スーパーで手に入る材料を使い、おうちでできる草木染めをご紹介します。染める前の染液に重曹や酢を混ぜて色が変わる簡単でおもしろい科学実験も行います。
今回我が家では、熟しすぎたり傷んでしまった家庭菜園のブルーベリーとブラックベリーを使いましたが、手に入りやすい代替材料のご紹介もしています。
ベリー類に含まれるアントシアニンという紫色の色素。子どもに身近なところにもたくさんあります。例えば朝顔、なす、紫キャベツ・・・・・・。アントシアニンは、酸性・中性・アルカリ性によって色が変わるんです!
ご自宅で用意できる材料を使い、夏休みなどにお子様と楽しんでみてはいかがでしょうか。藍染めだけが染め物ではない!キッチンで子どもと気軽に!
私の失敗例や染める時の注意点についてもお伝えしていきます。
準備
染める前の準備について説明します。
用意するもの
- 布
できれば絹や毛織物など動物性の繊維を使う方が色の定着がよくなります。綿や麻などを使う場合には、豆乳による布の下処理を行った方がよく染まりますが、簡単に済ませたい方は省略してください。下処理については後述します。
布は水通しを兼ねて、あらかじめぬるま湯につけて干したものを使ってください。
今回使った布:綿のさらし30cm角2枚、マスク1枚(材質不明)
- 色の元になる植物
今回は冷凍保存していたブラックベリーとブルーベリーを使いました。ブルーベリーは冷凍食品としてスーパーにも売られています。他にもアントシアニンを含む植物がありますので、後程ご紹介します。
- 無調整豆乳(布の下処理をしない方は不要)
豆乳を同量の水で割り、布が十分に浸る量を用意します。
今回使用したのは豆乳と水の合計が約500mmlでした。
- ビー玉と輪ゴム(模様付け用)
- 焼きみょうばん(色止め用)
色止めに使えるものは何種類かありますが、漬物をつくる際にも使われる「焼きみょうばん」が、スーパーなどで一番手に入りやすいと思います。
- ステンレスかホウロウの鍋(アルミや鉄等の金属製鍋は不可)
- 箸、木べら
- ザル、ボウル
◆おもしろ科学実験用
- 酢
- 重曹
- ハギレ3枚程度(使用する布の切れ端でOK)
- 白か透明の小さな容器3つ(小皿などでOK)
豆乳による布の下処理(省略可能)
※動物性の繊維を使う方はこの作業は不要です。
使う布は、ムラを防ぐ為にぬるま湯に浸しておきましょう。この時、布に水が浸透しているか確認してください。私は目の詰まったマスク生地になかなか水分がしみ込まなかったにも関わらず、何とかなるかなと気にせず豆乳に浸した結果、かなりの色ムラができてしまいました。目の粗い水を吸収しやすい生地の方が初心者向きだと思います。
綿や麻などの植物繊維を使う場合には、たんぱく質を繊維にしみ込ませた方が色の定着がよくなりますので、余裕があれば行ってくださいね。
※色の定着が悪くなりますが、面倒な方は省略することも可能です。
およそ1年前に染めた玉ねぎ染めでは豆乳による下処理を行いませんでした。ほぼ黄色に染まった木綿布は、洗濯のたびに少しずつ色あせて、現在図1のような状態です。
豆乳に同量の水を入れて、その中に水気を絞った布を入れ、布が完全に浸るようにしてください。30分~1時間程度そのまま浸しておきます。
手で押して脱水した後、豆乳を洗い流さずに天日干しして乾かしてください。それ程においは気になりませんが、植物の香りがします。干した後は洗濯のりをした後のようにパリっとしました。
ブルーベリー・ブラックベリー以外の材料例
まず、ブルーベリーやブラックベリーに含まれるアントシアニンを含有する植物例を挙げてみます。その後に、その中から比較的手に入りやすく、代替材料としておすすめのものもご紹介します。
【アントシアニンが含まれる身近な植物例】
- アサガオ
- 桑の実
- 赤紫蘇
- 巨峰の皮
- 紫キャベツ
- ナスの皮
などです。
中でも私のお薦めは巨峰の皮です。ハンカチ1枚につき1~2房くらいから試してみると良いと思います。皮にひたひたの水を入れて沸騰しないように弱火で煮詰めて染液を作ります。染め方は今回と同様です。
巨峰が出回らない時期であれば、紫キャベツを。但し色の定着は高く無さそうなので、外皮2~3枚につきハンカチ1枚くらいから試してみてください。水を少なめにして濃いめに煮出してるとよいと思います。この時も沸騰させないように弱火で煮出してください。
揃えられそうな材料で、試してみてください!
染め方&おもしろ科学実験
今回は、子どもが「ブルーベリーとブラックベリーで染め物をしよう!」と急に言い出したので、準備不足で、いろいろと失敗をしました。それでも一応染まりましたし、子ども喜びました。
失敗を楽しんでみるのも、一つの楽しみ方かなと感じました。
とはいえ、せっかくだから綺麗に染めたいですよね。失敗例なども掲載しますので、参考にしてみてください。
布に模様をつける
まず、ここで一つ失敗をしました。
模様の種類は2種類。ビー玉による丸い模様と、波縫いを絞り好きな模様を作るの2種類です。
結論は、波縫いは難易度が高いのでコツが必要です。玉ねぎ染めの時はまあまあ成功しましたが、今回は完全に失敗しました。(殆ど模様が出ませんでした。)
皆さんはビー玉から始めてみてください。結構簡単です。ビー玉に布を被せ根元を輪ゴムでぐるぐる巻きにするだけです!
