【子育てヒント】生物学者『吉村仁さん』に学ぶ

好奇心いっぱいに虫眼鏡をのぞく子供 有名人に学ぶ生き方のヒント

Eテレの又吉直樹の「ヘウレーカ!」という番組で、昆虫の研究者である吉村 仁(よしむら じん)さんが紹介されていました。

世の中に認められるまで、決して順風満帆とは言えない道のりでしたが、本人はそんなことはどこ吹く風で、とにかく幸せそうに見えました。

それはきっと、「ずっと好きなことをしている」から!

吉村さんから、子育てのヒントを探りたいと思います。
 

昆虫研究者として世界に認められるまで

親御さんは、「好きなことをやりなさい」とどんな時も見守り続けてくれたと言います。
決して平たんではない道のりを、吉村さんはどのように歩んできたのでしょうか?

進化論で有名なチャールズ・ダーウィンすら解き明かせなかった謎を一晩で解き明かした吉村仁さん。大発見まで軌跡をご紹介します!
 

幼少期~大学院落第

【幼少期】
幼少期から昆虫が大好きだったそうです。
 

楽しそうに虫取りをする子供

 
【少年期】
小1の時の通信簿は、5段階評価で体育1、それ以外オール2でした。
小2で算数だけ成績が5に上がりますが、他の教科は以前として1か2という状態。
しかし生きものが大好きで、成績は上がらなくても、小5ですでに生物学者になることを決めます
 
【大学】
徐々に学力を伸ばし始め、大学に入学。小5からの夢を叶えるべく、生物学科で研究を始めます。

【大学院】
別の大学の修士課程に進み、農学研究科で虫について研究を続けましたが、修士論文が認められず落第してしまいました。
 

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祖父の援助でアメリカ留学へ

吉村さんのおじい様の教育方針は「自分が好きなことを子供や孫にさせたい」というものでした。それゆえ、おじい様は「やりたいところまでやっていいよ」と、アメリカ留学を援助してくれたといいます。

そのおかげでアメリカの大学で、生物学の研究を続けることができたのです。
 

運命の昆虫「マジシカダ」との出会い

セミの抜け殻

 
吉村さんが留学したアメリカのニューヨーク州では、シラキュースという都市で、17年に一度セミが大量発生します。この不思議な生態に強く惹かれた吉村さん。これが「マジシカダ」との運命の出会いでした。

不思議さゆえに、魔法のセミの意味で「マジシカダ」と呼ばれたり、「17年ゼミ」と呼ばれたりしていますが、実は私達親子もこのセミのことは知っていました。「講談社move昆虫」図鑑の付録DVDで見たことがあったのです。
ただ、なぜ17年に一度大量発生するのか?という理由までは知りませんでした。

そんな謎を吉村さんはどのようにして解き明かすことができたのでしょうか?
 

世紀の大発見! 世界から注目される研究者に

ある日友人が、「君はいろんな謎を解くが、セミの謎は解けないだろう?」と、吉村さんをからかいました。
謎を解くのが大好きだった吉村さんは、この謎を一晩で解いてしまったというのです。一体どういうことなのでしょうか?

数学が得意だった吉村さんは17という数字が素数(1とその数でしか割れない数)であることに着目します。マジシカダは東部・中西部では17年に一度、南部では13年に一度の周期で大量発生します。13も17もどちらも素数で、素数の特性にヒントがあることを吉村さんは発見しました。

そして通常のセミの周期が7年程度であるのに比べ、二倍以上長い周期があることにも着目し、話が氷河期まで遡ると推測できたそうです。

進化論で有名なダーウィンすら解けなかった長年の謎を、一晩で解いたというのですから、本当に驚きです。詳細はここには書きませんが、素数周期性というキーワードから導き出された推論は、素人である私も思わず「なるほど!」と思う内容のものでした。

この世紀の大発見が評価され、多額の研究資金を手に入れ、学者としての地位も確立しました。
 

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吉村さんに学ぶ

挫折を物ともせずに好きなことをひたすら続け、ついには夢をつかんだ吉村さん。
吉村さんの生き方から、子育てのヒントをつかみたいと思います。
 

大好きなものを見つける

好奇心いっぱいに虫かごをのぞく子供

 
吉村さんは、生き物が大好きだという気持ちで研究を続け、できなかったらどうしようなどとは一度も考えませんでした。

大好きであるということは、自分を突き動かす大きな原動力になると思いました。
  

周囲の支え

親と子の手のひらが寄り添う

 
吉村さんのおじい様のように援助してくれる方は、普通はなかなか現れないことでしょう。しかし、祖父から母へと受け継がれた「好きなことをとことん子供にやらせてあげて、親はそれを見守る」という教育方針があったからこそ、学問に邁進できたことは確かでしょう。

偉大な功績を残した人物の陰には、偉大な親がいるという例は少なくありません。子どもと読んだ発明王「トーマス・エジソン」の伝記を思い出しました。
 

自己肯定感を育てる

吉村さんは小学時代から今に至るまで、成績が悪くても気にならず、生物学者になれないとも考えたことはなかったそうです。

これは、幼少期から「根拠のない自信」をじっくりと育む子育てをしてもらい、自己肯定感がしっかりと育っている証だと思います。
 

自分の強みを持つ

例え苦手な分野があったとしても、他に強みがあれば補うことができます。そして自分の得意分野を意識したり磨いたりすることで、自信につなげることもできるのです。

吉村さんの場合には、それが数学や謎解きだったそうです。
自己肯定感を育てる上でも、子どもの強みは何かを、親子で考えてみるとよいのではないでしょうか。
 

継続は力なり

吉村さん曰く「続けることが大事」なのだそうです。

吉村さんの元にやってきた研究者達も、一流になれる素質がある頭の良い人ほど途中でやめてしまい、続けることがなかなかできなかったと言います。その理由は一番になれないから。

吉村さんとやめていった方々との差は、いかに一番になるか?ではなく、いかに続けられるか?だったのです。継続することの重要性を改めて感じました。
 

顕微鏡など実験道具

 
他人と比較せず、不確かなものであっても夢を信じ続けられるかどうか。
 
そのために、
親と子とその他見守ってくださる全ての方々とで、子ども時代に信じる心の土台をいかに形成できるかが大切だと思います。

吉村先生のように、信じる心好奇心継続する力を、子どもたちに授けたいと思いました。
 

【紹介図書】
作文教室主催の中根克明さん著『小学校最後の3年間で本当に教えたいこと、させておきたいこと』にも吉村先生の『素数ゼミの謎』がおすすめ本として紹介されていました。