本屋さんを探索していた時、店の隅っこの普段殆ど足を運ぶことがない教育関連の書棚の前で、ふと目に留まった本がありました。
その本は、浜文子さん著『文章力!子どもがよろこぶ作文指導』という本でした。小学生の我が子が決まって毎週金曜日に出される日記の宿題に大苦戦していることを思い出したのです。立ち読みをしているうちに、浜さんの言葉の力に癒しと共感を感じてどうしても買って帰りたくなりました。
こんな本です
私は、この本を読んで雷に打たれたような衝撃を感じました。
言葉とはどのようなものなのか。
子どもとはどういうものなのか。
書くとはどのような行為なのか。
子どもを導くとはどのようなものなのか。
作文指導という枠には収まりきらない程の多くの気付きがありました。
この本は、作文や日記が書けないと悩む子どもから、親子関係に悩む人や子育てに苦悩する人、そして自分の将来に悩む子ども達にも、きっと何らかのヒントを与えてくれる本だと思います。
言葉の力
怒りでも喜びでも、とても大きく心が動いた時、その気持ちを表現したいのに言葉で言い表せないもどかしさを感じたことがあるでしょうか。
私はそんな葛藤を繰り返しています。
正に今が旬のこの感情は、言葉にしておかないとふっと消えてしまいそうな儚いものです。だからその感情を言葉として刻んでおきたい。それなのに言葉にできない時にはとても歯がゆい気持ちになります。
子どもも初めから気持ちを言葉にすることは難しく、「言葉の運動不足」を解消させる試みを繰り返すことで少しずつ自然に自発的にできるようになると、浜さんは語っています。
その、子どもを導く指導法のヒントが、この本の中に数多く掲載されていました。また、指導の絶妙な匙加減を浜さんは次のようにも述べています。
教え込んでもいけないし、自分の好みで誘導してもならない。そしてただ放っておいてもいけない(後略)
そのように温かい指導を受けながら言葉を紡ぎ出し、書くことで自分と対峙する経験を重ねていく子ども達の姿に、尊さを感じました。そして豊かな言葉の広がりに感嘆し、子ども達の心が自由に空を羽ばたいているように見えました。
以前、福音館書店の「母の友」という月刊誌の中に、幼子の純粋な言葉を紹介した「ことばのひろば」というページがあったことを思い出します。今となっては思い出せない我が子が幼い頃のキラキラして少しおかしみのある言葉たちを、文字にして残しておけば良かったなと今は少々後悔しています。
作文とは~改めて問い直す
作文指導において、私は、我が子にしかない無二の個性を持ち味として味わうということを忘れかけていたと気付かされました。
最後に浜文子さんが、子どもにとっての「書く」という行為について語っている文を引用させていただきます。
余計なことをせず待ってみれば、大人は必ず気づくはずです。子ども達の内側に、どんな豊富な感じ方があり、豊穣な表現の形がしまい込まれているかを。そして、そのことが子ども達の持つ本質へと、まっすぐ繋がっていく方法なのだということを。待つこと、信じて待ってやることです。
我が子の可能性を信じてみたくなる、忘れられない一冊になりました。良かったら読んでみてください。