計算が苦手な小学一年生の我が子。子供に算数を教えている中で、あることに気が付きました。
それは算数のつまずきの第一歩は計算にあり、計算のつまずきの大元は小学一年生の内容をきちんと理解できているかにあるということです。
計算のつまずきが克服できれば、次は算数の色々な概念を理解する訓練に進んでいけると思います。概念とは、例えば「60分で1時間になる」とか「ひっ算の方法を覚える」というような子供にとって初めて出会う算数の決まり事のことです。
この記事では、算数の概念を理解する前に、まず計算でつまずいているお子様に対して、それをどのように克服したらよいのかを、我が子との取り組みを紹介しながら説明しています。
計算を理解する順序とつまずく理由
計算方法を理解するには、順序があります。
①まずは10まで、次に20までの数を数えられるようにする
②10までの数がいくつといくつに分けられるかマスターする
③繰り上がりのない足し算と繰り下がりのない引き算をマスターする
④繰り上がりのある足し算と繰り下がりのある引き算をマスターする
これが、計算の土台となる最も重要な第一ステップだと考えています。
ここまでができれば、30まで100までと数が大きくなっても手順は大きく変わりません。また、足し算と引き算のひっ算にも役立ちます。
そして三年生で九九さえ覚えられれば、掛け算と割り算のひっ算も基本的には引き算と足し算と九九を使うだけですから、今後の学習に役立ちます。
もし小学一年生で①~④までのステップでつまずいてしまうと、以降学年が上がる程の遅れが生じる可能性があります。
我が子が通う小学校でには、校内に一人算数専任の教師がおり、学級の中で遅れが生じた生徒に対して補習授業を行ってくれるようです。
これは算数を苦手とする生徒が一定数いることと、学級の中で一斉授業をするだけではなかなか理解が追いつかない子供がいる現実を示していると思います。
我が子もその一人であり、少ない負担で家庭で取り組める補習方法をこれまで模索してきました。その結果、我が子に効果のあった内容を具体的にご紹介していきたいと思います。
この記事は、20までの数を数えられる前提で書いています。
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最も重要な『いくつといくつ?』
学校からの課題として、『数がいくつといくつに分けられるのか』をしっかり家で学習しておくように言われました。
例えば、6は3と3、2と4、1と5というように、指を使って遊び感覚で勉強するとよいとのこと。
当時の私は、計算くらい簡単にできるのになぜそのような課題が出るのか?と疑問に思っていましたが、いざ授業が始まってみると我が子はだいぶ苦戦しました。
我が子を見ていて、結局10までの数がいくつといくつに分かれるのか?という問題がわからないと、足し算も引き算も簡単にはできないのだとわかってきました。
そこで活躍するのが、一年生の算数の教科書です。手元にある方はそれを使って練習するとよいですよ。
一年生の教科書が手元にない方は、『ぷりんときっず』さんの無料ダウンロードプリント(小学1年生算数いくつといくつ)がとてもわかりやすいので確認してみてください。
繰り上がり繰り下がりなしの計算と10になる数
数のいくつといくつをマスターしたら、次は繰り上がりのない足し算と繰り下がりのない引き算と10になる数を確認してみましょう。一年生の教科書には次のような表が載っていました。
これを見ながら単語帳を使って計算カードを作ることにしました。
表に式を書いて裏に答えを書きます。単語帳の良いところは、持ち運びが楽なのでいつでも隙間時間に使える点と、カードの順序を入れ替えることができる点です。たまに順序を入れ替えると効果的です。
色々試した結果、私が使いやい感じたカードの並び順を参考に書いておきますね。
①足し算
〇+1をランダムに並べる。〇+2~〇+8まで同様に作成。
7+1、1+1、6+1、8+1、4+1、2+1、5+1、3+1
3+2、7+2、6+2・・・
2+3、4+3、3+3・・・
・・・
1+8
②引き算
〇-1をランダムに並べる。〇-2~〇-8まで同様に作成。
3-1、2-1、5-1、6-1、4-1、8-1、9-1、7-1
5-2、8-2、7-2・・・
4-3、5-3、7-3・・・
・・・
9-8
③〇+〇=10になる数
9種類の式をランダムに並べる。
9+?=10、2+?=10、4+?=10、7+?=10、1+?=10、8+?=10、3+?=10、6+?=10、5+?=10
