計算や数字が苦手な小学生は、算数ドリルなどの繰り返し練習を重ねても、なかなか苦手を克服できないことがあります。我が子もその一人です。
この記事は、そんな小学生の子供に向けて、計算や数字に対する苦手意識を軽減するために、「数字に慣れ親しみながら」「数字で遊びながら」苦手を克服する方法について書いたものです。
足し算と引き算と九九があれば、ひっ算も割り算もやり方を覚えるだけ。我が家では、計算の一番の基礎となる足し算と引き算を、「頭」と「手」と「口」を使って体で覚えるようにしています。それは100玉そろばん克服法です。
脳はすぐに楽をしようとします。例えば、息子はこんな式を・・・
14-9=
「-9の時は、14の一の位の4に1を足せばいいから、5でしょ?だから-9って楽できて好きなんだ!」というように、勝手に決まりを見つけて楽をしてしまいます。
きちんと引き算の意味を理解しているならば、それでもよいと思います。しかし理解していないのに、この解き方は問題ですよね。
ですから、「頭」と「手」と「口」を使って頭の体操をする必要があると考えました。100玉そろばんは頭の体操に最適な教材だと思います。
手と口という作業が追加されるだけで、簡単な問題も難易度が上がり、息子は慎重に考える癖がついてきました。
100玉そろばんの使い方は、
①基本的な使い方を覚える
②練習をする (無料ダウンロードプリント有)
③遊びながら親しむ
の3部構成でご紹介します。
②については練習方法をプリント(PDF)にしました。ダウンロード(無料)して家庭学習の中で活用してみてください。
まだ100玉そろばんをお持ちでない方に向けては、自身の失敗談から100玉そろばんを選ぶポイントなどもお伝えします。
100玉そろばんの選び方~おすすめポイント
実は我が家には100玉そろばんが2つあります。
1つは幼児期に遊びで使っていた、外形が18cm×18cm×6cmくらいで、玉が小さなカラフルなものです。これをそのまま小学生の息子の算数の学習に使おうと思っていたのですが、使えませんでした。なぜならば、
- 不器用な息子は、玉が小さすぎて1つずつ動かすのが難しかった。
- カラフル過ぎて気が散ってしまった。(段ごとに玉の色が違うレインボーカラーの商品)
- 10個の玉が5個ずつ色分けされていないと、玉を数えるのに時間がかかり嫌がった。
からです。
そこで買い替えたのが、『トモエそろばんの100玉そろばん』。小学校で最も採用されている100玉そろばんだそうです。
商品の詳細情報(Amazon)>>
こちらも、実は買ってから数か月間、押し入れの中で眠っていました。出番が無くて困っていたところ、息子が算数ドリルに行き詰まり、遂に日の目を見ました。
デメリットが一つだけ。大きくて置き場に困ります。外形はおよそ26cm×26cm×6cm。しっかりとした重量感。でもいざ使ってみると、とても使いやすいのです!
他のメーカーの商品でもよいと思います。お気に入りの100玉そろばんを探してみてください。
実際に使い込んでみて感じた、使いやすいと思ったポイントをまとめておきます。
- 10個の玉が5個ずつ色分けされているので、5をかたまりとしてとらえやすい。
- 玉が大きいので、手先が不器用な子でも動かしやすい。
- カラフル過ぎないシンプルなデザインで気が散らない。
- 特に玉を動かした時のパチッという音と玉の重量感が気持ちよく、玉の動きもとても安定している。
- しっかりした構造で、長く使えそうである。
基本の使い方
ここでは、我が子のように基本から練習が必要な子供のための使い方を説明します。とても簡単なので、不要な方は飛ばして次章の応用練習に進んでください。
小学2年になる息子の場合、計算がわからなくてイライラしてくると、〇+1、〇-1という普段は絶対にできる計算ができなくなってしまうことがあります。
そのような子供の場合には、一度下記の手順を試してみてください。
必ず声に出して玉を動かすように指導しましょう。
STEP1 1ずつ増える、1ずつ減る(1~10)
玉を全て右に寄せてから、1、2、3・・・と声を出しながら、1ずつ一番上段の玉を左に寄せて10まで数えます。
10まで数えたら、今度は逆に10、9、8・・・と声を出しながら、1ずつ玉を右に寄せて1まで数えます。
STEP2 2ずつ増える、2ずつ減る(1~10)
玉を全て右に寄せてから、2、4、6・・・と声を出しながら、2ずつ一番上段の玉を左に寄せて10まで数えます。
10まで数えたら、今度は逆に10、8、6・・・と声を出しながら、2ずつ玉を右に寄せて0まで数えます。
STEP3 数える数を増やしていく
STEP1とSTEP2の要領で、徐々に数を増やし、最後は100まで数えてみましょう。
STEP4 5ずつ数える
玉を全て右に寄せてから、5、10、15・・・と声を出しながら、5ずつ玉を左に寄せて100まで数えます。
逆唱も同様に、・・・50、45、40・・・と声を出しながら、5ずつ玉を減らして0まで数えます。
できるようであれば、次章の応用練習に進んでくださいね。
応用練習~使い方無料プリント
いつも同じ練習をしていると、息子はだんだん手抜きを始めます。脳は無意識に楽をしようとするものなのかもしれません。
ですから、例えば1ずつ増える1ずつ減るという単純な練習でも、1~100と毎回範囲を固定するのではなく、今日は15~30というように毎回少しずつ変化をつける方がよいと感じました。
そこで、応用練習用にプリント(全7枚)を作成してみました。『ダウンロードボタン』を押すと、PDFファイルが表示されますので、閲覧もしくはダウンロード(無料)してみてください。
【プリントの内容】
- 数を数える。(毎回任意の範囲で1ずつ増える、1ずつ減る。)
- 『5』をまとまりとしてとらえる。(6~10までを毎回任意の順序で分解する。)
- 『6~10』までをいくつといくつに分けられるか考える。(毎回任意の順序で分解する。)
※片手で数えられる2~5までの分解は載せませんでした。先生は手を使わないようにと言うかもしれませんが、使えるものは手でも何でもこっそり使いましょう!
