我が子は小学1年生が終わろうとしている今でも、ひらがなの読み書きを間違えます。音読も苦手で、いつもどこかで読み間違えをしてしまします。
子どもの様子を不安に感じていた時、本屋で『読むトレGO!』という発達性読み書き障害(ディスレクシア)用のトレーニング本を見つけました。
「うちの子はもしかしたらディスレクシアなのではないか?」という不安を常々感じていたので、まずは『読むトレGO!』のトレーニング本から実践してみることにしました。
読み書きが苦手とは?
我が子のように文字を読むこと、そして文を理解することが苦手な子ども達がいます。その苦手の程度は「読むことが苦手」から「読めない」まで人それぞれで、読みが苦手な子は書くことも苦手な場合が多いそうです。
ディスレクシア
【ディスレクシアとは】
LD(学習障害)の一種である『発達性読み書き障害』は、ディスレクシアとも呼ばれます。
学習障害とは、知的な遅れはありませんが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定の分野の習得に著しく困難を示す状態です。
その学習障害の中で、特に「読む」「書く」という分野に困難を抱えている場合、ディスレクシアに該当すると考えられます。
例えば厚生労働省e-ヘルスネットによると、ディスレクシアの特徴は次の通りです。
- 文字を一つ一つ拾って読むという逐次読みをする
- 単語あるいは文節の途中で区切って読む
- 読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む(これらは音読の遅延、文の意味理解不良につながる)
- 文字間や単語間が広い場合は読めるが、狭いと読み誤りが増えて行を取り違える
- 音読不能な文字を読み飛ばす
- 文末などを適当に変えて読んでしまう適当読み
- 音読みしかできない、あるいは訓読みしかできない
- 拗音「ょ」促音「っ」など、特殊音節の書き間違えや抜かし
- 助詞「は」を「わ」と書くなどの同じ音の書字誤り
- 形態的に類似した文字「め・ぬ」等の書字誤りを示す
(ただし、知的な遅れがない場合)
因みに我が子は8割当てはまっています。
【ディスレクシアの診断】
ディスレクシアかどうか診断してもらいたい人はどこに行けばよいのか、親としては結構悩むところではないでしょうか。
そもそも診断が必ず必要なわけではありません。
診断を受けるメリットとデメリットを考えた上で決断するのがよいかと思います。
◆メリット
・診断を受ければ入試などで配慮してもらえる可能性がある。
・支援センターなどで、直接支援してもらったり、適切な支援法を教えてもらえる可能性がある。
・特別支援学級を薦められた場合、学習に対する苦手意識が低減する可能性がある。
など
◆デメリット
・特別支援学級を薦められた場合、国語を学ぶ機会が通常学級よりも減ってしまう。
・周囲とは違うという先入観を持たれてしまう。
など
◆診断までの主な流れ
①可能であればまず学校に相談
通級(週に何度か専門の教室に通う)や特別支援学級などの選択肢についても相談できます。学校との相談が思うように進まない場合には教育センターなどへ直接連絡することも可能だそうです。
②診断が必要な場合
親が発達障害の有無を知っておきたい場合や、学校関係者から判断を求められた場合には、お住まいの地域で小児科・児童精神科・小児神経科・発達外来などを受診するか、もしくは大学病院や総合病院などを受診し診断してもらうという選択肢があります。
自分で探す場合には、都道府県や市町村のHPに掲載されている場合もあります。
例えば福岡県では発達障害の相談ができる医療機関リストを公開していました。
また、日本小児神経学会のHPでは発達障害診療医師名簿が公開されています。リストを見て医療機関に連絡をとり、紹介状が必要かどうかなどを事前に確認しておくと安心だと思います。
ディスレクシア以外
ディスレクシア以外でも読み書きが苦手になる理由がいくつかあります。ここでは3つ例を挙げてみます。
【視機能】
白い紙に黒い文字だと読みにくいといった色と見にくさの関係などがある時には、眼科受診が必要な場合があります。視点を定めたり動かしたりする眼の機能に弱さがある場合もあります。
このように視機能に問題があると、読み書きが苦手になる場合があります。
【発達性協調運動障害(DCD)】
極端に運動が苦手であったり、手先が不器用である場合には、発達障害のひとつDCDである可能性があります。DCDは書くことが苦手なことに加えて、姿勢が安定しないため読むことが難しくなる場合があります。
【注意欠陥・多動性障害(ADHD)】
発達障害のひとつADHDを抱えていると、読みに集中できないため読みの困難さが出る場合があります。
原因がはっきりしない
例えば我が子の場合には、ディスレクシアの特徴10項目のうち8項目が当てはまります。
眼の機能については眼球を動かすことが得意ではことありません。注意力や落着きがないため、幼稚園時代には療育にも通っていました。
小学校入学時点で丸、三角、四角などの図形も上手く書けずDCDの疑いもありました。
療育では姿勢維持も苦手だと言われました。
どれもこれも疑わしい。けれど決定的ではないのです。
発達障害の子とそうでない子の境界線は、曖昧だと感じました。
読み書きが苦手な我が子に悩んでいた時、参考になった書籍がありました。
興味のある方は確認してみてください。
我が子の原因を考える上で参考になった書籍(Amazon)>>