④10-〇の引き算
9種類の式をランダムに並べる。
10-5、10-7、10-9、10-1、10-4、10-8、10-6、10-2、10-3
とにかく短い時間でよいので、頻繁にやると定着率がよいです。
慣れてきたら20まで、30までと数を大きくしていきましょう。どうしても単調な作業になるので、計算に変化をつけることをおすすめします。鉛筆で書いておけば書き直しも簡単ですよ。
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繰り上がりのある足し算
いよいよ繰り上がりのある足し算の練習です。
これは単語帳よりも机に向かって集中して解く方がよいと思います。
解き方
計算方法は以下の通りです。
この方法を教えた上で、テスト形式で繰り上がりの計算を練習します。
教科書の一覧表を元にテストを作ります。ノートに手書きでも良いのですが、何度も繰返すとなると手書きやコピーは大変ですよね。
そこで、繰り上がりのある足し算プリント(PDF形式)を作りました。ご自由にダウンロード(無料)してお使いください。
練習方法
全36問をすらすら解くことを目標(約2分)に、できるだけ一日一回行います。
丸付けも入れて5分程度で終わります。
計算が難しいと感じる時
【POINT 1】
どこでつまずいているかを探ることが大切だと思います。具体的には、
解き方①の『あといくつで10になるのか』でつまずいているのか
解き方②の『引き算』でつまずいているのか
を見極めるということです。そして、つまずき箇所がある場合には単語帳に遡って練習し直します。
一進一退を繰り返しながらできるようになるので、親も少々根気が必要だと思います。
【POINT 2】
計算が苦手な我が子は複数のタスクを同時に行うことが難しいようです。
そのような場合には、計算過程を始めから終わりまで声に出して説明させてみてください。理解度が把握できると共に、子供自身の頭の整理とマンネリ化防止につながると思います。
慣れて簡単に解けるようになってきたら
順序を入れ替えてみたり、30まで50までというように数を大きくして式を作り直してもよいと思います。
繰り下がりのある引き算
最後に繰り下がりのある引き算です。
これも単語帳よりも机に向かって集中して解く方がよいと思います。
解き方
計算方法は以下の通りです。
繰り上がりの足し算と同様に一覧表を元にしてテストを作ります。
繰り下がりのある引き算プリント(PDF形式)を作りました。ご自由にダウンロード(無料)してお使いください。
練習方法
繰り上がりのある足し算と同様です。
計算が難しいと感じる時
【POINT 1】
繰り上がりのある足し算と同様に、つまずき箇所を見極めましょう。
つまずき箇所がある場合には単語帳に遡って練習し直します。
【POINT 2】
繰り上がりの足し算と同様に、計算過程を始めから終わりまで声に出して説明させてみてください。理解度が把握できると共に、子供自身の頭の整理とマンネリ化防止につながると思います。
慣れて簡単に解けるようになったら
繰り上がりのある足し算と同様です。
並行して行いたい認知機能訓練『コグトレ』
繰り返しの計算演習をするためには文字を書く能力が必要です。また今後の学習を見据えると、数を塊りとしてとらえたり図形や記号といった物の形状を把握するために、空間認知の能力も必要となってきます。
そもそも読み書きや空間認知に困難を感じるお子様には、『コグトレ』という空間認知機能を高めるトレーニングを計算演習と並行して行うのがおすすめです。
注意力・記憶力・想像力などを高める為に医師により考案されたトレーニングですので、計算のみならず、図形・文章題・抽象的概念を理解する算数の総合的な学力向上に役立つと思います。
我が子が実践している様子を別途記事にしていますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
家庭学習について
家庭学習は、親子共々最低限の負荷にとどめ、その代わりできる限り頻繁にコツコツ練習することが、計算の苦手を克服する第一歩になると感じました。
また、もし繰り返し演習で効果を感じにくい場合には前述した『コグトレ』などの認知機能の訓練を行ったり、100玉そろばんで訓練を行うのもお薦めです。
子供を算数嫌いにしないようにするには、焦らずコツコツ練習することと、適切な訓練方法を見極めることが大切だと思います。そのために、まずは子供のつまずきのポイントを探してあげてください。