タカラガイは、その昔、中国やアフリカで貨幣としても使われていた、ツルツルでぴかぴかの色や模様も美しい巻貝です。世界中で貴重な貝として珍重されてきました。
私は神奈川の海岸に時折ビーチコーミングに行きますが、そこでもタカラガイを拾うことがあります。しかし、ツルツルでぴかぴかの貝となるとなかなか手に入りません。落ちている貝の多くは、海底などを転がり壊れてつつある貝だからです。
この記事では、タカラガイの生態・採取方法・劣化した貝を電動工具無しで簡単にぴかぴかに磨く方法・小学生や中学生の自由研究アイディアなどについて、詳しくご紹介していきたいと思います。
タカラガイとは
タカラガイは、その美しい光沢から中国やアフリカや北アメリカなど世界各地で、通貨・お守り・装身具・儀式の道具などに使用されてきた貴重な巻貝です。写真の通り、状態の良いものは本当に陶器のように美しいのです!
タカラガイの殻がなぜそれ程までに美しいのかというと、生態に秘密があります。そこで、一体どんな生態なのか、いつどのような場所で採取しやすいのかについてまとめてみます。
生態
実はタカラガイは、普段は外套膜(がいとうまく)という薄い膜で殻を覆っているのです。外から何か刺激を受けると外套膜を引っ込め、殻が現れます。もし出会うことがあれば、勇気を出して触ってみてください。毒はありません。
この外套膜から殻の成長を促したり光沢を出す物質が出ています。
だから、タカラガイの殻はこんなにもツルツルぴかぴかなんですね!
タカラガイは夜行性ですので、日中に磯に行ってもなかなか出会うことが少ない貝です。日中は岩のくぼみなどに潜み、夜になると餌を求めて動きだします。
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劣化の様子
タカラガイは、海底などを転がり徐々に壊れていきます。
そのため、海岸に打ち上げられているタカラガイの多くは殻にツヤがなく、壊れかけたものが多いです。
一見するとツヤの無いタカラガイなんて価値がないように感じるかもしれませんが、稚貝から成貝そして壊れてゆく貝と順に並べてみると、色も形もだいぶ違うことがわかります。
私が、神奈川・三浦半島の和田長浜海岸で取ったタカラガイを、子どもと一緒に並べてみました。
だんだん表面の光沢が失われ、殻の表面に紫色が現れたり、穴があいたり、完全に崩れて中の構造が見えたり・・・・・・。”お宝”のタカラガイとは、またひと味違った鑑賞の仕方も、特にお子様にはお薦めです。
貝は日光(紫外線)に当たるだけでも徐々に劣化していきます。
本当に大切に保管したい貝は、日光を避けて保存してくださいね♪
採取方法
タカラガイはもともと南の温かい海の貝が、潮の流れで日本に辿り着き住み着いたものです。ですから、冬になると寒さで岩から剥がれ落ち捕食されてしまうことが多いそうです。
ということは、殻が綺麗な状態の貝を採取する方法は、冬の磯に行くことです。寒いですが、潮だまりをのぞいてみてくださいね!
とは言え、私は冬に何度かタカラガイを探しにビーチコーミングに行っていますが、なかなかお見かけしません。多くは冬以外の海岸や磯で、だいぶ劣化した貝を拾って喜ぶということになってしまいます。
でも、せっかくタカラガイを拾ったのなら、劣化しているからといって簡単に捨ててはもったいない!!次の章からは、タカラガイの簡単な磨き方をご紹介します!
貝の磨き方
貝は研磨も切断も、結構大変です。ですから、細かい細工をしたい時には電動工具があると非常に効率く便利です。
でも、電動工具は結構お高いのです!!
そこで、電動工具が無くても磨ける方法もご紹介したいと思います。
磨くという手作業が入ると、ただの拾った貝が、急に自分だけのものに感じて愛着が湧いてくる瞬間があります。皆さんも是非楽しんでみてくださいね♪
手でタカラガイを磨く方法
【準備するもの】
- サンドペーパー(極細目#1000程度と、貝の状態によっては細目#600~#800程度もあるとよい。)
- ピカールケアー(金属磨き用のクリーム状研磨剤。)
- 古布
- 新聞紙などの敷き紙(汚れ防止に必要な方のみ。)
- 水(サンドペーパーを濡らす為のもの。)
【下準備】
- 塩抜きがまだの場合には、真水に一日さらして、水を切っておきます。
- 殻の割れ目に砂利が挟まっている時は、先の尖ったドライバーなどで取り除いてください。小さな貝は砂利が取れにくいのでタカラガイを少し立てて、ドライバーの先端を下向きにすると安全です。
【貝の磨き方】
1.サンドペーパーで下磨きする。
表面にあまり傷がない場合には、極細目#1000程度のサンドペーパーを水で濡らして様子を見ながら磨きます。表面がきれいになるまで行ってください。力はあまり必要ありませでした。
ただし、極細目#1000程度では表面が滑らかになりますが、光沢までは出ません。
※表面の傷が多い場合には、番手を落として細目#600~#800くらいで同様に磨いた後、極細目のサンドペーパーをかけてください。(今回は極細目#1000のみでOKでした。)
2.仕上げ磨きをする。
金属磨き用研磨剤に「ピカール」という製品があります。これは液状で使いにくそうなので、ピカールをクリーム状にした「ピカールケアー」という製品を使いました。私は、300円か400円程度で買いました。
※研磨剤の粒子が約3μm(マイクロミリメートル)で、サンドペーパーの番手に換算すると#3000~#5000くらいです。これより細かい粒子の研磨剤であれば、他の商品でもよいと思いますよ。
磨き方も簡単!!
