この記事は、漢字がなかなか覚えられない小学生や中学生のお子様に対して、漢字の克服方法について書いたものです。漢字点つなぎプリントも無料ダウンロードすることができます。
現在小学校低学年の我が子は漢字を覚えるのがとても苦手です。
入学前に3年間通っていた療育では、作業療法士の先生から次のように言われました。
「まずはひらがなを覚えるのに時間がかかると思います。」
「そしてもっと大変なのは漢字を覚えることです。」と。
覚悟はしていましたが、想像していた以上に苦労しました。
その中で気が付いたのは、一般的に行われている繰り返しの書き取り練習では、効果がなかなか出ないという事です。
そこで我が子がどのような勉強法を実践しているかお伝えします。
書き取り練習で効果が出ない現実
まず始めたのは、毎朝漢字や例文が記載されているごく簡単な漢字ドリルを3カ月程繰り返し、二度目からはノートに書き写し、何周か繰り返しました。しかし頑張っても頑張っても、早ければ翌日には忘れてしまい、3カ月継続後に「二つ」を「につ」と読んでしまう程でした。
繰り返し練習には限界もあると感じました。
効果が出ない理由を考える
まず子供を観察して、効果が出ない理由を詳しく考察することが第一歩だと考えました。その結果、我が子が漢字を覚えられない理由は概ね次のようなものでした。
- 運筆がそもそも苦手
- 空間認知の能力が低いので形が頭に入らない
- 書く・読む・考える・形を覚える・意味を覚えるという複数タスクの同時進行が苦手
作業療法の先生から以前教えてもらいましたが、発達に偏りがある我が子のようなタイプの子供は、例えば書くという動作一つを取っても、指で文字を書くのと鉛筆を持って書くのとでは、難易度が全く違うそうです。
鉛筆という道具が間に一つ入ることで難易度が上がるし、例えば手の発達の場合、体の中心側(腕など)から体の末端側(指先など)に向けて発達するので、手首や指先の動きを伴う運筆の動作が育つのは発達段階の最後の方なのだそうです。
苦手箇所を重点的に補ったり、タスクを分解したり、あるいは可能な限り省略したり発達段階に合わせた覚え方を考えてあげる必要があると感じました。
漢字は苦手なのになぜ暗唱はできるのか?
もう一つ気になることがありました。これだけ漢字を覚えられないのに、TVアニメのセリフや歌詞、学校で習う暗唱などはすらすら覚えてしまうという点です。
我が子を幼い頃から観察している私にとっては、この疑問に対する答えが一つ思い当たります。
それは、耳から入る音というのは言葉を覚えるプロセスと同じで、意味も分からず聞いたまま頭に入っていき、それとなく使っているうちに自然と体得できるというものです。
耳からも音を入れ、漢字学習をしてみました。
目的別~覚え方の工夫
小学1年生の現在、概ね一日に漢字を4個ずつ練習をしています。5個を超えると子供のやる気が低下するので、今はこの数に落ち着いています。
小学3年生からは年間に200字程度の漢字を覚えなければならないので、1日に練習する数は少しずつ増やしていく予定です。いずれにしても、少ない負荷でコツコツやるのがおすすめです。
克服したい内容ごとに練習方法をご紹介します。
上手に書く
字は上手であるに越したことはありません。しかしながら漢字が苦手な子供の場合には、書くこと自体が苦手であるケースが多いと思います。個人的な意見ですが、覚えられないのに繰り返しの書き取り練習に多くの時間を費やすのはもったいないと感じます。かと言って、全く書かないわけにもいかない。
そこで、このようにしました。
一回目
初回(学校で習いたての時)は、ドリルなどを用いて3回書き取りをさせます。この時アドバイスはしますが、なるべく書き直しはさせず終わらせるようにしています。
ドリル選びは学校で使っているものがあればそれを使用すれば良いと思います。我が家では学校のドリルが手元に無かったので、書店で色々見比べて小学館の「ドラえもんはじめて漢字ドリル1年生」を購入しました。
二回目
2回目以降は、書き取りはノートに1回のみとします。その代わりできる限り綺麗な字で書くように指導しました。
あまりにも見本とかけ離れている時は数回書き直しをさせますが、1回と言われると子供も本気を出すようで、今のところ多くの場合、書き直しではなく赤ペン修正程度で終わらせることができています。
通年
我が子の場合、お手本を真似して同じように書くということが、とても難しいようでした。書くことで精一杯でお手本を見ている余裕も、お手本と同じか確認する余裕もないという印象です。
