科学実験は子どもが行うものなので、予想とは違う結果になることがよくあります。
立派なレポートを作ることが目的ではなく、失敗も含めた過程をよく観察して、自分なりに考察することが一番の目的だと思います。
そこで、身近な材料を使った簡単な実験でも自由研究にできるよう、我が家の塩の結晶作りの様子を一例としてご紹介します。
実験1:モールを使った塩の結晶づくり
モールを使った結晶作りについて説明します。
作り方
①飽和食塩水を作る
透明のコップに塩をたっぷり入れて水を注ぎ、その後水溶液が透明になるまで撹拌します。水溶液が白濁している状態から透明になる過程をお子様と観察してみてください。また、コップの底に残るくらい塩をたっぷり入れると失敗しにくいです。
②モールを垂らす
モールを好きな形に丸め、木綿糸を取り付けます。割りばしにモールを結び付けて、①で作った飽和食塩水に垂らしましょう。
結晶の様子
12日後に取り出したモールが次の写真です。
平均すると2~3mm程度のサイコロ型の結晶がたくさんついています。
よく観察するために、一部取ってみました。
サイコロ型のものは最大4mm程度で、サイコロ型が集まった凝集型の結晶もありました。
◆子供の感想
・四角いのがいっぱいだね
・モールが錆びてるね
小学1年生なので、こんなものでしょうか・・・・・・。
◆親の感想
私の感想は思ったほど透明ではなく白っぽい結晶だなと思いました。
あとは、一つの結晶がどんどん大きくなるのではなく、一つ結晶が2~3mmになると次の結晶ができて凝集していくため、想像より大きな結晶ができないなと思いました。
実験2:宝石みたいに色のついた塩の結晶作り
子供がエメラルドみたいな結晶を作りたいと言ったので、飽和食塩水に青と黄の食紅を入れて緑色に着色し、実験1よりもっと大きな結晶作りに挑戦してみました。
作り方
◆工夫したポイント
結晶が大きくならなかったのは、もしかしたらモールのせいかもしれないと思い、次は別のやり方にすることにしました。モールに付いたサイコロ型の結晶を一つ取り、釣り糸を先端に瞬間接着剤で付け、飽和食塩水に垂らします。
※実験1では木綿糸を使いましたが、食塩水が染みて糸が塩まみれになったので、今回は釣り糸にしました。
結晶ができる過程
作り始めて7日後に食塩水の中を覗くと四角い結晶が浮かんでいました。
よく見てみると、下に行くほど徐々に細くなっており、このまま成長していくとピラミッドを逆さにしたような形状になりそうな雰囲気でした。
もう少し結晶を育ててみようと数日おいたところ、いつの間にか消えていました。恐らく大きくなりすぎて沈んだのだと思います。取り出してじっくり観察できなかったのが残念です。
次の写真は18日後の様子です。
◆予想と違う育ち方
予想では、糸の先端につけた核となる結晶がサイコロ状に大きくなっていくと考えていました。ところが実際には小さな結晶が凝集している状態になりました。
また、余った糸(反対端)が食塩水に垂れていたため予想外のことが起こりました。
結晶を接着していない糸の反対端にサイコロ型の結晶ができ始めていたのです。糸の途中にも結晶ができています。
このことから、釣り糸にも結晶が付着することと、核になる結晶を糸の先端に接着しなくても結晶は作られることがわかりました。
そこで、何も付けてない釣り糸を試しに二本追加で入れてみました。
◆食塩水継ぎ足しでハプニング
なるべく大きな結晶を作るには長い期間待つ方がよいと思い、減った分の食塩水を継ぎ足すことにしました。
すると、きちんと飽和食塩水を作って入れたつもりなのに、翌日には結晶が小さくなってきてしまいました。恐らく、食塩の溶かし方が足りなくて飽和食塩水になっていなかったのだと思います。
そこで、お湯で飽和食塩水を作り直しました。しかし、それでもやはり結晶は小さくなっていきます。水の温度と食塩の融解はあまり関係ないようです。
再度チャレンジ。
今度は飽和食塩水を作って、数日置いてからつぎ足しました。日を置けば水分が蒸発してきちんと飽和状態になると考えたためです。
これで結晶が溶けなくなりました。せっかくの結晶が溶けてしまうと台無しなので、食塩水のつぎ足しには要注意です。
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実験終了時の様子
35日後、食塩水がほぼ蒸発したので実験を終了しました。予想より結晶は色づいていませんでした。
まずは容器の中を覗いてみます。
底の方に結晶がありそうですが、出してみないと詳細はわかりません。
目立っていたのは、側面に張り出すように付いた薄いプレーク状の結晶です。
