星座観察をしてみようと夜空を見上げてみたものの、なかなか星座を見つけられないと楽しさを感じることが難しいですよね。
そこで、星座観察の『基礎知識』と、観察にお薦めの『秋の星座』について詳しくお伝えしていきます。
昨日見つからなかった星が、なぜか今日は見つかった!
最初は全然わからなかった星座が、今はすぐに見つけられるようになった!
そのような感動を子供達に味わってもらうために、星の見つけ方をガイドしながら、自分で探す手助けをするオリジナルの『星探しシート』を作成しました。無料でダウンロードできますので、活用してみてください。
この星探しシートは、実際に星座をなかなか見つけられなかった経験を元に作成したものです。
また、視力・天候・周囲の環境など様々な要因で、肉眼で見える星は変わってしまいます。
本記事では、天体望遠鏡までは買う予定はないけれども肉眼よりも星を詳しく観察したい方に向けて、双眼鏡(単眼鏡)の使い方も解説しています。
私自身、双眼鏡や単眼鏡は今や無くてはならないアイテムになっています。使い方に慣れてきた今では天の川も見えるようになってきました。詳細な観察をしたい方は、ぜひ参考になさってください。
星座観察の基礎知識を簡単に~星座早見盤の使い方も!
星座観察に必要な基礎知識をまとめました。
実際に夜空を眺める前に一度確認してみてください。
準備&注意点など
◆必ず準備するもの
- 星座早見
天の川が記載されているものがお薦めです。 - 懐中電灯やスマホなど、明かりとなるもの
- 方位磁針
無ければスマホのアプリ(コンパスなど)を使うか、事前にグーグマップなどで観察場所の方角を調べておきましょう。
◆あると便利なもの
- 双眼鏡(単眼鏡でもOK)
※使い方も解説します。 - 星座図鑑
【双眼鏡はどんなものを使えばよいか】
私は通常の双眼鏡と星観察専用の双眼鏡(単眼鏡)を使い分けています。
なぜならば、用途が異なると思うからです。それぞれのメリット・デメリットをまとめてみます。
【通常の双眼鏡】 ※私は8倍20mm口径の双眼鏡を使用しています。
メリット
- ある特定の星やそのすぐ周辺をじっくり観察するのに適しています。
天体望遠鏡には遠く及びませんが、肉眼で見えないような細かいものもよく見えます。
デメリット
- 見える範囲がとても狭いので、星座全体を観察することは難しいです。
1つの星を双眼鏡で見つけたとしても、双眼鏡を覗きながら次の星を探すことは難易度がとても高いです。
星を探すというよりは、星の位置がわかってから使うものだと思います。
【星観察用の双眼鏡】 ※私は2倍40mm口径の単眼鏡を使用しています。
メリット
- 星が明るく見えるので、倍率は低くても肉眼よりも星が見えます。暗くて見にくい星の観察に重宝します。
- 倍率が低い分、見える範囲が広いです。
(例えばわし座だとわしの胴体の長さが入るか入らないかくらいの範囲でした。)
→ですから、レンズを覗きながら星座を探すことも可能です。
デメリット
- 見える範囲が広い分、特定の星を詳しく観察するには物足りないと感じるかもしれません。
(それでも肉眼よりはだいぶ細かいものが見えますよ。)
以上のことから、私は首に両方ぶら下げて基本的には星観察用のレンズを使って観察しています。そして、どうしても見えない場合やもっと詳しく調べたい時に、通常の双眼鏡を使用します。
私が使用している星観察用の単眼鏡はこちらです。(同じシリーズで双眼鏡もあります。)
観察に慣れてきたら、何と天の川もわかるようになってきました!
※大きく見えるというよりは、明るくくっきりと見えるという感じです。
【星・星座の図鑑について】
お好みの図鑑でよいと思います。
神話やその星座にまつわる知識が豊富に掲載されている方が楽しいので、ハンディタイプよりも普通の図鑑の方が私はお薦めです。
我が子は講談社のムーブシリーズが大好きなので、星座図鑑もムーブです。
少し本の高さが低いので本棚に入れやすく、子供うけのよい構成になっているのがムーブシリーズの特徴だと思います。
例えば、アンドロメダ座とペガスス座の関係など、各星座にまつわるギリシャ神話についても調べてみると、更に星座観察が楽しくなると思いますよ!
