【発達障害・気持ちの理解】自分&相手の気持ちがよく分からない我が子への対策方法

【発達障害・気持ちの理解】自分&相手の気持ちがよく分からない我が子への対策方法 子供の心

 
私は、発達障害の傾向がある(グレーゾーン)小学4年生の子供を育てる母親です。

昨年(小学3年生時)、個人面談で次のような指摘を受けました。
 

お友達に対する言葉が、強すぎることが多く、表現がどストレートである。もっと相手の気持ちを考えて行動できるようになってほしい。

 
ところが、当人に、「こういう発言をしたら相手はどう感じるかな?」「もし、自分が同じことを言われたらどう感じるかな?」と確認してみても、
 

我が子
我が子

え、別にどうも思わないよ。
僕は言われても、全然平気だし。

 

このような、返答が返ってきてしまいます。
もっとひどい時は、自分が言った言葉すら記憶に残っていないのです。
 

さすがに、このままでは対人関係に問題が生じると思い、「気持ち」についてもう少し敏感になってもらうため、書籍なども参考にしながら家で訓練を始めました。
 

就学前に通っていた療育で、ベテラン心理士さんから言われた言葉が、胸に刺さります。
 

心理士さん
心理士さん

こういう子は、小学3年生・4年生頃になったら、対人関係のトラブルに気を付けてください。
私はそういう子供をたくさん見てきましたから。

 
 
私自身は専門家ではありませんが、どんな子供にも工夫次第で伸びしろがあると考えているので、子供の発達特性をできるだけ前向きに捉えるようにしてきました。
落ち込む日もありますが、悩むよりは具体策考えた方がよいのかなと感じています。
 
我が家での対策方法が、同じ経験をお持ちの方の一助となれば幸いです。
 

記事の最後に、グレーゾーンの我が子の特徴を簡単にまとめてありますので、参考になさってください。
  

色々な「気持ち」があることを教える方法

我が子を見ていると、何かを覚えることが苦手であるのに加えて、覚えた事を活用したり、他の事柄と関連付けることなどに弱さを感じます。

例えば、誰かの身に起こったことを自分の身に置き換えて考えるということはとても苦手です。
 

ですから、まず最初のステップとして、人には色々な「気持ち」があるということを知り、「気持ち」について考える機会を増やすことが有効かなと考えました。

 

ここで使える方法として、「視覚優位」という特性を挙げてみます。
視覚優位とは、簡単に言うと、耳で聞くよりも目で見た方が理解しやすいという特性のことなのです。

もう少し具体的に説明してみます。例えば、誰かが困っている時、「あの子、困っているね」と言うだけよりも、困っている顔の絵を見せる方が理解しやすいですよね。

困っている顔の絵

 

我が家では、このような訓練を日頃から行っています。
 

絵が得意な方は絵を描いてもよいでしょうし、私のように絵が苦手な方はフリー画像を使うと便利だと思います。
 

私は、いつもイラストACというサイトのフリー画像を使用しています。
会員登録をすれば、1日のダウンロード数に制限はありますが、無料で画像をダウンロードできます。
 

「悲しい」「楽しい」「けんか」などの検索ワードで、お好みの画像をダウンロードして印刷して使うととても便利だと思います。

 

実際にフリー画像を使ってサンプルを作ってみます。
 

この絵の中の人たちは、どんな気持ちなんだろう?

 
 

どんな場面なんだろう?

それぞれの人がどんな気持ちなんだろう?

  

複雑な「気持ち」もあることを教える方法

まず、実際によく起こる親子のシチュエーションで、複雑な「気持ち」が何かないか話し合ってみました。
 

謝らないといけないけど、なんか謝るのが嫌な時ってあるよね。

 
そんな話をしている中で、息子が実際に考えた4コマまんがをご紹介します。

一言では言い表せない気持ちは、日常の中に結構あると思います。
 

そんな複雑な気持ちを見つけて、親子で話してみてはいかがでしょうか。

 

相手を観察したり、自分の感じ方が正しいのかを疑ってみることも大切ですよね。
 

表情だけじゃわからない気持ちもあるのかも。
本当はどういう気持ちなんだろう?

