身体の発達がゆっくりで、不器用な息子は生活の中でこれまでに何かと不便を感じてきました。例えば、こんな感じです。
人や物にぶつかりやすい。/物をよく壊す。/力加減の調節が苦手。/左右がわかりにくい。/ボール遊びが苦手。/姿勢が悪い。/じっとしているのが苦手。/文字を書くのが苦手。/など。
これらの不便さは、学業にとどまらず、対人関係の難しさや事故など身の危険に繋がり兼ねないことを、私達親子は身を持って感じてきました。
そのような理由から、息子は、自宅で簡単にできる『コグトレ』という認知トレーニングを行っています。コグトレの中でも、身体的に不器用さを抱えた子供達に向けて作られた認知作業トレーニングの一つが、今回ご紹介する『コグトレ棒』を使ったトレーニングです。
この記事は、『コグトレ棒』を使ってみた感想・効果・作り方などのレポート記事です。とても簡単に取り組める内容なので、興味のある方は生活の中に取り入れてみてください。
※『コグトレ』をご存じない方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
コグトレ棒の作り方
一般社団法人日本COG-TR学会(JACOGT)のHPによると、作り方は次の通りです。
これを元に実際に作ってみました。
因みに、私は新聞の中心(折りのある方)から巻き始めた方が作りやすかったです。
セロテープでとめたあと、目印に赤・黄・青のテープを巻きます。
カラーガムテープが無かったので、私はビニールテープで代用しました。また、新聞がむき出しだと紙が擦り切れそうなので、残りの部分には白いビニールテープを巻きました。
コグトレ棒を使っている様子
まずは、コグトレ棒を半回転するトレーニングをしてみました。
※息子がやっているのはごく一部のトレーニングなので、もっと詳しく知りたい方は、三輪書店『不器用な子どもたちへの認知作業トレーニング』という本を参考にしてみてください。
青から赤へ(もしくは赤から青へ)、コグトレ棒の先端から半回転させてキャッチします。
簡単そうに見えて、初日は全くできませんでした。
何が難しいかと言えば、まずコグトレ棒が数メートル先へ吹っ飛びます。息子は、物をコントロールするのが本当に苦手なのだと改めてわかりました・・・。
網戸に激突して破れそうになったので、最初は広い場所でやった方が良さそうです。
でも数日繰り返していると、たまーにできるようになりました。コグトレ棒が遠くまで飛んでしまうこともかなり少なくなりました!
半回転成功に続いて、一回転も!
まだ、20分くらいやって時折成功というレベルです。
他のコグトレ棒のトレーニング(下記)を試しましたが、息子が現在できるのはここまでです。
【息子が全くできなかったトレーニング】
- 足くぐり
- 逆回転のキャッチ
- 足くぐり
びっくりするくらい、全くできませんでした。片足で立てないだけではなく、どうやってコグトレ棒に足をくぐらせればよいかわからないそうです・・・。
- 逆回転キャッチ
コグトレ棒の手前をしゃくりあげるように回転しなければならないので、息子には殆どできませんでした。回転の方向がイメージできず、横の回転になってしまうことが多いです。
コグトレ棒の感想
コグトレ棒を使ってみて一番感心した点は、カラーテープです。
息子の場合、物の動きをイメージするのがとても苦手なので、テープの色がとても分かりやすい指標になりました。指示する方も色があると教えやすいと思います。
驚いたこととしては、できないとすぐに諦める息子が、10分、20分と諦めずに楽しく取り組んでいたことです。
「頑張ればできそう。」「できなくても、やっているだけで楽しい。」といった雰囲気でした。少しけん玉をやっている時の楽しさに近いなと感じました。
子どもにとっては、トレーニングというよりは遊び感覚なのかもしれません。
ただし、この手の棒を渡すとすぐに剣だと思ってしまい、悪ふざけが始まります。特に元気な子は、ご注意くださいね。
コグトレ棒は新聞紙10枚で作られているので、普通に使っていれば折れません。でも踏んだり乱暴に扱うと比較的簡単に曲がりますのでご注意ください。
コグトレ棒の効果
正直なところ、すぐに効果の有無は語れません。
最初はまるでキャッチできなくても、繰り返せば少しずつ習得します。はじめは棒のカラーテープを目で追うことすらできませんでしたが、今はしっかりと色を見ています。体のふらつきも軽減しています。
これまでの息子の成長を見ていると、
はじめは全くできない。
↓
繰り返していると、いつかはできるようになる。
↓
やらなくなると、すぐできなくなる。
こんな感じを繰り返しています。
だからコグトレ棒も、すぐに効果を求めるものではなく、根気強く継続することが大切なのかなと思います。
以前療育に通っていた時、作業療法の先生から教わったことがあります。
- 身体を動かすことが苦手な子は、苦手意識ゆえに動かす機会自体が減ってしまうので、なるべく機会を増やしてあげるとよい。
- ゼロ(未経験)と1(一度でも経験済み)の違いはとても大きい。
習得できるできないに関わらず、色々な身体の機能を、まずは使ってみることが大切なのかなと思っています。
コグトレ棒を継続するコツ
我が家では、コグトレの他に身体の認知機能訓練をいくつか行っています。これまで息子と共に取り組んできて感じている、継続する我が家流のコツをご紹介します。と言っても、とてもシンプルです。
- がんばりすぎない。
やりたい時にやるくらいの方が長続きしました。
- 楽しむ。
頑張ればできるくらいのレベルのことから始めました。「楽しいからやりたい。」と子どもから言うのが一番理想的だと思います。
当たり前の内容ですが、いつも自分に言い聞かせていることをご紹介しました。
家庭は療育機関ではないので、のんびり楽しく、これからも継続していこうと思います。