我が子は音読がとても苦手です。読み方がたどたどしく頻繁につっかえたり、上手く読めないのです。このような事は、特に小学生低学年の子供には多いかもしれません。
我が子を観察していて見えてきた課題は、
①文章を見て、頭で言葉に変換する
②言葉にしたものを、そのまま正確に声に出す
の二点です。
その両方の脳の働きを同時に鍛えるために、繰り返しの音読訓練がとても有効だと考えました。
そこで、音読が苦手な小学1年生の我が子でも、楽しいと嫌がらずに取り組んでいる音読練習の内容をご紹介いたします。また、使用している音読用文章の一部をプリントにまとめましたので、ご自由にダウンロード(無料)してお使いください。
初めは日本語の『リズム』や『情景』を楽しむ
我が家では、主に古い詩や歌などを使用して練習を行っています。
理由は、聞きなれない言葉の方がしっかりと集中して見聞きできると思ったからです。
まずはお手本として親が先に読み、次に子供が読みます。
実際に我が子を観察していると、リズム感や日本語に響きを楽しんでいるようで、あっという間に暗記してしまいます。暗唱するまで親子二人で大きな声で音読すると、何だか声が共鳴して気持ちがよいです。
また、どういう情景なのかを二人で話し合ったり、解釈について子供から質問を受けたりします。解釈に関しては、二人であれこれ考えて「本当にそうかな?」と笑うこともあれば、「わからないからネットで調べておくね」と冷や汗をかきながら謝ることもあります・・・・・・。
親子の数だけ楽しみ方があるのではないでしょうか。
例えば我が子は、「いろは歌」をラップ調でノリノリに歌って喜んでいます。またリズムの良い北原白秋の「りす、りす、小りす」が一番のお気に入りだそうです!
<リスト>
・雪 (山村暮鳥)
・りす、りす、小りす (北原白秋)
・お月夜 (北原白秋)
・冬が来た (高村光太郎)
・道程 (高村光太郎)
・竹 (萩原朔太郎)
・いろは歌
覚えやすい俳句
江戸三大俳人から二人をご紹介します。
まずは小林一茶。初めは、子どもや動物の気持ちに寄り添って詠んだ一茶の句が、感覚として理解しやすいと思います。わかりやすそうなものを何句か選んでみました。
<リスト>
・雀の子そこのけそこのけ御馬が通る
・我と来て遊べや親のない雀
・痩蛙まけるな一茶これにあり
・やれ打つな蠅が手をすり足をする
・名月をとってくれろと泣く子かな
・雪とけて村一ぱいの子どもかな
次は松尾芭蕉。我が子の場合には、実はこちらの方がお好みのようです。理由は読売KODOMO新聞に連載されているねこねこ日本史の4コマ漫画で芭蕉が出てきて気に入ったからだそうです。
我が家では、齋藤孝さん編の声にだすことばえほん「おくのほそ道」を読みながら音読しています。これは旅をしながら俳句を詠んだ松尾芭蕉の様子を、小学生が理解するのに大変役立ちます。句の解釈や、芭蕉が歩いた道も載っていますよ!俳句というものがぐっと近くに感じられてとてもおすすめの絵本です。
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お子様が俳句がお好きであれば、与謝野蕪村や正岡子規の句などもおすすめです。
難しそうな古文は絵本を活用!低学年で楽しい
古文は子供には難しいと思っていましたが、絵本を使えば小学1年生の我が子でも楽しんで音読することができました。そこで、2作ご紹介いたします。
まずは、清少納言の枕草子です。
我が子は、齋藤孝さん編の声にだすことばえほん「春はあけぼの」を使って音読しています。とてもかわいい絵が古文の解釈の助けになってくれます。
我が子の一番のお気に入りは、次の挿絵だそうです。
「炭もてわたるもいとつきづきし」の挿絵。
言葉はよくわからなくても、炭を持って急いでいる様子が伝わってきますよね。
あとは「むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる」の挿絵はこんな感じです。
説明はいらないくらいぴったりな絵だなと感じます。
因みに我が子が一番好きな言葉は「わろし」だそうです。
理由は音がおもしろいからとのこと・・・・・・。言葉の意味がよくわかっていない低学年の小学生らしい音の楽しみ方ですよね。
我が子は音読がとても苦手で記憶力も決して良い方ではないのですが、割とすぐに暗唱してしまいました。文というより歌という感覚なんでしょうか?不思議です。
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次の作品は、かぐや姫で有名な竹取物語です。かぐや姫は、幼い頃多くの子供達が絵本で読んでいる作品なので、難しい言葉でも頭に入りやすいと思います。古文に抵抗が無ければ一度読んでみると楽しいですよ。個人的には暗唱しやすい文章だと思います。
<リスト>
・竹取物語 冒頭
【音読関連記事】
音読は何歳から?効果は?
子供に古い文章を音読させるにあたり、陰山英男さんの「子どもの学力がグングン伸びる古典音読」という本を読んでみました。私が親子で実践していることは、陰山さんのメゾットに沿ったものではありませんが、参考になる記述がありましたので一部引用させていただきます。
小一に古文の音読なんて無理だろうと一般的には思うかもしれませんが、そうではないのです。この年頃は単純暗記するので、子どもは声に出したものをそのまま頭に入れてしまいます。
まさにその通りで、音読がかなり苦手な我が子ですら、すぐに暗唱してしまいました。そして記憶力が年々衰えている私自身でさえ、小学生時代に暗記した「枕草子」「平家物語」「竹取物語」などの一節を不思議なことに殆ど覚えているのです。
幼少期に美しい響きの名文に触れておくことは、国語能力の観点からも子どもの脳に良い効果をもたらすのではないでしょうか。
陰山さんの本には音読は、「姿勢を正して」「発声に注意して」「だんだん速度を上げて」といった主旨の記述があります。そのように訓練やトレーニングをするのが最も効果が高いのかもしれませんが、我が家ではなかなか学校のようにはいかない気がしています。
確かな学習効果を期待される方は、陰山さんの本を一度読んでみることをおすすめします。
我が家では、音読は寝る前に布団の中で行っています。本当は机に向かうべきなのでしょうが、子供が一番リラックスする時間に行いたいと思い、そのようになりました。勉強という感覚がないので、すんなり取り組んでくれます。
あくまでも我が子の反応ですが、親子二人で大きな声で音読をして、声が共鳴すると大変喜びます。読んでいる私も声に出すほどに言葉が頭に入ってきて、何故かすっきりした気持ちになります。
子供の年齢が上がるほど自我が芽生えて、親と一緒に音読をするのを嫌がることもあるかもしれません。子供がやる気になる方法を各ご家庭で模索しながら、無理をせずに楽しい音読の時間をお過ごしください。