 
自然に状況把握できるのが一番理想ですが、やはり息子のような子供は簡単には状況把握ができないのが現実です。
このような時、我が家で本当に役立った本を2冊ご紹介したいと思います。
 

1.こころのふしぎ なぜ?どうして?(高橋書店)

「せかいは心でできている」という言葉が印象的で、イラストが多く、本を読むのが苦手な子供でも読みやすい本です。

本の中に登場する「気持ち」を表すキャラクター(悔しい気持ちのクヤシンスはかせ、怒った気持ちのいかリングなど)は、我が子のお気に入りで日常会話の中でよく登場します。
 

どうしても「気持ち」を言葉に表すことができない時は、この本を出してきて、今の気持ちはどのキャラクターだろう?と聞くようにしています。

 
人の心には色々な種類があることや、見る人によって善悪の判断が変わることなど、心について深く考えさせられる内容です。言葉で説明しにくい心について、上手に教えてくれる本だと思います。

\ 息子も大好きな本です /

 

2.教室で使えるコグトレ(東洋館出版社)

コグトレとは、もともと非行少年のために児童精神科医・医学博士の宮口幸治さんが開発したトレーニングで、今では幼児から大人まで困っている人を支援する認知トレーニングとして広く知られるようになりました。

この本の中には、

  • 学習面への支援
  • 社会面への支援
  • 身体面への支援

が122課題も収められています。
この中で、特に社会面への支援が、相手の気持ちを考えるのに非常に役立つと感じました。

2人もしくは複数人の絵やシチュエーションが提示され、ワークシート等を使いながら、状況理解気持ちのコントロール思いやりなどをトレーニングすることができます。

家庭でも教育現場でも、すぐに使える非常に実践的な内容です。
 

 
 
他にも、社会面のコグトレを重点的にトレーニングする本もあります。 
 

\ 相手の感情や危険予知に関する認知トレーニングが可能 /

 
\ この本のレビューはこちら /

【社会面に不安のある子】本レビュー『社会面のコグトレ~認知ソーシャルトレーニング』
コグトレとは、「認知○○トレーニング」の略称で、学校や社会で困らないように、 社会面 学習面 身体面 の3方面から子どもを支援するためのプログラムです。  今回ご紹介する、『社会面のコグトレ・認知ソーシャルトレーニング』という本は、この3方...

 

生活の中で「気持ち」を意識させる方法

人の「気持ち」に対してもっとアンテナを張ってもらうために、日々の生活の中で、「気持ち」について会話する機会を増やしていく必要があると感じました。

 

<我が家の例>

◆行動を観察してみる

こんな事がありました。
いつになく我が家の愛犬がじゃれついてきて、ずっと私の手をなめています。
 

今日はいつもと違うね。

どうしたんだろうね?ごはんが欲しいのかな?

 
と我が子が言ったとたん、犬の動きがピタっと止まりしっぽをフリフリ。
 

 
大正解!
 

よく気付いたね!
いつもと違う行動をしている時は、よく観察してみると何かわかることもあるよね。

 

◆イメージしづらい気持ちについてじっくり考えてみる
 

「切ない」って、どんな気持ちだろうね?
お父さんに聞いたら、そんな気持ちになったことほとんどないからわからないって言われたよ。

え、簡単だよ。

悲しいってことでしょ?

確かに悲しいんだけど、涙をボロボロ流して悲しむっていう感じとは少し違うんだよね。

う ~ ん・・・。

2人で散々考えて、ふとぴったりな場面を思いつきました。
以前、主人が単身赴任をしていたことがありました。たまに、週末だけ帰ってきて親子でたくさん遊んだ後、日曜の夕方戻ってしまうという生活でした。
 

お父さんが単身赴任していた時、たまに帰ってきていっぱい遊んで楽しかった後に、戻ってしまう日曜日の夕方のあの気持ちじゃない?

あ、そうかも!
戻った直後は悲しいんだけど、しばらくすると悲しい気持ちを忘れるしね。

結構、ドライな我が子です・・・。
 
 

◆感動する体験を

世界遺産のTV番組をみていた息子が言いました。
 

涙を流すほど感動する景色ってどんな景色なの?
凄いなとは思うけど、それとは違うの?

 

実際に感動する景色を見たことがないと、この気持ちはきっとなかなか理解できないですよね。できる限り多くの体験をさせてあげることも大切だなと感じました。
 

 
 

疑似体験も、「気持ち」を想像するのに役立つと思います。

例えば、

◆本を読む
 

今、子供と読んでいるのは、子供時代に私も好きだった「冒険者たち」という本です。
本の詳細(Amazon)>>
 

私が読み聞かせたり、続きを子供が一人で読んだり、ゆっくりと親子で読み進めています。主人公がネズミとは思えないほど、緊張感のある大冒険ストーリーです。

  • 怒り
  • 悲しみ
  • 恐怖
  • 興奮

など、様々な「気持ち」にふれることができると思います。
 

 
もう一冊、小学生(中学年)の読書感想文の課題図書にもなっている「みんなのためいき図鑑」という本も、とてもお薦めです。
 

 
小学4年生の主人公達が、学校の授業で班ごとにオリジナル図鑑を作ることになり、「ためいき図鑑」を協力しながら作っていく物語です。

なかなか上手く進まない作業の中で、子供達が自分なりに問題を解決していく点が見どころです。
 

\ 全166ページ 挿絵もあり読みやすい /

 

