社会面・学習面につまずきのある子供~大人におすすめ『コグトレ』

社会面学習面でつまずきのある子供◆学習・読書

コグトレとは児童精神科医である宮口幸司さんが、社会や学校で困っている人(主に子供)に向けて考案した認知機能向上を目的とした支援プログラムです。

なぜ認知機能の向上が社会や学校で困らない為に役立つのかというと、認知機能の低さが学習面や対人関係などの社会面、更には身体面にまで様々な影響を及ぼすからです。

コグトレの考案者である宮口幸司さんと言えば、「ケーキの切れない非行少年たち」という2020新書大賞第2位に選ばれた著書が大変有名です。
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この本の中には、犯罪を犯す若者の多くが、例えばホールのケーキを三等分に切り分ける術も知らないような生まれながらの認知機能の弱さを持ちながら、家庭や教育現場や社会から見過ごされてきた実状が書かれています。

非行少年を題材にしている重いテーマの本ですが、見過ごされる子供を作らない為に考案されたのが正にコグトレですので、コグトレの重要性を知る上でも一読する価値があると思います。

この本を読んだ時に私が感じたのは、「驚き」ではなく「納得」でした。それは作業療法の療育経験がある我が子の特徴と酷似しており、認知機能の弱さゆえに今まさに小学校の集団生活で困り事を抱えているからです。

認知機能の弱さと学習面・社会面・身体面のつまずきとを結びつけて考えることは、意外と難しいと思います。

この記事は、我が子と『コグトレ』を実践して感じた効果ポイントや訓練内容をお伝えすると共に、発達障害の疑いのある方や日常の生活に何らかの困り事を抱えている方に対して、他にもトレーニングの手立てがないのかなどを書いた記事です。

我が子が実践中~二冊のコグトレ本

教室で使えるコグトレ

東洋館出版社の宮口幸司著『教室で使えるコグトレ』は、学習面・社会面・身体面の3部構成の内容になっており、学校の教室でも1日5分で実践できるようなトレーニングがたくさん紹介されている本です。

実際使ってみて感じたのは、小学1年生の我が子には難しい問題がかなりあるなということです。個人的には小学校中学年以降からという印象でした。

学習面・見る力

例えば間違え探しの課題で、大人の私でも簡単にわからないような微妙な絵の違いが出題されています。しかし予想に反して子供は難しさを楽しんでいました。なかなか取り組みごたえがあって大人でも楽しめました。できなくて当たり前という気持ちで、お子様が一つでも自力で見つけたら褒めてあげることから始めてみてはいかがでしょうか。

学習面・聞く力

小学1年生の我が子には難しすぎて楽しく取り組むことができませんでした。
我が子は年長の時に発達検査を受けた際、似たような問題に出会いました。なかなか思うように答えられずに、帰宅後に傷つき泣き出してしまったことを思い出しました。

普段から聞く力が弱い子供に対しては、問題のレベルを親御さんが下げてアレンジしてあげる必要があるかもしれません。子供にも子供なりのプライドがあるので、楽しく取り組めるよう配慮が必要です。

社会面

こちらは児童精神科医として病院や医療少年院に勤務した経験のある宮口さんならではの視点で作られた素晴らしい課題がたくさんあり、とてもおすすめです。しかも、相手の気持ちに思いを致すことや、周囲の安全に注意を向けることが大の苦手である我が子が、やりたいやりたいと意欲的に取り組んでいます。

絵を見て潜んでいる危険を予知する課題は、赤信号でも渡ってしまうような我が子にはうってつけ課題で効果抜群でした。また、相手の感情を絵から読み取ることに始まり、自分の感情を知り、更にどのようにコントロールしていけばよいのかを指南してくれます。

そしてその先に人との接し方や問題解決方法を学ぶことができるという点が、子供にも親にも役立つものだと感じました。道徳のようでありながら、それよりももっと論理的具体的にどう改善すればよいのかがわかりやすいです。

身体面

不器用で身体を上手くつかいこなせない我が子は、小学生になってから読み書きでつまずきました。がさつ・乱暴・雑という印象が親の私ですら拭えず、相手にぶつかって怪我をさせてしまったこともありました。それだけ身体面の問題が学習から対人関係まで色々な面で影響してしまうと常々感じています。

そのような私達親子にとっては、十分とは言い切れないボリュームでした。例えばコグトレと併せて感覚統合あそびのように、微細運動(指先などの細かな動作)や粗大運動(体を大きく使う動作)の総合的な訓練を取り入れるのも一つの手段だと思います。
※感覚統合に関しては後述します。

医者が考案したコグトレパズル

SBクリエイティブ発行の宮口幸司著『医者が考案したコグトレパズル』は1日5分で、注意力・記憶力・想像力の高め、漢字力や計算力など学習の土台づくりに最適な本です。絵も馴染みやすく文字も大きいため、小学校低学年から楽しく取り組める内容だと思います。コグトレが初めての方には、こちらの本がおすすめです。

本書では、まず認知機能の弱がどのように学習に影響するのかを教えてくれます。
そして

・数える
・覚える
・写す
・見つける
・想像する

の5部構成の内容で、それぞれの力を伸ばすトレーニングが記載されています。

前述した「教室で使えるコグトレ」は、学習面だけではなく、対人関係や身体面にも多くの紙面を割いていましたが、『医者が考案したコグトレパズル』は、学習面に主眼を置いており効率的に学習の土台作りができると感じました。

難易度も問題選びのバランスも丁度良いという印象で、とても取り組みやすく効果を得やすいと思います。小学校1年生の我が子では、まだ難しい問題もありますが、概ね楽しく取り組んでいます。

難問と言えば、例えば我が子の場合には空間認知が特に苦手です。とりわけ立体になると混乱するようで、さらに回転が加わると(視点を変えると)もう正解することはかなり難しくなります。

