【発達が気になる子のトレーニング】レビュー『感覚統合あそび』~つまずきの理由と対処法

ナツメ社『感覚統合あそび』発達障害を考える本 Bookレビュー

 
我が子は、幼稚園の年少時代に、先生から「年齢なりの発達基準があるとしたら、そこからは逸脱しているので子育て支援を受けるように」と勧められ、3年間療育に通いました。

子どもが発達障害やグレーゾーンであるか否かに関わらず、「こだわりが強い」「周りとはちょっと違っている」などという特徴が、多かれ少なかれどんな子にもあるのではないでしょうか。私はそれを個性の一部だと考えています。

ところが強い個性は、学校や社会において「邪魔なもの」として排除されたり、置き去りにされてしまうことがあります。

療育を受ける中で感覚統合という言葉に出会い、本書『感覚統合あそび』をインターネットで探して読むことにしました。この本の中には、日常の子どもの困りごと、例えば「落着きがない」などに対し、体の感覚から見たその理由や対処法が数多く載っており、目からウロコで大変役立ちました。

我が子がもし療育に通わなければ知ることすらなかった感覚についての話を、同じ悩みで苦しんでいる方にも知ってもらいたいと思い、概要をご紹介します。
 

五感以外の感覚

感覚統合ー五感以外の感覚についての図解

 
本書によると、感覚には自覚しやすい「五感」と、殆ど自覚せずに使用している「三つの感覚」があるそうです。感覚には個人差があり、それがその人らしさに繋がっているとの記述があり、私もとても共感しました。

この本では、主に自覚せずに使用している「三つの感覚」に着目しています。この感覚のアンバランスさが、子どものつまずきを招くと語られていました。

そこで、その三つの感覚について少しご紹介します。
 

触覚~本能的な働き~

触覚には、触れたものを認識する「識別系」の機能と、自分にとって有害かを判断する「原始系」の機能があるそうです。

例えば触覚が鈍感だと他人との距離感をつかめないなどの問題が起こることがあります。逆に敏感だと人に触られることを嫌がるなどの問題が出てくることがあります。

他にも多くの事例が載っており、我が子にも衣服の素材にこだわりが強いなど、いくつかあてはまる項目がありました。
 

平衡感覚~バランスにかかわる~

バランス感覚ー平均台のような遊具を歩く子供

 
平衡感覚は主に姿勢のコントロールに関わっており、耳の中のある部位がセンサーとなり、体のバランスを調整します。眼球運動にも関わっているため、学習や生活にとって非常に大切な感覚になっています。

例えば我が子の場合ですと、姿勢を保てない、いつも体のどこかを動かしているなどの傾向があり、平衡感覚が鈍感であることがこの本からわかりました。
逆に敏感な子もいて、警戒心が強い、怖がりなどの傾向が出たりもするそうです。

そういったことが詳しく書かれており、自分の子どもの状況とつまずきの理由を掴むのにとても役立ちました
 

固有感覚~運動にかかわる~

感覚統合ーすぐ転ぶ子ども

 
固有感覚は、関節の曲げ具合や筋肉の張り具合を感じるセンサーのようなものです。そして体を動かす際にアクセルやブレーキの働きをするそうです。

我が子の場合には、固有感覚に最もつまずきがあり、細かな作業が苦手、字を上手くかけない、転びやすい、力加減が調節できないなどなど殆どの項目に当てはまりました。

 

学習・運動の土台となる感覚統合

感覚統合が学習や運動の土台になる

 
上図にあるように、三つの基礎感覚に視覚と聴覚を加えた五つの感覚をバランスよく使いながら、経験を積み重ねていくことが大切です。そしてこの五つの感覚を統合することを感覚統合といい、子どもは感覚統合を繰り返しながら成長していきます。

この感覚統合が、学習運動の力を支える土台となっています。

生活、学習、運動、感情などで、何らかのつまずきがある子どもは、ただ闇雲に頑張らせるのではなく、まずは「つまずき」に気づいてあげることが大切だと感じました。

そして土台の部分をしっかりと見直してあげながら、学習などに取り組む必要があると思います。その子に一番合った取り組みの速度を是非見つけてあげてください。

そしてこの本は、どのように土台部分を見直してあげればよいかも指南してくれます。
 

感覚統合あそび

本書では、「教育現場」「外」「家の中」という三つの場所で実践できる、感覚統合あそびをたくさん紹介しています。しかも特別な道具を使うものは殆どなく、思い立った時にすぐにできるものばかりです。

例えば、教育現場ではタオルで作ったボールで遊んだり、外ではすもうで遊んだり、家では布団を使って遊んだりします。

中でも我が子が一番お気に入りで、療育の先生にも繰り返しせがんだ遊びを1つ紹介します。
 

布団を使った感覚統合あそび1
布団を使った感覚統合あそび2

 
布団で子どもを巻きずしのようにギュッと巻いてから、布団の片端を持って思い切り転がすだけの遊びなのですが、大騒ぎをして物凄く喜びます。

これを療育に行っていた頃は、何の意味があるのか不思議でなりませんでしたが、この本を読んでやっと目的がわかりました。

他のどの遊びも非常に簡単に行えるものばかりでした。
 

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同じ悩みを持つ親御さんへ向けて

我が子の困りごと

子どもに多少つまずきがあっても、あまり気にせず黙って成長を見守るという考え方もあるかもしれません。しかし、生活面、安全面、学習面など様々な場面で、単なるつまずきで済ますことができない時が、我が子にはたくさんありました。

例えば

  • 人や物にすぐぶつかり怪我をする(怪我をさせる)
  • パンツの脱ぎ履きが苦手な為、排せつを我慢してしまう
  • じっとしていられず、飛び出して車にひかれそうになる
  • 握力がなく自転車のブレーキを握れない
  • 漢字テストは答えがわかっていても綺麗にかけず点数がもらえない

などなど、数えきれません。
もし、同じように悩みのある親御さんは本書の中にヒントがある可能性があります。

一番辛い思いをしているのは子ども自身だと思いますので、お子様と一緒に過ごしやすい環境を考えてあげることがお薦めです。
 

親の気持ちの変化

 
私は、幼稚園教諭の前で、療育の先生の前で、家で夫婦で話し合っている時に、子どものことで幾度のなく涙を流しました。

けれども、私自身が子どもについて学んでいくことで、気持ちは徐々に変わっていきました。応援してくれる友人や家族の力も大きいと思います。
そして一番の支えは、ゆっくりであっても一歩ずつ成長している我が子の姿です。

「どんな子どもであっても社会を支える力になれる」「どんな子どもであっても輝ける場がどこかにある」そんな世の中であってほしいと願っています。