【感想】

  • 不登校の子供、一見きつい性格の子供、お調子者の子供など、どんな子供にもそれぞれに大切な「気持ち」があることに気付かされ、ウルッと涙が出そうになるストーリーでした。物語としてもおもしろいですし、子供にとっても相手の「気持ち」や自分の「気持ち」を考えてみるきっかけになる一冊だと感じました。
     
  • 「ためいき」は、ストレスを感じた時だけに出るものではないという視点が、子供にとって新たな発見になるかもしれません。
    「ためいき」は必ずしもネガティブなものだとは限らないという考え方は、子供に勇気を与えてくれる気がします。

 

よく「ためいき」をつく大人の私も、自分の「ためいき」の理由を思わず分析してみたくなりました。
「ためいき」は相手に対するメッセージでもあり、自分の気持ちを切り替えようとするスイッチなのかもしれないと感じました。

 

◆気持ちを代弁してあげる

例えば、国語の教科書の音読をしている時などに、

  • 他人(登場人物)はどんな気持ちなのか。
  • 読んでいる自分はどのように感じたのか。

ということなどを親子で話してみるのも、手軽にできる「気持ち」を考える方法だと思います。
 

我が子の場合、気持ちを言葉で表現することがかなり難しいので、私が感じたことをまず伝えるようにしています。
 
また、嬉しいのか悲しいのか?とざっくり「気持ち」を分類してみたり、一言で表せない場合は、「嬉しいと恥ずかしいが混ざった気持ちだね」と言うように、複数の気持ちを組み合わせてみるとわかりやすいみたいです。

 

◆歴史にふれる

日本史などの歴史にふれることも、「気持ち」について考えるきっかけになると思います。
 

 
例)

  • 誰の目線で見るかによって、善悪が入れ替わる。
  • 今と昔の考え方の違いを感じる。
  • 悲しい歴史から何かを感じる。

など
 


◆新聞・ニュースをみる
 

 
我が家では、週末に、一週間分のニュースをまとめて紹介してくれるTV番組を親子でみています。

また、週に一度発行される読売KODOMO新聞も購読しています。

気になったことやニュースをみて感じたことなど、お互いに意見を言い合う機会が確実に増えます。

 

親の「気持ち」

正解もゴールもない長い道のりですが、我が子が困っている姿を見て、嘆いているだけよりは何か具体策を考えた方が、私の場合、落ち着くのです。
 

 

子育てで悩んでいる今が、いつしか懐かしい思い出になるのかもしれません。
 

苦手が多い子供であることに変わりはないので、そこはありのままを受け入れる覚悟が必要なのかなと思っています。
 

でも、「心配」ではなくて、子供を「信頼」できる親になりたいな・・・。

 

そもそも、人は白・黒はっきり分けられるものではないので、グレーがあるのが自然な状態なのかもしれません。凸凹も個性ととらえて「おもしろいね!」と言ってもらえる居場所がきっとどこかにあることを願っています。
 

参考)グレーゾーンの我が子の発達の特徴

参考として、グレーゾーンである我が子の発達の特徴をまとめておきます。

発達の特性は、一人一人異なりますので、我が子への対策方法が他のお子様の対策となり得るかどうかわかりません。その点は何卒ご了承願います。
 

(参考) グレーゾーンである我が子の発達の特徴

【発達障害(ADHD)の傾向あり】
多動性・衝動性については小学生になり少し落ち着いてきましたが、不注意の傾向が強く出ています。
例)

  • 物や人にすぐぶつかり、それに気づかないことも多い。
  • 読み飛ばし、読み間違えがかなり多い。
  • 人の話が最後まで聞けない。待てない。

など

【発達性協調運動障害(DCD)の傾向あり】

  • 板書がとても遅い。手がすぐ疲れて書き取りが大の苦手。
  • 踊りなど、動きの模倣が大の苦手。
  • 腕の力が特に弱い。鉄棒も2秒程度しかぶら下がれない。
  • バランス感覚が悪く、つま先立ちも2、3秒でよろける。

など

  

子供の心
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