中間反抗期の小学2年を育てる母『教えないスキル』に感銘~人格形成の大切さ

中間反抗期の小学2年を育てる母『教えないスキル』に感銘~人格形成の大切さ Bookレビュー

 
現在小学2年生の息子は、中間反抗期の真っ只中。そんな息子と接する中で、子どもの人格を形成していく大切さを、子育て中の母親として改めて考えさせられる本と出会いました。佐伯夕利子さん著『教えないスキル』という本です。

著者の佐伯さんは、スペインのサッカークラブ・ビジャレアルFCで監督や選手の育成に携わり、Jリーグの常勤理事も務めている方です。ビジャレアルは、サッカー日本代表の久保建英選手も期限付きで移籍したことのあるチームです。

この本を手に取る方は、サッカーを始めとするスポーツの関係者が多いかもしれません。

ですが、子どもの人格を形成する大切さ、子どもを導くための指導者の在り方などをまとめた内容は、ビジネスシーンや子育てにも大変共通するものだと感じました。

この記事は、本の感想に加え、サッカーの指導者と我が子を育てる親とを重ね合わせ、人材育成の意味について感じたことをまとめています。中間反抗期の小学生を持つ方をはじめ、多くの子育てに悩む親御さんにとって、参考になれば幸いです。
 

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指導者も迷いながら

中間反抗期の小学2年を育てる母『教えないスキル』に感銘~人格形成の大切さ

 
ビジャレアルの指導改革が開始した当初、著者である佐伯さんは指導歴20年のベテランでした。しかし、新たにクラブに配置されたメンタルコーチのアドバイスの元、他者からのダメ出しや自らを否定する作業を繰り返して指導術を獲得していきました。

佐伯さん曰く、非常に痛みを伴う意識改革だったそうです。コーチ陣の多くは、この改革に懐疑的だったとも述べています。

その結果辿り着いた、教えずして子どもを成長させるノウハウが、本の中に散りばめられています。

しかも私がとても気になったのは、佐伯さんは子どもの頃から短期で、それが改善されないまま大人になったと述べている点です。

勉強しない、片付けをしない、口答えするなど、成長とともに自我が芽生え、親に反抗的とも思える態度をとる我が子を目の前に、イライラでストレスフルな日々を送っている親御さんも少なからずいるのではないでしょうか。我が子も小学2年生。中間反抗期真っ只中です。

指導歴20年のベテランコーチが悔しさや恥ずかしさを乗り越えながら、子ども達の人格をも形成していく指導術を獲得していく実話は、子育てに悩みを持つ親にとって大変参考になり、誰でも何歳からでも変われるのだという希望を私に与えてくれました。
 

指導者のメンタル

 
「教えないスキル」の中には、実際に子供と接する以前に指導者がどういうメンタルであるべきかが書かれています。

固定観念との向き合い方、ネガティブな感情との向き合い方、考えの異なる者との向き合い方など、日々の生活の中で、「これは結構使えそうだ!」と思える心の在り方が具体的な実例を交えて書かれています。

特に私が、「なるほど!」と感じたのは、

自分の力が及ばないことは気にしない。

引用:佐伯夕利子著「教えないスキル」

という言葉です。中間反抗期の息子への声掛けも少し変わってきました。
 

指導の本質

 
子育てにおいて日々悩まされる問題は、子どもとの接し方だと思います。

私は、息子が幼稚園時代に、子どもとの接し方の講習会(ペアレントトレーニング)を受講したことがあります。そこでは主に子供の行動に対して親がとるべき行動を教わりました。

しかしながら、この本で書かれているのは、ペアレントトレーニングのような表面的な対処法ではありませんでした。

子どもにどう育ってほしいのかを、常に深く深く考え接していくこと、そして環境を整えていくことで、子どものパフォーマンスが向上していく。その様子は、目からウロコでした。

明日から取り入れようとして、すぐに全て取り入れられる程簡単なことではないかもしれません。でも、どんな親でも、やろうと思えばできる内容だと感じました。例えば、子どもを注意しなければならない時の「サンドイッチ話法」は今すぐにでも使えそうな手法です。

中間反抗期の息子は、自我が芽生えて親に反抗的な態度をとりますが、まだまだ甘えたいお年頃。将来を心配して、ついつい支配的な発言で押さえつけてしまう私がいました。その私の行動が、子どもの可能性や能力を奪っているかもしれないことに気付かされました。

サッカー指導の本ではありますが、人を育てる上での指針となる内容がたくさん載っています。
 

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まとめ

 
中間反抗期の小学生を育てる母親という立場で、佐伯夕利子さん著「教えないスキル」という本の感想を書きました。

よくある子育て本とは、似て非なる本です。こういう時はこうしなさいと具体的に指南してくれる本ではないかもしれません。どうすべきか指導者自身が考えるきっかけを作ってくれる本だと思います。

子育てをする時、どうしても学力など「結果」に目が行きがちです。しかし、勉強でもスポーツでも根っことなるのは『人格』なのだと改めて感じました。

自分も子どもも、俯瞰することは簡単ではないですよね。
それをいとも容易くやってのける人、細かいことはあまり考えない人、わかっていてもできない人、どうしてよいか全くわからない人・・・。色々な親がいると思います。

ビジャレアルのコーチたちのように、ビデオ撮影をしたり、会議をしたり、メンタルコーチにアドバイスをもらうことは、一般の親には難しいでしょう。

まずは自分の今を受け入れること、そして冷静な時に一歩立ち止まり自らを俯瞰してみることから始めたいと思います。

最後に、私がこの本の中で最も心に留めておきたい言葉を引用させてもらいます。
 

その声がけに「意図」はあるか

引用:佐伯夕利子著「教えないスキル」

 
子どもは、かけがえのない大切な存在。親は、その子どもの根っことなる「人格形成」に携わっているのだということを再認識する本でした。

興味のある方は、是非一度読んでみてください。