このような場合には、認知機能の訓練が効果的だと思いますので、『コグトレ』というトレーニングを行っています。これは1日5分の訓練を継続的に行うことで認知機能を高め学習の土台作りをするトレーニングです。
興味のある方は、別途記事にしていますのでそちらをご覧ください。
【まとめ】
- 書き取りを省略することで、時短に加えて子供のやる気に繋がると感じました。
- 認知機能の学習訓練も行ってみました。
形を覚える
漢字の形を覚えられない理由はおおまかに2つあるのではないかと感じています。1つ目は運筆が苦手であること、そして2つ目は図形などを把握する空間認知の機能が弱いことです。そこでそれぞれについての練習方法の工夫をご紹介します。
運筆が苦手
冒頭でもお伝えした通り、指先の発達が未発達な子供にとって鉛筆を持って書くという動作はなかなかに難しいものなのです。そこでおすすめしたいのが、指なぞりです。
あれこれ教材を検索している中で、『齋藤孝の声に出して覚える漢字カード』という商品を見つけました。
カードの裏に書かれた指なぞり用の文字が見やすくて書き順の記載もあり、かなり重宝しました。漢字の書き取りを一回した後に、カードを使った指なぞりもセットでさせています。
但し、こちらの商品は小学1年と小学2年の漢字カードしかありません。
※記載されていいる熟語は、なかなか難しいので後回しでもよいかなと思います。
空間認知の訓練
前述しました1日5分で学習の土台作りができる『コグトレ』という訓練を継続的に行うことがおすすめです。興味のある方は別途コグトレ記事を書いていますのでご覧くさだい。
また、療育時代から我が子が自宅で行っているトレーニングの中に『ビジョントレーニング』というものがあります。
ナツメ社のビジョントレーニングという本の中に、習った漢字を点つなぎにしてトレーニングすると、漢字の覚えも良くなるという趣旨の記載がありました。
そこで我が子の為に、漢字点つなぎオリジナルプリントを作成しました。お子様自身も作れるように点のみの用紙も含まれています。
必要な方は利用規約をお読みの上、ダウンロード(無料)してお使いください。
【まとめ】
- 指なぞりを取り入れてみました。
- コグトレや点つなぎなど空間認知機能の学習訓練も行ってみました。
\ 語呂やダジャレで覚える実例も掲載しています /
実用例を覚える
漢字が苦手なお子様は書くことが苦手な場合が多いのではないでしょうか。そのようなお子様に対して、書くことと覚えることを同時にさせてしまうと、どちらにも集中できなくなるのではないかと感じます。
そこで例文や用語などは基本的に書き取りを行わず、声に出して3回読むことにしました。精神的な負担が減ったせいか、取り組むのを嫌がらなくなりました。
文章や絵など記憶の手がかりになるものが記載されている教材を選ぶとよいと思います。
小1~小2のお子様におすすめの教材
前項でも紹介しました『齋藤孝の声に出して覚える漢字カード』がとてもおすすめです。ポイントは表面にある、音読みと訓読みの両方を使った例文と記憶の手がかりになるイラストです
カードの裏に書かれた指なぞり用の文字が見やすくて書き順の記載もあり、かなり重宝しました。
※記載されていいる熟語はなかなか難しいので、後回しでもよいかなと思います。
我が子は表面を1日3回くらい音読していると、3周目くらいから暗記し始めました。リズムがあった方が楽しく遊び感覚で学習できると思います。
但し、書けるかどうかは別問題で、まずは音で覚えることを優先しています。
小学1年生と2年生用に指なぞりができる齋藤孝のかん字ドリルもあります。漢字を検索したい場合には、ドリルの方がお薦めです。
\ 声に出して書いておぼえるドリル /
※小学2年生のドリルもあります。
全学年のお子様におすすめの教材
上記の『齋藤孝の声に出して覚える漢字カード』は小学1年と小学2年の漢字しかありません。
他の学年のお子様にもお薦めの教材として、こんな斬新なドリル↓もあります。子供と相性が合えば漢字の形を覚える役に立つと思います。
\ 全学年の漢字ドリルがあります /
【まとめ】
- 音読して耳から実用例を覚えてみました。
- 漫画やダジャレなど記憶に残りやすいものを活用してみました。
\ 漢字辞典を使って成り立ちなどから覚える方法も掲載しています /
漢字への興味
極力書き取りを省略して例文は音読のみにする練習をするようになってから、漢字カードで暗唱した言葉で、例えば「車がくるまで・・・・・・」のような『ことばあそび』をしたり、漢字を絵で表して私に字を当てさせる『絵あそび』を自主的に楽しんで行うようになりました。
これからも、漢字は大変でつまらないものではなく、楽しいものだと感じてもらえたら嬉しいなと思います。