もしかしたら、『日本名作』を読む機会はそれ程多くないかもしれません。
しかし、日本名作には、読み継がれるだけの理由があります。
この記事では、日本名作に触れるきっかけとして適していると思う本を、Gakkenの『10歳までに読みたい日本名作シリーズ』から数冊ご紹介しています。
Gakkenの『10歳までに読みたい日本名作シリーズ』の特徴は次の通りです。
【特徴】
- ふりがな付き、解説付きでとにかく読みやすい。
- 大作も美味しいとこどりで、サクサク読める。
- 一冊で終わってしまうので、更にもっと読んでみたくなる。
- 挿絵もカラーで美しい。
シリーズは現時点で全12冊ありますが、小学生の我が子は12冊全て読みました。
(※家に7冊、残りは図書館等で借りました。)
その中から、我が家の子供が特に気に入った本を選んでご紹介します。
一度読み終わって、数か月するとまた開いて読んでみたくなる、そんな本達です。
シリーズ名に「10歳までに・・・」とあるのは、恐らく小学生・中学年頃から読むのに適しているという意味だと思います。実際に読んでみて、10歳を過ぎていても十分に楽しめる内容だと感じました。
日本名作をお探しの方は、是非参考になさってください。
探偵と怪人の対決~世界の名作に負けない面白さ!
◆少年探偵団 ~対決!怪人二十面相
~10歳までに読みたい日本名作7『少年探偵団』について~
この小説は、名探偵・明智小五郎と助手の少年探偵たちが、大どろぼう・怪人二十面相と対決するお話です。
原作者・江戸川乱歩の『怪人二十面相』や『少年探偵団』の中から、特に少年探偵たちの活躍する話を選び、小学生にもわかりやすいように編集されています。
怪人二十面相は、決して人を傷つけず、神業とも思える変装術を持つ謎にみちた天才どろぼう!
しかし、少年探偵も負けじと知恵を絞って挑み、怪人二十面相を驚かせます!
江戸川乱歩の小説は、不思議でどことなく怖い雰囲気も漂っていてスリル満点。最後は、怪奇現象とも思える謎がきちんと解明されるところがとても面白いです。
世界の名作・アルセーヌルパンやシャーロックホームズにも負けない、正に日本名作だと思います。
本書の中には、『六つのダイヤモンド事件』と『黒い魔物事件』の2話が入っています。
読んでびっくり神話の魅力~地理の学習にも!
◆古事記 ~日本の神さまの物語~
「古事記」という題名からして、古くて難しくて面白くなさそう・・・
そんな風に感じる子供も多いのではないでしょうか。
実は、私も子供も全く期待していませんでした・・・。
しかし、これが実に面白いのです!
『いなばの白ウサギ』や『ヤマタノオロチ』など、有名なお話も登場します。
まだ読んでない方には、是非読んでもらいたい一冊です。
~10歳までに読みたい日本名作8『古事記』について~
古事記とは、日本で最初に書かれた歴史書です。
この世界にまだ何もない状態から、男女の神さまが日本の島々や自然の神さまなどを産んでいくことからお話が始まります。
瀬戸内海付近から島を作り始め最後は日本の本土全てをつくっていくので、子供達が既に知っている地名もたくさん登場し、日本の地理に興味を持つきっかけにもなると思います。
この神さまたちは、奇想天外な行動をしたり、そうかと思えば神でありながら人間くさい感情をいだいたりと、とにかく驚きの展開なのです。
神さまはたくさん登場しますが、多くの神さま同士が血縁関係など何かしらのつながりがあるので、相関図を見ながら楽しめると思います。神さまたちの子孫をたどっていくと一体誰になるのでしょうか・・・。
『いなばの白ウサギ』や『ヤマタノオロチ』など、有名な物語も含めて9つの物語が入っています。
日本初の長編冒険物語を美味しいとこどりで!
◆里見八犬伝
原作である『南総里見八犬伝』は、江戸時代に曲亭馬琴という人が書いた106冊にも及ぶ日本初の長編冒険ストーリーです。
南総とは、主に千葉県の南部を指します。物語ではありますが、舞台となっている戦国時代の始まり頃に実際に存在した武将の名前も多く登場します。
曲亭馬琴は、この物語に何と28年の歳月を費やし、最後は目が見えなくなり口で物語を語り完成させたそうです。まさに作者が人生をかけて書き上げた物語なのです。
そして、現代の私達が読んでも夢中になれる壮大な物語でもあります。
この超大作を、小学生でも読みやすく、一番盛り上がりそうなシーンを一冊にギュッと詰め込んだのが、今回ご紹介する本です。
~10歳までに読みたい日本名作4『里見八犬伝』について~
ストーリーは壮大で、きっと現代の小学生も夢中になれる冒険物語だと思います。
ただし、とにかく登場人物が多く、それぞれの関係性も子供にはやや複雑です。
例えば、冒険に出る8人の八剣士ならぬ『八犬士』は、8人とも名前に犬がつきますし、名前のそっくりさん、顔のそっくりさんなども登場します。
ここで活躍するのが、詳しいイラスト解説付き相関図です。
楽しいから、相関図を見ながらでもどんどん先を読みたくなる。そんな本です。
15章に分かれていますが、最初の2章くらいで物語に引き込まれていくのではないかと思います。
さらに・・・
物語の中に曲亭馬琴が人生を通して伝えたかったメッセージが何か隠れているような気がしました。
- 不幸も何かの因果だと受け入れ、悲嘆するだけではなく、目的を果たす為に前を向く。
- 例えひどい親であっても、自分が受けた恩は決して忘れない。
など、もしかしらた現代を生きる私達にも何らかのヒントをくれる物語なのかもしれません。
江戸時代に既にこんな壮大な冒険ストーリーがあったとは、本当に驚きです。
親の予想に反して、こちらも子供のお気に入り!
平安時代の作家・紫式部が書いた『源氏物語』が原作の、10歳までに読みたい日本名作12『源氏物語』も、子供が楽しそうに読んでいました。
~10歳までに読みたい日本名作12『源氏物語』について~
美男子の主人公「源氏の君」の身に起こることを、ある程度知っている人には物足りない内容かもしれません。しかし、源氏物語が初めての子供は、このくらいがちょうど良いのかなと感じました。
メリットとしては、
平安時代の暮らしについて知ることができる。
↓
深い人間模様は描写せず、小学生が楽しめるよう編集してある。
↓
平安時代に興味がわいてくる。
え?もう終わりなの?
この先どうなるの??
これからまだまだ何かが起こりそうな予感のまま終わるので、もっと読みたくなる!
そんな本だと思いました。
古典文学に興味を持つきっかけの1冊になるかもしれません。