プリントの使い方は、
- 「◆練習」の黒枠に、親御さんが鉛筆で数字を書いて子供に出題します。次回使う時は消しゴムで消して別の数字に書き換えてください。
- 必ず声に出して玉を動かすように指導しましょう。考える・手を動かす・口に出すという3つの動作を同時に行うことで、より頭の体操になります。
- 無理をさせずに1日1枚から始めましょう。1枚あたり数秒から3分程度で終わると思います。
楽しく数字に親しむ~ゲーム感覚遊び2パターン
楽しく数字に親しむゲーム感覚の遊びを2つご紹介します。
もしも100玉そろばんに興味を持たないお子様がいたら、練習は無理をしてやらずに、『パターン1のじゃんけん遊び』だけやってみるとよいかもしれません。
2つとも、トモエそろばんの「初めての100玉そろばんマニュアル」の中にあったものをベースにして、息子が自らルールを考え発展していったものです。
絶対このやり方と決めずに、取り組む中で子供の好みに合わせて変化させてみてくださいね。
特にパターン1のじゃんけん遊びは、息子のお気に入りで「もう1回やろう!」「あと1回だけお願い!」とエンドレスになってしまう程です。多分勝ち負けのゲームが好きなんだろうなと思います。
パターン1 じゃんけん遊び
まずはじめに、玉を全て端に寄せておきます。半分から手前が親の陣地、半分から向こう側が子供の陣地です。
じゃんけんをして、勝てば玉を10個、負けたら1個反対側に動かします。図1だと1回目の勝負は子が勝って10、親が負けて1となります。
再度じゃんけんをして、図2のように2回目の勝負は、子が負けて1、親が勝って10となります。
この勝負を5回繰り返します。すると最終的に図3のように。
終わったら、子の点数と親の点数を計算させて、点数が高い方が勝ち!というゲームです。ここまでが、基本のやり方です。
★息子が考えた発展編
このゲームが何だかとても気に入ってしまった息子がどんどん、新しいルールを考え始めました。
その1
負けたら2、負けたら3・・・と負けた時の数を変えていくというものです。2~5までその日の気分でルールを決めているようです。
その2
じゃんけんで負けても、親が出題する計算を解けたら、子が勝つという新ルール。
例えば「親の点と子の点の合計は?」とか「親の点と子の点の差は?」という問題を出しています。難しそうな時は、紙を出して一緒に解いたり、必ず正解を出して楽しく終われるように工夫しています。
勉強していると気付かせずに、楽しく計算に取り組ませることができておすすめです!
パターン2 10を見つける遊び
図4は、7と3で10、6と4で10の2つの10を見つけられると、20という答えを導きやすくなります。このように10を見つけて計算するのが基本的な遊び方です。少しずつ段を増やしていってもよいですね。
★息子が考えた発展編
気分をよくした息子が、「自分が問題を作る!」と言い出しました。きちんと10のかたまりが作れなかったら子の負け、作れていたら子の勝ちというルールだそうです。勿論、親が答えられなかったら親の負けです。
とにかく勝ちたい息子はなるべく難しい問題にしようと、勝手に試行錯誤を繰り返すようになりました。親は問題を考えなくていいので、とても楽チンです。時折わざとわからないふりをしてみたり・・・。親子で楽しんでいます。
親子で10の作り方が違う時もあったり。なかなか奥が深い遊びですよ。
まとめ
「悪いのは計算が苦手な子供ではない。」「勿論親が悪いのでもない。」誰のせいでもないと私は思います。つまずきの原因と対処法がわからないから、親も子も困ってしまうのではないかと感じます。
「やればできる!」という言葉は、時に子供を傷つけてしまうことがあります。頑張っても皆と同じようにできない子供もいるからです。息子を見ていてそれを痛感しています。
学校の先生には怒られてしまいそうで言えませんが、大人になってから計算が必要な場面がどれだけあるでしょうか?電卓・スマホ・AI・・・なんだってある時代です。
それにも関わらず義務教育は小学校・中学校と9年間も続くんですよ。9年間算数や数学が苦手な子供はどれだけ辛いことか。
大切なのは、テストでよい点をとることよりも、9年間楽しく学校生活を送り、その子なりの自立の道を親子で一緒に探すことなのかなと感じます。
そのために、計算や数にある程度親しみを持ち、苦行ではなく楽しく学ぶことが大切ではないでしょうか。『手を使い』『頭を使い』『声を出す』など、複数の行為を同時に行う100玉そろばんは、計算や数の苦手克服に最適な教材だと感じました。
一日1分や一日3分などと、短時間で楽しく遊んでみてください。賛否が分かれると思いますが、一回取り組んだら10円など少額のお金を与えても我が家ではOKだと考えています。
そして簡単な問題であっても、たくさん褒めてあげてください。楽しい時とそうでない時では覚えが全く違うんですよ。飽きさせない・マンネリ化させない・楽しいと思わせる・・・この辺りが親の知恵の絞りどころかなと思います。
私達親子も、今後も焦らずに、少しずつ100玉そろばんに取り組んでいこうと思っています。