幼少期から極度に手先が不器用で、5歳になるまで絵がほとんど書けず自分に自信を持てなかった息子。
これまでおよそ3年間、絵を書く「苦手さ」を『楽しさ』に変えて『自己肯定感』を高める工夫を親子で実践してきました。
もしも息子と同じように、製作の時間や図工の時間に自信が持てず、辛い思いをしているお子様がいましたら、是非この記事を読んでみてください。
発達がゆっくりな我が子ではありますが、彼なりの成長の様子をご紹介したいと思います。
クレヨンで消された暗黒時代
絵が苦手な子供の気持ちがわかりますか?
私は正直なところ、息子と出会わなければわからなかったと思います。
クレヨンや鉛筆は、ある年齢がくれば誰でもきちんと握って書けると思っていましたし、幼稚園に入っても丸すら書けない子供がいるとは思ってもみませんでした。
そんな絵の描けなかった子供が、私の息子です。
当時の息子の絵と言えば、形あるものではなく、ひたすらぐちゃぐちゃと画用紙を不規則な線で塗りつぶしたものでした。
幼稚園や保育園に入ると必ずお絵描きの時間がありますよね。絵の描けない息子にとってはそれがとてもとても苦痛な時間で、親が思う以上に深刻な問題でした。
私がそれに気づいたのは、息子が5歳になる少し前のことでした。
突然、クレヨンの黒ばかりを使って画用紙を塗りつぶすようになってしまったのです。
ひな祭りの製作では、お雛様の顔を全て真っ黒に塗りつぶしてありました。
勿論そんな子はクラスで我が子一人だけ。
本人は「後ろ向きなんだよ。」と言って友達のお母さんを笑わせていましたが、私には本当の理由がわかっていました。「どうせできない。」が当時の息子の口癖でした。
この絵を見た時、
この子、こ の ま ま じ ゃ い け な い
何とか自己肯定感を高めてあげたいと思いました。
自分らしさとは?
果たして、私は親として何ができるのでしょうか。
絵が得意な子は、幼い頃から絵が好きなものだと思います。好きだからどんどん上手くなる。
だとしたら、幼い頃から絵が苦手な我が子が目標とするのは、絵が上手になることではないと思いました。ものの形を上手に捉えることができなくても絵は描けると教えてあげたい!
だから、息子にこう言ったんです。
「とりあえず、色々な色を使ってみようよ。」
「誰 よ り カ ラ フ ル に しちゃおうよ!」と。
私は絵の素人なので、まず黒色以外の色を使ってみることから提案しました。
自分らしさが何か、初めは誰にもわかりませんよね。
息子も私も、わかりませんでした。
だから、まずは い ろ い ろ 試 し て みるのがいいと思います。
カラフルと言えばレインボー!まずは虹を書いてみることに。
虹は線を引くだけなので、想像よりも上手に描けて息子も満足気でした!
「キ レ イ だ か ら 家 に 飾 っ て !」
そんなことを息子から言ってきたのは、それが初めてのことでした。
(描いた絵を切り取って色画用紙に貼ると、何となく上手に見えておススメですよ。)
この頃から、少しずつ色を使って絵を書くようになっていきました。
最初は全ての色を使いたがりましたが、そのうち何でも青がいい青時代に突入し・・・。
その後、徐 々 に 個 性 が現れて・・・。
今現在では、見たままの色ではなくイメージの世界で色を決め、少々個性的な色使いをするようになっています。
好きな色は、
エメラルド・黄色・金色・水色
だそうですよ。それはそれで、息子が見つけた自分らしさなので、否定せず温かく見守っています。
ゆっくりでいいよ~はじめて顔が書けた日
息子は、周りの子がかわいい人間の絵を描ける年齢になっても、何を描いたかわかる絵というものが描けずにいました。
でも、その日は突然来たんです。
年中の時、父の日の製作で珍しく一生懸命に取り組んでいたそうで、ついに「顔」とわかる絵が描けたんです。
栗みたいだけど、頭から足が生えてるけど、それは確かに「眼鏡をかけて髭を生やして坊主頭のお父さんの顔」でした!