◆注意点
- 空を長い時間見上げていると、首が痛くなるのでご注意ください。
→私は片手もしくは両手で後頭部を支えながら見ています・・・。横になれる方は横になるのが一番楽だと思います。
- 視力にもよるかもしれませんが、眼鏡をかけながら双眼鏡を使用することは難しいです。
(参考:片側視力裸眼で0.1程度でも双眼鏡や単眼鏡使用に支障はありませんでした。)
→眼鏡のつけ外しの際、落下による眼鏡の破損などに注意しましょう。
私も息子も眼鏡なので、双眼鏡を覗くたびに外すのがとても面倒でした。
そこで、眼鏡用のストラップを買いました。
双眼鏡や単眼鏡を使う時は、眼鏡を額の上にあげています。これなら楽ですよ!参考までに。
星の明るさ
月明りの影響が少なく、雲が殆んどない日が観察に最も適しています。
※新月の前後1週間が星座観察に適しています。
古代ギリシア時代に、肉眼で見える星を最も明るい1等星から最も暗い6等星まで、ある法則にしたがい6段階に分類しました。
気が遠くなるような作業ですよね・・・。
望遠鏡などの発明により、現在では1等星よりももっと明るい0等星やマイナス4等星、逆にもっと暗い7等星など、同様の法則を当てはめて表記できるようになりました。
法則などの詳細は、国立科学博物館の宇宙の質問箱をご覧ください。
国立科学博物館・宇宙の質問箱(外部リンク)>>
とは言え、例えば『3等星』と言っても、2.5と3.4ではかなり明るさに差があるので、正確に表記したい時は小数点をつけて2.5等級や3.4等級と等級で表しています。
眼鏡をかけている私の場合には、肉眼で見えるのは5等星くらいまでかなという感覚です。
首都圏の郊外に住んでいる私の見え方はこんな感じです。
(視力は眼鏡で1.0程度、晴れの場合)
★1等星
確実に見える。
★2等星
満月で明るいなど条件が悪くても、目が慣れればほぼ見える。
★3等星
月明かりや地上から見えにくい薄い雲の影響を受けやすいが、目を凝らせば見えることが多い。
★4等星以下
好条件でないと見えにくいので、双眼鏡などがあると便利。
星座早見の使い方
まず、星座早見を回して時刻と時間を合わせましょう。
例)11月11日 19時の場合
星座早見の円い窓の中に、その日時に見える星が表示されます。
この丸い窓には、方角の他に、高さを表す線が引いてあります。
これは、青い線を地平線(0°)とした時に、星の高さを角度で表したもの(赤い線)です。
絵に描くとこうなりますよ。
星座早見の使い方は、自分が向いた方角を下に向けて持ち、空にかかげるだけです。
例)北の空を観察したい時
星座早見の円い窓は半球状の空を平面的に表したものです。
北に向いて星座早見を空にかかげると、赤い矢印が自分の向いている方向(北)をさすことがわかりますか?
野球帽の「つば」の部分を赤い矢印の方向だと思って、顔の目の前から頭の上まで移動すると「つば」が前を向くイメージで考えたらわかりやすいかもしれません・・・。
実際に使ってみると、「そういうことか!」と納得できると思いますので、お子様と試してみてくださいね。
星の名前と符合
星には、名前の他にギリシア文字を使った符号が割り当てられていることが多いです。
(例 αアルファ、βベータ、γガンマなど)
小中学生には少し難しいかもしれませんが、星座を調べているとよく出てくるので、この記事では符号も使って説明しています。
読めないギリシア文字が出てきたら、ネット上で検索すれば一覧表がいくつも見つかると思いますので、安心してくださいね。
まだ見られる夏の大三角(はくちょう座・わし座・こと座)
七夕にまつわる星としても有名な『夏の大三角』は、夏が終わっても晩秋まで見ることができます。
夏の大三角とは、はくちょう座、わし座、こと座のそれぞれの1等星を結んだ三角形のことです。
1等星は肉眼で見える一番明るい星なので、初めての方でも見つけやすいですよ!
晩秋は遅い時間になると西に消えてしまいますが、例えば18時頃であれば11月いっぱいは見らると思いますし、西の地平線付近がよく見える場所であれば、更に12月に入っても見えるはずです。
特にはくちょう座は、北十字とも呼ばれる十字形なのでとてもわかりやすく、秋でも他の2つの星座より高い位置にあるので、秋の星座観察にもお薦めの星座です。
それでは、それぞれの星座について詳しく見ていきましょう!
誰でも楽しく星座を探して観察するための『星探しシート』を作成しました。
見つけ方のコツも書いてあります。
ダウンロード(無料)して星座観察にお使いください。
◆はくちょう座
はくちょう座の1等星デネブは、わし座のアルタイルやこと座のベガと比べると、少し暗く見えるかもしれません。
しかし、アルタイルが17光年、ベガが25光年、デネブが1400光年だということを考慮すると、他の2つの星と比べて桁外れに遠い場所にありながら1等星であることのすごさがわかると思います。
デネブのエネルギーの放射量はとても大きいのです。
はくちょう座を11個の星で構成される星座として、もう少し詳しく見てみましょう。
1等星デネブは、はくちょうの尾羽の部分に当たります。
はくちょう座は、羽を左右に広げている姿が十字に見えることから、北十字とも呼ばれているとても探しやすい星座です。
肉眼で全ての星を観察することは難しいのですが、十字形であることは肉眼でも十分に確認できる星座です。
はくちょう座の見つけ方や、見え方の例を『星探しシート』としてまとめました。
ダウンロード(pdfファイル・無料)して、星観察にご活用ください。
星座に興味が出てきたら、星座図鑑でη(イータ)星のそばにある『はくちょう座X-1』についても調べてみてね!目には見えないけれど、すごいものがあるかも!?