※任意の模様を試したい方は玉ねぎ染めの記事を参考にしてみてください。
染液を作る
ここでも私は失敗しました。果実に水を足さずに加熱したため、濃厚な汁がほんの少しだけできあがり・・・・・・。
結果、しみ込みが悪い、染液が全然足りない。失敗は突然に・・・・・・。あたふたです。
皆さんは必ず果実にひたひた程度の水を入れてくださいね。
1.ブルーベリー類を煮る
なべにブルーベリー類を入れて、ひたひた程度の水を入れてください。火にかけて沸騰直前に弱火にして10分~30分木べらでつぶしながらかきまぜます。時間は様子を見て調整してください。
※つぶさなくても色素は出ますが、染液が足りないと染めにくいので私はつぶしました。
2.果実を取り除く
ざるにあけ、実と染液を分けてください。染液が多い方が染めやすいので、実を押してしっかり染液を集めておきましょう。
おもしろ科学実験
余裕があれば染液を使って、科学実験をしてみましょう!
小皿などの小さな容器に、染液を取り分けます。同じものを3つ用意します。1つ目はそのまま、2つ目はお酢、3つ目は重曹を入れて色の変化を見てみましょう。ハギレを入れて染めてみてもよいでしょう。
アルカリ性の重曹は青紫に、酸性のお酢は赤紫に変化します。
【今回の結果】
今回の実験では、ハギレも染めてみました。お酢入りと何も入れないものはあまり布の色に変化はありませんでした。重曹入りだけはかなり色の変化があり、藍染めにも似た青紫になってびっくり!
しかし、次の工程色止めをした後は、3枚とも同じような色になってしまいました。予想外の結果です・・・・・・。
染める
1.布を染める
染液をなべに戻して、布をいれましょう。弱火で煮詰めながら20~30分くらい箸でかきまぜ布を泳がせます。
【失敗談】
今回私は、水を入れ忘れて濃縮液になってしまいました。その結果、染液が全く足りず、急遽ジッパー付き保存袋の中で染めることに・・・・・・。今思えばお湯を足せば良かっただけのような気もしますが、皆さんは気を付けてくださいね。
濃縮液のままだと、布に染みにくく染めにくいです。それでもマスク以外はそれなりに染まりました。ご参考までに。
2.布を洗う
水道水で布をすすぎます。水に泳がせる感じで数回軽くすすぎましょう。
3.色止めをする
800mmlのお湯に2g程度の焼きミョウバンを入れて溶かし、色止め液を作ります。液が透明になれば溶けた証拠です。お湯の量は布の量に合わせて調整してください。
色止め液の中に30分程度布を浸しておきましょう。その後は中性洗剤で軽く洗ってください。
4.干して乾かす
最後に干して乾かします。
干す時にも失敗が1つありました。
アルミのハンガーを使っていたので、色素とアルミの金属と反応してしまいました。
アルミハンガーをお使いの方は、布とアルミが触れないようにしてくださいね。
壁にかかっている薄紫の画用紙で作ったモビールと色の比較をしてみました。濡れていた時ほどの鮮やかさはなくなりますが、藤色のような青紫色に染まりました。写真ではうまくお伝えできませんが、とても優しい色合いになるのが、草木染めの魅力かなと思います。
(年月と共に退色して、グレーっぽい色になっていきます。)
注意点の~失敗例あります
私の失敗例から、注意点をまとめてみます。
①それなりの量のベリー類が必要になる。
染液の中で布を泳がせるように染めるためには、ある程度の量のベリー類が必要になります。食べられるものを使うと、何だかもったいない気がしてしまいます。
まずは小さなハンカチ1枚から染めてみるとか、巨峰の皮で代用してみるなど工夫してみるとよいかもしれません。
②染液を作る時は、果実に水を加える。
果実に火をかけて染液を作る時は、水を加えましょう。多すぎると薄くなりすぎ、少なすぎると濃度が濃くなりすぎたり染液不足になります。ひたひた程度の水を基本として、状況を見て足し水をしてみましょう。
③布の材質に注意する。
植物由来の繊維の場合には、下処理として豆乳をしみ込ませた方が色の定着がよくなります。面倒な方は、絹など動物由来の繊維使いましょう。
また、目の詰まった水のしみ込みが悪い布は染まりにくいです。事前に水をしみ込ませて確認しておきましょう。
マスクの失敗例を掲載しておきます。表は目の詰まった生地で色ムラがひどいですが、裏のガーゼ生地は色ムラが少なめです。
④アルミなどの金属には注意する。
アルミ鍋やアルミのハンガーなど金属製品にはご注意ください。色素と金属が反応してしまいます。金属を使うならステンレスにしましょう。
⑤模様は簡単なものから。
まずは簡単なビー玉を使ったドット模様から始めるのがおすすめです。
糸で絞り模様をつけたい方は、細かい波縫いで単純な模様(直線や円に近い模様)を縫って、強く糸を絞ってください。布をたたんで、部分的に糸をぐるぐる強く巻きつけても模様を付けることができます。色々試してみてくださいね!
まとめ
今回は、たくさん失敗をしましたが、それでも草木染めを楽しむことができました。植物の力や不思議に触れることで、植物に興味を持つきっかけになる気がします。図鑑も利用して色々と調べてみると自由研究にも使えるネタが見つかると思います。
気軽に草木染めを楽しんでみてください!