【小学生お薦め本・読書感想文にも】『動物園や水族館』のお仕事関連~ノンフィクション本

◆学習(小学~)

 
この記事では、小学生にお薦めの『動物園や水族館の飼育に関するノンフィクションの本』を3冊ご紹介しています。

生き物と関わるということは、を見つめるということ。
 

どの本にも共通するのは、

  • 野生動物の生態や置かれている状況などを多くの人に広める役割を担っている。
  • 生と死に日々直面し、命と真剣に向き合っている。
  • 一人の力ではなく、多くの人々の協力によって命が守られている。

という点です。
 
 
絶滅の危機にさらされる生き物が多い中で、それぞれの生物がこれからも命をつないでいくために、自分に何ができるだろうか。そんな風に感じたことはないでしょうか。
 

自分にできることの第一歩が知ること、興味を持つことだと思います。本を読むことは、普段私達が知らない動物園や水族館の裏側の世界を知る貴重な機会です。

そして小学生であっても、知ったことを誰かに伝えることができます。
感動したことを読書感想文に書けば、それを読んだ誰かにきっと思いが伝わるはずです。
 

実際に動物園や水族館に行くことも支援につながりますし、その先には募金やクラウドファンディングという応援方法もあります。
 

裏側のお仕事を知っていれば、動物園や水族館に行った時に見える世界も、ぐっと変わってくると思います。
 

どの本も、小学生の息子に命の尊さを教えてくれました。

 

日本に一頭だけの命~皆の愛で守りたい!

◆みんなで守れ!ふくちゃんのいのち 結核にかかったボルネオゾウ

ボルネオゾウとは、インドゾウの亜種でボルネオ島の限られた地域にしか生息していない絶滅が心配されている希少なゾウです。

広島県にある福山市立動物園には、『ふくちゃん』という日本に一頭しかいないボルネオゾウがいます。ふくちゃんが子供の頃、ボルネオ島で一人ぼっちでいるところを保護され、日本にやってきました。
 

このふくちゃんは、実は結核を患い二度も命を失いかけています

病名を突き止めるまでの苦労、結核とわかってからの闘病の日々、そしてこれからも健康を維持していくための取り組みなどが書かれています。

 
ふくちゃんが二度も命拾いをしたのは、飼育員、獣医、動物園関係者のネットワーク、市民や遠くにいても応援したいという人々など、多くの人々の情熱愛情があったからに違いありません。

結核は完治することはなく、またいつ再発するかわからない病なのだそうです。タイトル通り、みんなで守ってきて、これからもみんなで守っていきたい命です。
 

対象年齢:小学生・中学年くらいから
 ※普段読書に親しんでないお子様は、小学生・高学年くらいから
 
ページ数:144ページ(ふりがな付き)

 

 

【感想】

  • 「飼育されている動物が幸せになるための工夫」のことをエンリッチメントと呼ぶそうです。ふくちゃんを幸せにしてあげたいという強い思いやその為の工夫がたくさん登場します。薬を飲ませるための気の遠くなるような作業工程や、健康を維持するための数々の工夫になど驚きの連続でした。
     
  • 動物を幸せにするためには、現実問題として多額の費用がかかります。その問題点としっかり向き合い、SNSで発信するなどの取り組みを積極的にしていることも、ふくちゃんにとってのエンリッチメントに確実につながっていると思いました。
     
  • 動物園で生き物を育てることがこんなにも大変だということと、それと同時に、人同士や動物と人との絆を深めていく素晴らしいものでもあることを子供達に知ってもらいたいです。

 

福山市立動物園では、SNSでふくちゃんの日々の様子を発信している他、募金の申し込みなども行っています。(※現時点での情報です。)

詳しくは、動物園のHPより確認してみてくださいね。
 

福山市立動物園HP(外部リンク)>>

 

もうこれ以上、むだには・・・~だから約束しよう!