◆わし座
わし座の1等星アルタイルは、七夕の「ひこぼし」の星として知られています。
もしお手持ちの星座早見に天の川が記載されていれば、ぜひ場所を確認してみてください!
わし座を11個の星で構成される星座として、もう少し詳しく見てみましょう。
1等星アルタイルは、わしの羽の付け根あたりの星です。
はくちょう座と比べると少し探しにくいのですが、アルタイルとその隣のγ(ガンマ)星が確認しやすいので、これを手がかりに「わし座」全体を探してみましょう!
特にφ(ファイ)やρ(ロー)星側の羽は見えにくいので、そこまで観察したい時には、星観察用の双眼鏡や単眼鏡の使用がお薦めです。
わし座の見つけ方や、見え方の例を『星探しシート』としてまとめました。
ダウンロード(pdfファイル・無料)して、星観察にご活用ください。
◆こと座
こと座の1等星ベガは、七夕の「おりひめ」の星として知られています。
もしお手持ちの星座早見に天の川が記載されていれば、ぜひ場所を確認してみてください!
ベガは1等星と言われていますが、等級を確認すると正確には0等星です。つまりとても明るい星なのです。夏の大三角を探す時も、ひときわ明るいベガが頼りになると思いますよ。
こと座を6個の星で構成される星座として、もう少し詳しく見てみましょう。
1等星ベガは、琴(西洋琴)の上端にある星です。
ベガから見てわし座側に小さな平行四辺形、ベガから見てはくちょう座側に1つ星があります。
ベガが明るい反面、その明るさに目が行ってしまい他の星が見にくかったり、星同士が近いために「こと座」の全体像がつかみにくいかもしれません。そんな時は是非、双眼鏡や単眼鏡を使ってみてください。
こと座の全体像をつかむには、星観察用の双眼鏡や単眼鏡の方がお薦めですが、星座自体が小さめなので、通常の双眼鏡でも何とか探せると思います。
こと座の見つけ方や、見え方の例を『星探しシート』としてまとめました。
ダウンロード(pdfファイル・無料)して、星観察にご活用ください。
星座に興味が出てきたら、星座図鑑でε(イプシロン)星について調べてみてね!
天体望遠鏡で覗くと面白いものが見えるかも!?
通称は、ダブル・ダブルスター!
秋の大四辺形(&ペガスス座)~はくちょう座を頼りに見つけよう!
さて、夏の大三角は1等星同士を結んだ探しやすい星座でしたが、秋の代表星座『秋の大四辺形』は、1等星が1つもなく、2等星3つと3等星1つで構成された少々地味な星座です。
そして秋の大四辺形は、アンドロメダ座やペガサス座の一部でもあります。
もしかすると、見つけるのに少し苦労するかもしれません。
そこで、秋もまだ見える『はくちょう座』をまず探して、はくちょう座の位置から『秋の大四辺形』を探す方法をお伝えしたいと思います。
(※はくちょう座の詳細は前章を確認してみてください。)
慣れればすぐに見つけられるようになるので、お試しください!
上図のように、はくちょう座の十字の中心から斜め後方(ε、ζ星側)へしばらく移動すると見つかります。はくちょう座と秋の大四辺形との間にあまり明るい星はないので、焦らずに探してみましょう。
秋の大四辺形の4つの星は、実はペガスス座の胴体部分でもあります。
α(アルファ)星の2等星アルフェラッツだけは、正確にはアンドロメダ座の所属ですが、ペガスス座の一部を兼ねています。
ペガススとは、ペガサスをラテン語読みしたものです。つまりペガスス座はペガサスの上半身のみを描いた星座なのです。
せっかくですので、秋の大四辺形だけではなくペガスス座についても見てみましょう。
ペガスス座は14個の星で構成される星座として説明していきます。
胴の部分
秋の大四辺形の4つの星は2等星や3等星なので肉眼でも見えると思います。
首から先の部分
顔の先端ε星は2等星なのでよく見えるのですが、少し離れているのでコツがいるかもしれません。顔の先端がわかると、間の星もわかりやすくなってくると思います。見つけ方のコツは星探しシートをご覧ください。
足の部分
秋の大四辺形の角β星から1つ隣の星までは、肉眼でみやすいです。その先はできれば星観察用の双眼鏡か単眼鏡があると便利だと思います。
ペガスス座の見つけ方や、見え方の例を『星探しシート』としてまとめました。
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(参考文献)
講談社の動く図鑑MOVE 星と星座
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