆菌が分裂し増殖していく過程で、タンパク質・炭水化物・脂肪などを分解する酵素を作り出します。
「全国納豆協同組合」のHPによると、納豆菌の中には次のような酵素が含まれているそうです。
今回の実験では、「アミラーゼ」という酵素が炭水化物(デンプン)を分解するかどうかを確かめてみましょう!
デンプンと消化について
消化のしくみについて、図でまとめてみます。
「アミラーゼ」は、人の体だと、口(だ液)やすい臓(すい液)に含まれている消化酵素です。
デンプンは、最終的にはブドウ糖というものに分解されます。
詳しくは、高校化学で習う内容なので、この記事では簡単な図で説明します。
①
デンプンは、アミラーゼという酵素の働きで、少し小さなデキストリンというものに分解されます。
※デンプンの構造は、六角形がたくさんつながったものだと考えてみてください。
②
デキストリンは、アミラーゼという酵素の働きで、マルトースという糖類(二糖類)に分解されます。
※マルトースの構造は、六角形が2つつながったものをイメージしてみてください。
③
マルトースは、マルターゼという酵素の働きで、最終的にブドウ糖になります。
※ブドウ糖の構造は、六角形1つとイメージしてみてください。
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実験の目的・予想・手順について
◆実験の目的
この実験では、納豆の中に含まれるアミラーゼという酵素が、でんぷんを分解するかどうかを確かめます。
その為に、小学生が理科で習う『ヨウ素デンプン反応』を利用します。
『ヨウ素デンプン反応』とは、デンプンとヨウ素が反応すると青紫色に変化する反応のことです。
ヨウ素(ヨード)とは、昆布やわかめなどの海藻に含まれるミネラルの一種です。
家庭で実験に使う場合には、ヨウ素から作られた化合物のポピヨンヨードを使うと便利です。
具体的には、茶色いうがい薬などを成分を確認してから使用してください。
◆実験の手順
手順1
でんぷん液を2つ作ります。
ティースプーン大盛り一杯の片栗粉と50ml程度の水を容器に入れてかき混ぜます。
比較用に同じものを2つ用意しましょう。
手順2
納豆のネバネバを利用した納豆粘液を作ります。
【納豆粘液について】
1.納豆をかき混ぜる。
2.納豆を別の容器に移す。
(納豆の豆は、実験に使わないので美味しく食べてくださいね。)
3.かき混ぜた容器についているネバネバに水を足してかき混ぜ、納豆粘液を作る。
4.手順1で作ったでんぷん液のうち、片方の容器だけに納豆粘液を入れる。
手順3
納豆粘液なしのデンプン液に水を足し、納豆粘液ありのデンプン液と水位を合わせておく。
手順3
軽くラップをのせて、時間をおく。
(今回の実験では、丸1日このままにしました。)
手順4
納豆粘液ありと納豆粘液なしのそれぞれのデンプン液に、ポピヨンヨードが含まれている消毒液を2~3滴たらしてかき混ぜる。
◆実験の予想
納豆には、アミラーゼというデンプンを分解する酵素が含まれているので、デキストリンやマルトースに分解されていると予想されます。
もしデンプンがある程度分解されていれば、納豆粘液ありのデンプン液は青紫色が薄くなるはずだと考えました。
ちなみに、デキストリンは殆ど味がしないそうですが、マルトースは甘味があります。
※お薦めはしませんが、もし味見をするのであれば、ポピヨンヨードを入れる前のもので自己責任でお願い致します。
実験の結果について
「納豆粘液ありのデンプン液の青紫色が少し薄くなればよいな」くらいの軽い気持ちで実験しましたが、驚きの結果となりました!!
なんと、納豆菌ありの方にポピヨンヨードを何滴加えても、ほとんど青紫色になりませんでした!
納豆菌、すごい・・・。
消化によい食べ物と言われていますが、改めて納豆のすごさを実感しました!
とっても簡単な科学実験なので、是非試してみてください。