次は、途中から追加した何も接着していない糸を見てみます。最大7mmのサイコロ型の結晶が付きました。
次に先端に核となる小さな結晶を接着して、上から垂らした糸を見てみます。
先端部分は小さな結晶が凝集しており、糸の途中には大きめの結晶が凝集していました。
実験2の結晶はモールの時に比べて透明感があるように見えます。結晶が大きいせいかもしれません。
今回の実験では、
糸の先端に核を付けた時よりも、糸の途中にできた結晶の方が大きくなる傾向がありました。
これが一般論かはわかりません。余裕があれば検証してみても面白いと思います。
結晶の種類を分別
塩の結晶と言えば、サイコロ型のものだと思っていた私でしたが、どうやらそれだけでもないことがわかりました。今回できた結晶をまとめてみます。
◆サイコロ型
モール及び釣り糸の先端や途中に形成。割合は少なめ。
◆凝集型
モール及び釣り糸の先端や途中に形成。割合は多め。小さなさいころ型の結晶が集まっている。
◆フレーク型
飽和食塩水が蒸発した後、容器の壁面に張り出す様に形成。
◆ピラミッド型
水面に浮かびながら、下方向に向かって形成。1つのみ。
【追記・参考用再実験】~後日再び実験した時の結晶の様子
ペットボトルでは、中身の様子が分かりにくかったので、ガラス容器で再実験しました。
ガラス容器は、壁面についた結晶の様子も観察できておすすめです。
◆一番大きい塩の結晶
底にできた8mmの塩の結晶。
この後、周りにどんどん細かい結晶が付着して、最後には溶けて消えてしまいました。
塩の結晶ができる速度と水分蒸発する速度のバランスが、とれていなかったのかもしれません。
◆ガラス壁面にできた塩の結晶
色々な形の塩の結晶を観察することができました。
立方体の結晶と立方体同士が結合して別の形(凝集状)になった結晶がありました。
底面から立ち上がるように発生している塩の結晶もありました。
厚みは、1mmに満たないとても薄い塩の結晶(フレーク状)です。
雪の結晶のようにギザギザと成長している塩の結晶もありました。
厚みは、1mmに満たないとても薄い塩の結晶(フレーク状)です。
今のところ、立方体の大きな塩の結晶を作る方法を見つけられずにいます。
長期間試してみたところ、例えば2~3mmの結晶でよければ、恐らく夏休み期間中には作ることができると感じました。
そして、きっとこの記事には書いていない形状の塩の結晶に出会えるのではないかと思います。
自由研究として、気長に楽しんでみてください!
【追記・参考用コツ】
その後も実験を継続する中で、気づいたことを追記しています。
◆漏れに注意
水分が蒸発してくると、水面より高い位置(壁面)に塩の結晶等が付着することがあります。
このまま放置すると知らず知らずのうちに、塩水が容器の外に漏れ出してしまい、容器の周辺が濡れてしまうことがあります。
このような時、私は壁面に付着しているものを手やティッシュペーパーなどで取り除いています。
◆細かい結晶が底にたくさん溜まってしまう
当初の実験結果のように、そのまま放置して実験を継続するのも一つの手段ですが、細かい塩の結晶同士が凝集してしまうことが多いです。
より大きく形の良い結晶を作りたい時は、形の良い塩の結晶だけを取り分けて、残りの細かい結晶は捨てると作りやすいと思います。
①細かい塩の結晶が底に溜まり始める。
②はしなどで形の良い塩の結晶だけを取り分ける。
③塩水の上澄み液だけを注ぐ。(余裕がればコーヒーフィルターなどでろ過すると尚良い。)
④形の良い塩の結晶だけにして、再び実験を継続する。
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反省点
今回の実験の反省点を挙げてみます。
- 結晶が作られる過程を毎日観察すればよかった。
- サイコロ型と凝集型は作り分けることができるのかを色々試してみたらよかった。
- ピラミッド型の結晶がどうなってしまったか観察できればよかった。
- 色付きの結晶はどうすればもっときれいに色づいたのか試してみればよかった。
の4点です。
色付きの結晶作りでは、エメラルドみたいな結晶を作ってほしいという子供の希望を叶えることはできませんでした。しかし子供は「わーきれいだね!不思議」と喜んでくれましたので、ひとまず良かったのかなとは思っています。
そして大きい結晶の作り方のコツはいまいち掴みきれませんでしたが、結晶にも色々な種類があることがわかりました。他にも種類があるかもしれないので、皆さんも是非試してみてくださいね。
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