◆約束しよう、キリンのリンリン いのちを守るはずハズバンダリー・トレーニング

舞台は秋田県の秋田市大森山動物園です。
 
そこでキリンを担当している柴田さんという飼育員さんが、「どうしたらもっとキリンを健康で長生きさせられるか」と真剣に考える中で、ハズバンダリー・トレーニングという技術と出会い、キリンや飼育に関わる仲間と共に、奮闘する日々を描いています。
 

(画像:写真AC)

 
キリンは、とても警戒心の強い動物です。しかも体が大きいので、少しの怪我が命取りになってしまうこともあります。そんなキリンは、例えば採血をしたり、ひづめをけずるなどの日常の健康管理も一苦労なのだそうです。

ハズバンダリー・トレーニングは、あくまでも動物が自らの意思で人間の指示に従えるように訓練していきます。

焦らず1つずつ動物と信頼関係を築く柴田さん達の情熱や、その後のキリンの成長ぶりなどが見どころです。
 

対象年齢:小学生・中学年くらいから
 ※普段読書に親しんでないお子様は、小学生・高学年くらいから
 
ページ数:128ページ(ふりがな付き)

  

  

【感想】

  • 幼い頃から身近な動物だと感じていたキリンでしたが、実は知らないことがたくさんあること気づき、とても驚きました。この本を読んでキリンの性格や行動特性を知ってから動物園に行くとキリンをもっと観察したくなると思います。
     
  • 言葉のわからない動物と信頼関係を築き、お互いに約束事を確認していく過程は、我が子がまだ言葉が話せなかった頃に少しずつ物事を覚えていった過程と、少し似ているなと思いました。
     
    ハズバンダリー・トレーニングは、キリン以外の動物であっても有効で、誰が訓練しても同じような成果が出せるはずなのだそうです。
     
    相手の行動をよく観察して気持ちを考えて働きかける
     無理をさせずに相手が自ら一歩前進するのを待つ
     育てる側も焦らない・・・
     
    何だか人間にも当てはまる気がして、はっとさせられました。

 

時折登場するキリンの写真がかわいいです。特にカラー写真は、息子と一緒に「かわいいー!」を連呼しました。キリンってかわいい動物だったんですね・・・。

動物園で生き生きと過ごし、次の世代を残している姿を実際に見られたら最高ですね。
 

秋田市大森山動物園HP(外部リンク)>>

 

海の生き物~海獣に魅せられて!

◆わたしはイルカのお医者さん ―海獣ドクター奮闘紀―

現在シャチがいる水族館は日本に2か所だけ。そのうちの一つ千葉県の鴨川シーワールドで実際に勤務した獣医さんの奮闘記です。
 

作者で獣医の勝俣悦子さんは、私が産まれるより前に鴨川シーワールドに入社している人生の大先輩。
学生時代、就職、手探りの新米獣医時代、海の生き物達との日々、結婚や出産に至るまで、一人の女性としての生き様が楽しく描かれています。
 
とてもパワフルで情熱的な方でした!
自分の夢がわからず迷っている子供達にもお薦めです。
 

作者が愛して止まないセイウチたち(鴨川シーワール来園時に撮影)

 
普段は目にできない水族館の知られざる裏側の仕事を知ることができることは勿論、特定の生き物だけではなく園内の多くの生き物と触れ合っている方なので、飼育員とはまた違った獣医としての目線から命について見つめることができる本だと思います。
 

対象年齢:小学生・高学年くらいから
ページ数:193ページ(一部ふりがな付き)

※文字数が多めなので、普段読書に親しんでないお子様は、中学生になってから読むとよいかもしれません。特に動物に携わる仕事に興味のある方にお薦めの本です。

  

  

【感想】

  • 本当に好きなことは、例え不安があったとしても誰にも止められないのだろうと感じました。好きなことに出会うこと、出会ったら体当たりで熱中し続けること、失敗も未来の糧になって蓄積されていくこと、そんなことを子供達に感じてほしいなと思いました。
     
  • 海の生き物、特にイルカなどの海獣は、人間とここまで心を通わせることができるものなのかと驚き、感動しました。やはり同じ哺乳類として何か共通点がある気がします。
    「海獣たちってこんなにも豊かな感情を持っていたのだ」と知るきっかっけにもなる本だと思います。

 

機会があれば、是非、鴨川シーワルドにも遊びに行ってみてください。

この本を読むと、シャチやイルカだけではなく、セイウチもじっくり観察したくなるかもしれませんよ!?(私も何度か訪れていますが、セイウチは迫力があってかなり見ごたえがあります。)

 

鴨川シーワルドHP(外部リンク)>>