コグトレパズルの立体図形ー想像する問題
図1 コグトレパズル 想像する問題
コグトレパズル立体図形がわからない時の手作り模型を使う
図2 立体図形を牛乳パックで再現

図1のような立体図形が示された時、まず絵の情報のみでは立体の形が想像できません。そもそも空間認知能力が弱い子供は左右という概念すら定着しにくいと感じます。そのような状態で正面・裏側・左側・右側の4方向から見た立体形状がイメージできるはずがありません。

そこで我が家では、牛乳パックの底の部分を立方体になるように切り取って、まず立体を再現します。次に片方の箱にだけビニールテープを巻きます。そして利き手にスプーンなどを握らせて右利きならスプーンを持った方の手が右だよ、左利きならスプーンを持った方の手が左だよと左右を認知するよう誘導します。

あとは正面から見たら飛び出しているのは、赤い箱か白い箱か尋ねます。答えられたら、その箱が右なのか左なのかを答えてもらいます。裏から見た時は実際に立つ場所を変えて同様の質問をし、左右も同じように立ち位置を変えて飛び出している箱が左右どちらなのか考えさせます。

慣れてきたら、スプーンを持たずに答えたり、ビニールテープを外して両方白い箱にして考えさせていきます。

効果を得ることに焦らず、スモールステップで根気強く訓練をしていくのが、私のおすすめです。なぜならば、苦手な子供は最初のうちは本当に全然わからないからです。何がどうわからないのかも、本人にはさっぱりわかっていないようです。

 

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見る力を更に訓練したいとき

我が子は療育(作業療法)経験があります。その経験からご紹介したいのが、見る力を育てるビジョントレーニングというものです。

・書く(描く)力
・読む力
・手先の器用さ
・運動すう力
・イメージ力
・集中力・注意力
・記憶力

を育てることができます。これはプロのスポーツ選手も取り入れている訓練で、発達障害などのつまずきを抱える人に限られた訓練ではありません。しかも、ナツメ社のビジョントレーニングによれば、適切な訓練(ビジョントレーニング)を始められれば、効果は必ずあらわれるそうです。

詳しくは別途記事にしていますので、そちらをご覧ください。

つまずきの原因を総合的に見つめたいとき

例えば手先が不器用、落着きがない、運動が苦手など、発達のつまずきを多く抱えるお子様は、紙と鉛筆を使った机上の訓練だけではなく、体全体を使った訓練を併せて行うと効果的だと思います。

これは我が子が療育(作業療法)に通った時に、そういった訓練を繰り返していた経験から感じるもので、療育が終わった今ではナツメ社の感覚統合あそびという本を使って自宅でも体の訓練を続けています。

聞きなれない言葉ですが、学習や運動の土台となる視覚や聴覚の他にも普段自覚していない3つの感覚が存在しており、それらの感覚全てが関係し合いながら成長すること(感覚を統合すること)が発達の上で重要だという内容のものです。

感覚統合について別途記事にしていますので、詳細はそちらをご覧ください。

幼児などコグトレが難しいと感じるとき

まだ文字の読めない幼児や、文字が読めてもコグトレが難しいと感じる方におすすめしたい簡単でやさしい方法を2つご紹介します。

1つ目は、間違え探し迷路点つなぎで遊ぶということです。間違え探しは見る力を養いますし、迷路は運筆と先を見通す力がつきます。点つなぎは形の把握や運筆に効果があり、漢字の習得にも役に立ちます。

実際に療育でも迷路や点つなぎはよく行っていて、当時はこんなことが役に立つのか疑問でした。しかし、小学生になってひらがなや漢字が上手く書けない、覚えられない我が子を見て、絶対に役に立つと感じるようになりました。

点つなぎなどは、当初は点の位置も分からなければ、点と点を直線で結ぶこともできませんでした。繰り返し行った結果、今はだいぶ出来るようになってきました。我が子に対しては小学生になってからでも十分効果を感じています。

無料ダウンロードの教材サイト『ちびむすドリル』さんの間違え探しや迷路や点つなぎは、種類も難易度も大変豊富でかつ楽しくて、本当におすすめです。

>>『ちびむすドリル』さんのサイト

おすすめ方法の2つ目は、体を使った遊びを通して色々な感覚を刺激してあげることです。それには前項でご紹介した感覚統合あそびが、おすすめです。

できるところから少しずつ試してみてください。
 

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一番大事だと感じること

我が子と訓練をしながら一番感じたことは、子供の状況に気づくことができて本当に良かったというこことです。

療育をすすめられた当時はだいぶ落ち込みました。作業療法の先生に「普通の子と同じレベルは難しいかもしれないけれど、生活に困らないレベルにまで持っていくことは可能だと思います。」と言われた時も、何だか希望のない言葉だなと思いました。

でも、もし療育に通うことが無かったら、我が子のことですら「やる気がない」「落着きがない」「何をやっても雑で不器用」・・・・・・だと今以上に叱ってばかりいたと思います。

そして体の発達のアンバランスさが問題行動として表れてしまうなんて知る由もなかったはずです。まずは子供が困っているという現実に気づいて目を向けることが一番大事だと強く感じます。

学習に関しても認知能力が低い子供に対して、ひたすら演習を繰り返しても非効率ですし、効果が低いかもしれません。精神論だけではなく、つまずきの理由を探ってあげたいです。

理由に気づき、そこからどのようにアプローチしていくかは色々な方にアドバイスをもらいながら一歩ずつでよいと思います。私の場合、アドバイスとは市の支援であり専門書籍探して読むことでした。

私達親子も、希望を捨てずに今できることを一歩ずつ頑張ろうと思います。

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