(小学生になった今、息子もこの絵を振り返り「栗だね。」と言っています。)
そして、丸と線を使って人物を書くことが、ゆっくりゆっくりできるようになっていきました。
決して、上手ではありません(笑)。
でも周囲と比べないでくださいね。
ゆっくり、ゆっくり とです。
見て見て!すごいでしょ!ブーム
子供の絵を見て素敵だなと思うポイントを見つけたら、すかさず伝えてあげるといいですよ!
「この形、おもしろいね~。どこにもない絵だね!」
「この色いいね!どこにもないオリジナルの色だね!」
上手いと褒めてもOKだし、上手いではなく独特の感性を褒めてあげてもOK!
うちは「どこにもないもの」を合言葉にして楽しみました。
すると息子の様子が大きく変わりました。
あんなに自信が無かったのに、
「見て見てすごいでしょ!」
「ぼくにしかない色でキレイでしょ!」
「家の中を僕の絵でキレイにしてあげるよ!」
少しずつ自己肯定感が高まっていたらと嬉しいなあ。
子供の作品を家に飾ってあげるのは、とてもおススメの方法だと思います♪
こんなものも。
ピカソ「泣く女」の模写です。
本物を知らない方は検索してみてください。笑っちゃうくらい似てません・・・。
独特の色使いが息子流みたいです。
因みに我が家では、ずっと飾っておくものは額に入れてありますが、今だけかもしれないものは汚れ防止用の袋(ダイレクトメールが入っているOPP袋)に入れてマスキングテープで壁に貼っています。
他には、エコバックなどに油性マジックで絵を書いてもらい、普段使いしています。自分を書いた絵を使ってくれているというのが、嬉しいみたいですよ。
失敗したら、消毒用アルコールをかけると油性マジックが滲んで、また違った味が出ますので試してみてくださいね!
常にあるそばにある三種の神器
絵を楽しんだり身近に感じるために、いつもすくそばに置いてあるものを紹介します!
- 色鉛筆
- 色マジック
- マスキングテープ
です。
さあ、絵を書こうよ!と意気込まずに、広告の裏でもメモ帳でも気軽に自由に絵を書ける環境を整えてあげると、絵が苦手な子でも自然と絵を書いてくれます。
人生に一度はいいことがある!?
友達と一緒に応募してみた市主催の小さな絵画展で、予想外に入選しました。
当初は渋々書いていたのですが、仲良しのお友達が頑張っている姿を見てやる気が湧いたようで、最後は一生懸命頑張っていました。
完成した絵は、お世辞にも上手とは言えない抽象的な絵でしたが、独特の色使いで自分だけの個性を認めてもらえたのではないでしょうか。
最初で最後かもしれませんが、息子にとっても親にとっても貴重な思い出になりました。これまでの私達親子の様子をよく知っている友人が、
『これは 親子でとったで賞 やな』と言ってくれました。
人生は何が起こるかわかりませんね。
プラス思考で笑いに転換する知恵
我が子はこれまでと同様、書いた絵を笑われたり、手先が不器用で苦労することが今後も必ずあると思います。
でも自己肯定感が高まり、自分は自分であると自信を持って生きることができたら、これからの人生を楽しく笑顔で過ごせのではないかと思っています。
最後に、学校での息子の様子を紹介しますね。
工作の授業でクラス全員が折り紙のハンバーグを作った時のエピソードです。あまりに不器用で、一人だけハンバーガーが斜め傾いてしまった時のこと、
「これは、バネバネバーガーでーす!?」と言ってクラスを笑わせたそうです。
失敗を笑いに転換するのも、生き抜く知恵かもしれませんね。
きっと誰の中にもキラッと輝く個性があると思います。
どこにもない素敵な個性を見つけて皆がハッピーになれたらいいですね☆