同じ悩みを抱える方に向けて、我が家で実践している他のトレーニングもご紹介します。
出来る時に数分程度、気が向いた時に少しずつ行っています。
【我が子が行っているトレーニング】
視機能:ビジョントレーニング
体の機能:ビジョントレーニング、感覚統合あそび
認知機能:ビジョントレーニング、コグトレ
※今回紹介している「読むトレGO!」は認知機能の訓練に入ると思います。
学び直しの必要性~就労のために
色々調べていく中で、子どもの苦手の原因がどこにあるのかを理解し、できるだけ早い段階で気付いて対処してあげることが大切だと感じました。
そして、どんな状況であっても自立(就労)に向けて諦めないことが大切だと再認識しました。
もし知的障害があれば障害者手帳を取得して、公的な支援を受けながら自立する道があります。
ディスレクシアなどの発達障害であれば、入学試験の時間延長や職場での理解・配慮などが世の中に少しずつ広がっています。
では、どちらでもないけれど確かに日常の中で困っているグレーゾーンの人はどうしたらよいのでしょうか。
「読むトレGO!」の開発者である医学博士の平岩幹男先生によると、小学4年生までの読みができないと就労した際の収入に大きく影響するそうです。
例えば、就業規則や契約書など就労に関わる書類は全て文字で書かれているので、最低限の読みができないと困ってしまいます。
平岩幹男先生は、もし小学4年生になった時点でどうにもならない程の学習の遅れに気が付いた場合、小学2年でも小学3年でも学年をさかのぼってやり直すことを推奨していました。
子どもの将来のために、「あせらない、あきらめない、たのしく」というのが、平岩先生から私が感じた一番のメッセージです。
無理に何度も子どもに読みを強要すれば、読むこと自体が嫌いになり、語彙不足や学力低下といった負の連鎖に陥る可能性もあります。
義務教育が終わる15歳までに小学4年までの読みをマスターするなど、その子に合った目標を立てて、まずは書くことよりも読むことを優先して学習するとよいそうです。
読むトレGO!スモールステップ読む練習帳
合同出版「読むトレGO!スモールステップ読む練習帳」は読みが苦手な子どものトレーニング本です
(※我が子も実践しています。)
ディスレクシアなど読みが苦手な子供は、書くことよりも読むことから優先して練習した方がよいため、読みの練習に特化した実践的な内容になっています。
本に記載されている練習用の語句をQRコードでダウンロード印刷したり、コピー機でコピーしてカードを作成し、フラッシュカードのようにして使用します。
特徴
- 自宅で繰り返し練習ができる
- ひらがな1文字の読みからスタートするので、小学校入学前の先取り学習もできる
- 学年別の構成になっており、自分のペースで学習でき、学年をさかのぼることも可能
- 最終的には中学漢字も含まれる就労に向けての実践的な内容である
お役立ち情報も掲載
本の中には、練習方法だけではなく、文字を読みやすくする工夫が書かれています。
読みやすいフォントから、音声付きのガイド情報まで、ディスレクシアに役立つIT情報も知ることができます。
我が子が使った感想
トレーニングを嫌がらないお子様であれば、本だけでも実践的で非常に有効だと思いました。
我が子の場合には、文字をかたまりとして認識できない傾向があります。
闇雲に音読などの長い文章を読ませるのではなく、ひらがな1文字から徐々に字数を増やしていき、文字に慣らすという点が今後の支援の参考になりました。
ただし、カードでの訓練は単調になりがちです。
特に文字を覚えたての小学1年生の頃は、楽しく行う工夫をしてあげた方がよいと思います。
【追記】
小学2年生になった現在では、朝登校前に1ページ程度を日課にしています。
時間にすると5分かかりません。(すらすら読めれば1、2分です。)
- 言葉を知らないから読めないのか?
- 文字の切れ目が分からずに読めないのか?
- わかっていても声に変換するのが苦手なのか?
など、子供の様子を観察することで我が子の苦手の特性が見えてきました。
また、四字熟語やニュース・新聞で出てくるような言い回しも含まれているので、語彙が確実に増えています。
本当に言葉の意味がわかっているか確認するために、「これはどういう意味か説明してごらん。」とか、「反対語は何でしょう?」とか、「この言葉を使って文章を作ってみてよ。」というように、言葉を増やし定着させる工夫もしています。
各ご家庭でアレンジして使えると思いました。
ゲームなら、繰り返し練習をもっと楽しく!
繰り返し練習が苦手なお子様は、任天堂スイッチのソフトも販売されています。
開発途中でモニター調査をし、子どもに評判が悪かった点を改良しながら思考錯誤の末に完成した読むトレGO!は、実証実験では読み速度の20%向上という結果が出ているそうです。
音声でゲームをしながら、ステージをクリアしていくのが特徴です。
ゲームの内容を 「読むトレGO!スモールステップ読む練習帳」 で復習することも可能です。
まとめ
学習障害が疑われる子どもは、苦手分野を人並みにしようと思わずに、生活に困らないレベルまでなど一人一人に合わせた目標設定をした方がよいと感じました。
音声技術も進歩しています。教育改革も行われ、読み書き・そろばんだけが能力の指標ではない時代へと確実に変化しています。こんな時代だからこそ、その子にしかできない独自の能力を一緒に探して育てる親でありたいと思いました。