古布にピカールケアーを少量つけて磨きます。
タカラガイが小さすぎると磨きにくいので、そういう時は布に包んで擦ると楽ちんです。
暫く磨いてはピカールケアーを追加し・・・を5~6回繰り返しました。
もともとのタカラガイは、こんな感じ。
次は磨いた後のタカラガイです。
生きていた頃の貝と全く同じ光沢とまではいきませんが、十分ツルツルぴかぴかになりますよ☆
タカラガイは内側が紫色をしているものが多いため、削ると薄紫色が出てくる場合が多いです。このキレイな色も、劣化した貝を磨いたからこそ見られる楽しみです♪
※写真より、実際の色の方が紫色が鮮やかです・・・。
酢やクエン酸による溶出法
貝殻の主成分は炭酸カルシウムです。炭酸カルシウムは酸に溶けるので、お酢やクエン酸の中に貝殻を入れるとすぐにシュワ~と二酸化炭素が発生して、貝が溶けていきます。
卵の殻がお酢に溶けるのと同じ原理です。
この原理を利用して貝を磨く方もいると聞き、お酢で実際に試してみました。
※トイレ掃除に使う「サンポール」を使う方もいるようですが、お子様が行う場合にはお酢やクエン酸など安全なものをご使用くださいね。
結論から言うと、貝の種類や、表面をどのようにしたいかによって向き不向きがあると思います。何種類かの貝をお酢に2~3時間漬けた様子をご紹介します。
例1.タカラガイ
タカラガイは、表面をツルツルぴかぴかにしたいわけですよね。ところが、タカラガイをお酢に入れてもそうはなりませんでした。むしろ劣化したような白化した状態になりました。
例2.薄い貝(トコブシ)
薄い貝は、溶けると穴が開いたり割れたりしやすいので、不向きだと思いました。今回はトコブシを入れましたが、ペラペラで光沢もなくなり、全体的に白っぽくなりました。
例3.クマノコガイ?
固い貝はある程度漬けても割れにくいようです。表面が爪で少し痕が付く位柔らかくなりましたので、その状態から細目#600のサンドペーパーで削りました。
今回は元々劣化した貝だったので研磨の途中で穴が開いてしまいましたが、光沢も残っているしある程度使えそうです。劣化していない貝であれば、研磨せずお酢だけで可能かもしれないな思いました。
貝の種類や劣化度合いによって、向き不向きがありそうです。
大切な貝をいきなり酸に漬けるのではなく、何個か試してから行うようにましょう!
アワビやサザエなどを食べたら、その殻で実験してみるのも楽しそうですね♪
電動工具(ミニルーター)使用の場合
貝の加工は、電動工具があると格段に作業効率が上がります。手のみで行うと本当に硬くて根気がいるのです。
そこで研磨や穴開けや切断などに使用できる「ミニルーター」という電動工具を色々調べてみたのですが、やはりお値段が高いです。
安いものもある(百均にもある)けれど、安いものは性能もお値段なりということです・・・・・・。
もし自分が5000円以下で買うならこれかなという商品を、一応載せておきますね。後悔の無いように口コミなどをよくよくお読みの上、他の商品とも比較検討をしてみてください。
自由研究にもお薦め
貝の工作や手芸も楽しいのですが、自然界の生物なので、小学生や中学生の夏休みの自由研究にもお薦めです。
工作なら、標本を作ると楽しいと思います。1つ1つの貝について生態などを詳しく調べておくと更に◎。
また、タカラガイであれば、世界中で珍重されてきた歴史がありますので、世界各地でどのように使用されてきたか歴史を調べても楽しそうです。
タカラガイを拾ったビーチコーミングスポット
神奈川県・真鶴の三ツ石海岸
神奈川県・三浦半島の和田長浜海岸
神奈川県・湘南・江の島近辺
貝の美しさは、宝飾品や通貨に使われるのも納得できる、まさに自然の美!
大人の方がハマってしまうかもしれませんね♪
海に行った際は是非、足元も見てください!お宝があるかもしれませんよ!?